行政書士のAI活用|許認可業務を軽くする手順
業務効率化支援を行う「Ai-Raku(アイラク)」代表。国立大学でAIの研究を行い、ITコンサル・ウェブコンサルを経て独立。官公庁向けの業務効率化や上場企業の支援等を経て、中小企業の現場に定着するAI活用を企画から運用まで一気通貫で支援している。著書に『中小企業のAI定着の教科書 — 入れた後に、何をするか』(2026年)。

- 守秘義務があるので使えないのでは?
- 依頼者名・住所・金額・案件の具体的事情を入力しない運用にすれば、大半の作業は成立します。「従業員15名の建設会社の新規許可申請」という抽象度で説明文もドラフトも作れます。制約というより、そもそも必要ない情報です。
- 法令の調べ物に使えますか?
- 使わないでください。条文番号、要件の細部、改正の有無を誤ると案件そのものが崩れます。生成AIは事実でない内容を自信のある口調で出すことがあります。調べ物は法令・監督官庁の公表資料・所属会の資料で行ってください。
- どの業務から始めるべきですか?
- 依頼者への説明文か、必要書類の案内です。依頼者情報が不要で、定型化しやすく、効果を実感しやすい領域です。要件判断に関わる工程からは始めないでください。
- 契約書をゼロから作らせてよいですか?
- お勧めしません。自分の事務所の雛形を渡し、今回の条件に合わせて書き換えさせる形にしてください。この形なら法令の誤りが入る余地が小さくなります。
- 依頼者に「AIを使っている」と言うべきですか?
- 事務所の方針によりますが、聞かれたときに答えられる状態にしておくことが重要です。入力していない情報の範囲と、設定の確認結果を記録しておけば、説明できます。
- 無料版でも使えますか?
- 説明文や案内文の作成であれば、入力も出力も短いため無料版で足ります。ただし入力内容の扱いは必ず確認してください。守秘義務がある以上、費用より安全性の判断が優先されます。
- 職員に使わせても大丈夫ですか?
- 指示文と入力禁止事項を共有フォルダに置いてから始めてください。口頭で伝えるだけだと運用が揃いません。とくに入力してはいけない情報は、書面で共有すべきです。
- 確認の時間が増えませんか?
- 増えます。モデルケースでも確認工程を月1時間新設しています。AIの出力をそのまま送ることはできないためです。それでも全体では半分以下になります。
- 他士業の業務範囲に触れないか心配です
- その判断はAIに聞くべきものではありません。所属会や監督官庁の見解を確認してください。本記事で扱っているのは、事務所内での文書作成の効率化に限られます。
- 一人事務所で導入する時間がありません
- 1つの文書から始めてください。最も頻繁に作る説明文を1回作らせ、うまくいった指示文を保存する。これだけなら30分で終わります。複数を同時に始めないことが要点です。
- 効果はどのくらい出ますか?
- 業務内容によります。モデルケース(月8件の許認可中心・一人事務所)では月約7時間の削減という試算になりました。ただしこれは想定にもとづく試算であり、まず自分の事務所で1週間、対象作業の時間を計測することをお勧めします。
許認可の申請書類、要件の確認、依頼者への説明。どれも定型に見えて、案件ごとに条件が違う。だから毎回ゼロから確認することになり、時間が読めません。
一人事務所や少人数の事務所ほど、この負担が直撃します。受任件数を増やしたいのに、1件あたりの作業時間が減らない。
ここに生成AIを使えるかというと、使える工程と、絶対に使ってはいけない工程がはっきり分かれます。本記事では、その線引きと具体的な手順、そして守秘義務への対処を整理します。
- 行政書士業務で任せられる工程
- 絶対に任せてはいけない工程
- 守秘義務への具体的な対処
- そのまま使えるプロンプト4種
- 業務別の使いどころ
- 一人事務所での始め方
結論|ドラフトと説明文に限る
最初に線引きをお伝えします。
任せるのは形にする工程
行政書士の仕事を分解すると、大きく3つの工程に分かれます。
| 工程 | 中身 | 担当 |
|---|---|---|
| 判断する | 要件を満たすか、どの許可が必要か | 人がやる |
| 形にする | 文章を書く、体裁を整える、説明文を作る | AIに任せる |
| 確認する | 法令・要件との突き合わせ、最終責任 | 人がやる |
時間がかかっているのは真ん中の工程です。判断はすでに頭の中で終わっているのに、それを文章にする作業に時間が溶けている。ここだけを任せます。
法令の確認には使わない
最も重要な原則です。要件や法令の内容をAIに聞かないでください。
生成AIは事実でない内容を、自信のある口調で出すことがあります。条文の番号、要件の細部、改正の有無。これらを誤ると、案件そのものが崩れます。
調べ物は必ず一次資料(法令、監督官庁の公表資料、所属会の資料)で行ってください。
依頼者情報は入力しない
守秘義務がある以上、ここは譲れません。ただし依頼者名や具体的な内容を入力しなくても、大半の作業は成立します。後半で具体的に扱います。
データで見る士業のAI活用
他業種と比べてどうかを、公表資料で確認します。
用途の中心は文書作成
総務省が2025年7月に公表した「令和7年版 情報通信白書」によると、何らかの業務で生成AIを利用していると回答した割合は日本で55.2%、うち「メールや議事録、資料作成等の補助」が47.3%と報告されています(出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」企業におけるAI利用の現状)。
行政書士業務の中心は文書作成です。最も活用されている用途と重なっていることになります。
懸念の2位はセキュリティ
同白書では、導入の懸念事項として「効果的な活用方法がわからない」が最も多く、次いで「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」が挙げられています。
守秘義務を扱う士業では、この2位が実質的に1位になります。情報の扱いに答えが出るまで、他の論点に進めないのが実情です。
小規模事業者は方針が未策定
同白書では、企業規模別に見ると中小企業では「方針を明確に定めていない」との回答が約半数を占めると報告されています。
一人事務所や少人数の事務所では、そもそも方針を決める時間が取れません。だからこそ、入力しないものを1つ決めるだけの簡易なルールから始めるのが現実的です。
任せられる工程
具体的に見ていきます。
依頼者への説明文
最も効果が大きく、リスクが小さい使い方です。
専門用語を使わずに手続きの流れを説明する、必要書類を一覧にする、なぜその書類が要るかを補足する。内容は自分が知っていることなので、あとは伝わる文章にするだけです。
この作業に依頼者名は不要です。「建設業許可を初めて取る事業者向け」という抽象度で十分な文章が出ます。
書類のドラフト
定款、契約書、内容証明といった文書の下書きです。ただし条件があります。
雛形と条件は自分が渡すこと。AIに「一般的な定款を作って」と頼むのではなく、自分の事務所の雛形を渡し、今回の条件に合わせて書き換えさせる形にしてください。
この形なら、法令の誤りが入る余地が小さくなります。契約書のチェックについては契約書のAIチェックもご覧ください。
ヒアリング項目の整理
初回相談の前に、聞くべき項目を整理する使い方です。案件の類型を伝えれば、確認事項の一覧が出ます。
そのまま使うのではなく、自分の経験で足し引きしてください。抜けの確認として使うと効果的です。
過去文書の作り替え
以前作成した説明文や案内を、別の案件類型向けに書き直す作業です。ゼロから作るより速く、事務所の言い回しも保たれます。
ここでも、渡す文書から依頼者を特定できる情報を外してから使ってください。
任せてはいけない工程
ここを外すと事故になります。
要件の判断
「この事業者は建設業許可の要件を満たすか」といった判断は、AIに聞かないでください。もっともらしい答えが返りますが、根拠がありません。
要件は法令と監督官庁の運用で決まります。判断は必ず一次資料で行ってください。
条文・様式の確認
条文番号、様式の名称、添付書類の一覧。これらをAIに出させると、実在しないものが混ざることがあります。
生成AIが事実でない内容を出す性質はAIハルシネーション対策|原因と防ぐ7つの実務で詳しく扱っています。
改正の有無
最も危険な使い方です。法令や運用は改正されますが、生成AIは最新の状態を保証しません。
「◯年に改正されましたか」と聞いて返ってきた答えを、そのまま信じないでください。
最終確認
提出前の確認は、当然ながら人の責任で行います。AIに確認させて済ませることはできません。
業務範囲の判断
他士業の業務範囲に関わる判断は、AIに聞くべきものではありません。所属会や監督官庁の見解、必要に応じて専門家への確認で対応してください。
守秘義務への対処
士業で最優先の論点です。具体的な運用を示します。
入力しないものを4つ決める
次の4つを入力しないと決めるだけで、リスクの大半は避けられます。
- 依頼者の氏名・法人名
- 住所・連絡先・個人を特定できる情報
- 取引金額・報酬額
- 案件の具体的な事情(争いの経緯など)
抽象化しても成立する
重要なのは、これらを伏せても作業が成立することです。
| 入力する形 | 入力しない形 |
|---|---|
| ◯◯建設株式会社の建設業許可 | 従業員15名の建設会社の新規許可申請 |
| △△様の相続手続き | 相続人が3名いる場合の手続き |
| 報酬20万円の案件 | (報酬情報は不要) |
右列の抽象度で、説明文もドラフトも作れます。制約というより、そもそも必要ない情報だと考えてください。
置き換えて戻す
どうしても固有名詞が必要な場合は、「A社」に置き換えて渡し、出てきた文章に自分で戻す運用にしてください。手間は数十秒です。
設定を確認して記録する
使うサービスの設定画面で、入力内容が学習に使われない設定を確認し、記録に残してください。依頼者から問われたときに答えられる状態にしておくことが重要です。
ルールの作り方は社内AIルールの作り方|情報漏洩を防ぐ生成AIガイドライン8項目で解説しています。
そのまま使えるプロンプト例
実際に使える指示文を載せます。
依頼者向けの説明文を作る
手続きの流れを説明する文章を作成してください。
【対象】
(例:建設業許可を初めて申請する、従業員15名程度の事業者)
【伝えたい流れ】
(自分が知っている手順を箇条書きで貼る)
【条件】
・専門用語は使わず、初めての人に分かる言葉で
・各段階でおおよそ何日かかるかを書く欄を残す(日数は空欄で)
・全体で600字以内
・私が書いていない要件や書類を追加しないでください
最後の一行が重要です。これがないと、実際には不要な書類が混ざることがあります。
必要書類の案内を作る
依頼者に送る必要書類の案内文を作成してください。
【書類の一覧】
(自分が確認した書類を箇条書きで貼る)
【条件】
・各書類について「どこで取得できるか」を書く欄を作る
・取得に時間がかかるものが分かるよう並べる
・貼り付けた一覧にない書類を追加しないでください
・依頼者が確認しやすい形式にしてください
ヒアリング項目を洗い出す
初回相談で確認すべき項目を挙げてください。
【案件の類型】
(例:会社設立と、それに伴う許認可の相談)
【条件】
・確認項目を分類して並べる
・法令上の要件判断に関わる部分は「要確認」と印を付ける
・15項目以内
・具体的な法令解釈は書かないでください
文書を分かりやすく書き直す
以下の文章を、専門知識のない依頼者向けに書き直してください。
・意味を変えないでください
・専門用語を使う場合は、その場で言い換えを添える
・元の文章にない情報を追加しないでください
・元の文章より短くしてください
【文章】(依頼者を特定できる情報を外して貼る)
プロンプトの作り方はプロンプトの書き方・コツ|すぐ使えるテンプレート集もご覧ください。
業務別の使いどころ
扱う業務によって、効く場面が変わります。
建設業許可
効くのは依頼者への事前説明です。要件が複雑で、初回の説明に時間がかかる領域だからです。
更新時期の案内文、決算変更届の案内なども定型化できます。要件判断は必ず自分で行い、AIには説明の文章化だけを任せてください。
会社設立
効くのは手続きの流れの説明と、必要書類の案内です。依頼者が初めてであることが多く、説明の負担が大きい領域です。
定款のドラフトは、自分の雛形を渡して条件を書き換えさせる形に限定してください。
入管業務
説明文の作成には使えますが、要件や審査の運用に関わる部分は特に慎重に扱ってください。運用の変更が反映されない可能性があります。
また、依頼者の個人情報が機微であるため、入力しない運用を徹底してください。
相続・遺言
効くのは手続きの流れの整理と、依頼者への説明です。関係者が多く、説明が複雑になりやすいためです。
ただし案件の具体的な事情は入力しないでください。「相続人が3名いる場合」という抽象度で説明文は作れます。
契約書作成
自分の雛形をベースに、条件に合わせて書き換える使い方が基本です。ゼロから作らせないでください。
モデルケース|一人事務所の1か月(試算)
効果のイメージを示します。以下は実在の事務所ではなく、当社が想定する典型的な状況にもとづく試算です。効果は業務内容によって変わります。
導入前の状況
行政書士1名の事務所。許認可を中心に、月8件程度を扱っています。
| 作業 | 頻度 | 1回 | 月間 |
|---|---|---|---|
| 依頼者への説明文作成 | 月8件 | 40分 | 約5.3時間 |
| 必要書類の案内作成 | 月8件 | 25分 | 約3.3時間 |
| 初回相談のヒアリング準備 | 月6件 | 20分 | 約2時間 |
| 案内文・更新通知 | 月10件 | 15分 | 約2.5時間 |
| 合計 | — | — | 約13時間 |
着手した順番
リスクが小さく効果が大きい順に進めました。
- 案内文・更新通知から(依頼者情報が不要で、定型化しやすい)
- 説明文の作成(案件の類型だけで作れる)
- 必要書類の案内(自分で確認した一覧を渡す形)
- ヒアリング項目(抜けの確認として使用)
要件判断と条文確認には一切使っていません。
削減時間の試算
時給換算5,000円・月20営業日を前提とした試算です(士業の単価水準を想定)。
| 作業 | 導入前 | 導入後(試算) |
|---|---|---|
| 説明文作成 | 5.3時間 | 2時間 |
| 必要書類の案内 | 3.3時間 | 1.3時間 |
| ヒアリング準備 | 2時間 | 1時間 |
| 案内文・更新通知 | 2.5時間 | 0.8時間 |
| 確認工程(新設) | — | 1時間 |
| 合計 | 13.1時間 | 約6.1時間 |
| 削減見込み(月) | — | 約7時間 |
| 金額換算(月) | — | 約35,000円 |
確認工程を新しく足している点にご注目ください。AIの出力をそのまま送ることはできないため、この1時間は削れません。それでも全体は半分以下になります。
この事務所で評価されたのは、時間より「説明が丁寧になったこと」でした。忙しいと簡素になりがちだった案内が、毎回一定の水準で出せるようになっています。
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集客まわりの文章にも使える
受任業務だけでなく、事務所の集客に関わる文章にも使えます。ここは依頼者情報を扱わないため、最も安全な領域です。
取扱業務の説明ページ
事務所のホームページで、取扱業務を説明する文章です。専門家が書くと難しくなりがちな部分で、AIの言い換えが効きます。
自分が書いた説明文を渡し、「初めて依頼する人に分かる言葉で」と指示すれば、伝わる文章に整います。内容は自分が決めているので、事実の誤りが入る余地がありません。
よくある質問の整理
相談時に繰り返し聞かれる質問を、ページにまとめる作業です。実際に受けた質問を箇条書きで渡し、答えは自分で書く形にしてください。
答えまでAIに作らせると、実務と違う内容が混ざります。質問の分類と並べ替えだけを任せるのが安全です。
事例紹介の書き方
過去の案件を紹介する場合、依頼者が特定されない形に抽象化する必要があります。この抽象化そのものをAIに任せる使い方があります。
「この内容を、依頼者が特定されない形に書き直して」と指示し、出てきた文章を自分で確認する。ただし最終判断は必ず自分で行ってください。守秘義務に関わる部分です。
セミナー資料の構成
事業者向けの説明会やセミナーを行う場合、構成づくりに使えます。話す内容は自分が持っているので、順番の組み立てだけを任せる形です。
期限管理の案内を定型化する
行政書士業務で見落とされやすい効率化の余地です。
更新案内は毎年発生する
許可の更新、決算変更届、各種の期限。これらの案内文は毎年同じ内容を作り直しています。
一度型を作れば、以降は日付と対象を差し替えるだけで済みます。件数が多いほど効果が出る領域です。
作るのは3種類
| 種類 | 送るタイミング | 要点 |
|---|---|---|
| 事前案内 | 期限の数か月前 | 何がいつまでに必要かを明示 |
| 書類依頼 | 着手時 | 取得に時間がかかるものを先に伝える |
| 完了報告 | 提出後 | 次回の期限を必ず書く |
3つ目の「次回の期限を必ず書く」が効きます。次の受任につながる導線になるためです。
日付は自分で入れる
案内文の型はAIに作らせてよいのですが、日付と期限はAIに計算させないでください。
「3年後の応当日」といった計算を任せると、誤りが混ざります。型だけ作らせ、日付は自分で入れる運用にしてください。
一人事務所での始め方
時間が取れない前提で、最小限の手順を示します。
1つの文書から始める
最も頻繁に作る文書を1つ選んでください。多くの場合、依頼者への説明文か、必要書類の案内です。
複数を同時に始めないでください。1つで型ができてから広げます。
うまくいった指示文を保存する
1回うまくいったら、その指示文をテキストファイルに保存してください。毎回書き直していると、そのうち面倒になってやめます。
入力しないものを1枚に
本記事の4つ(氏名・法人名/住所・連絡先/金額/案件の事情)をメモに書いて、パソコンの近くに置いてください。ルール文書を作る必要はありません。
職員がいる場合
職員に使わせる場合は、指示文と入力禁止事項を共有フォルダに置くところから始めてください。口頭で伝えるだけだと運用が揃いません。
やってはいけない使い方
避けるべき使い方を挙げます。
法令の内容を聞く
繰り返しになりますが、最も危険です。条文、要件、様式、改正の有無。これらは必ず一次資料で確認してください。
依頼者情報をそのまま入力する
受任した案件の資料を丸ごと貼り付ける使い方は避けてください。抽象化すれば同じ作業ができます。
出力をそのまま送る
依頼者に送る文書は、必ず自分で読んでから送ってください。事実と違う記載や、こちらが言っていない要件が混ざることがあります。
業務範囲の判断に使う
他士業の業務範囲に関わる論点は、AIに聞くべきものではありません。所属会や監督官庁の見解を確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 守秘義務があるので使えないのでは?
A. 依頼者名・住所・金額・案件の具体的事情を入力しない運用にすれば、大半の作業は成立します。「従業員15名の建設会社の新規許可申請」という抽象度で説明文もドラフトも作れます。制約というより、そもそも必要ない情報です。
Q. 法令の調べ物に使えますか?
A. 使わないでください。条文番号、要件の細部、改正の有無を誤ると案件そのものが崩れます。生成AIは事実でない内容を自信のある口調で出すことがあります。調べ物は法令・監督官庁の公表資料・所属会の資料で行ってください。
Q. どの業務から始めるべきですか?
A. 依頼者への説明文か、必要書類の案内です。依頼者情報が不要で、定型化しやすく、効果を実感しやすい領域です。要件判断に関わる工程からは始めないでください。
Q. 契約書をゼロから作らせてよいですか?
A. お勧めしません。自分の事務所の雛形を渡し、今回の条件に合わせて書き換えさせる形にしてください。この形なら法令の誤りが入る余地が小さくなります。
Q. 依頼者に「AIを使っている」と言うべきですか?
A. 事務所の方針によりますが、聞かれたときに答えられる状態にしておくことが重要です。入力していない情報の範囲と、設定の確認結果を記録しておけば、説明できます。
Q. 無料版でも使えますか?
A. 説明文や案内文の作成であれば、入力も出力も短いため無料版で足ります。ただし入力内容の扱いは必ず確認してください。守秘義務がある以上、費用より安全性の判断が優先されます。
Q. 職員に使わせても大丈夫ですか?
A. 指示文と入力禁止事項を共有フォルダに置いてから始めてください。口頭で伝えるだけだと運用が揃いません。とくに入力してはいけない情報は、書面で共有すべきです。
Q. 確認の時間が増えませんか?
A. 増えます。モデルケースでも確認工程を月1時間新設しています。AIの出力をそのまま送ることはできないためです。それでも全体では半分以下になります。
Q. 他士業の業務範囲に触れないか心配です
A. その判断はAIに聞くべきものではありません。所属会や監督官庁の見解を確認してください。本記事で扱っているのは、事務所内での文書作成の効率化に限られます。
Q. 一人事務所で導入する時間がありません
A. 1つの文書から始めてください。最も頻繁に作る説明文を1回作らせ、うまくいった指示文を保存する。これだけなら30分で終わります。複数を同時に始めないことが要点です。
Q. 効果はどのくらい出ますか?
A. 業務内容によります。モデルケース(月8件の許認可中心・一人事務所)では月約7時間の削減という試算になりました。ただしこれは想定にもとづく試算であり、まず自分の事務所で1週間、対象作業の時間を計測することをお勧めします。
まとめ
- 行政書士業務は判断・形にする・確認の3工程。任せるのは真ん中だけ
- 法令・要件・条文・改正の確認にはAIを使わない。必ず一次資料で
- 入力しないものは4つ=氏名/住所・連絡先/金額/案件の事情
- 抽象化しても作業は成立する。「従業員15名の建設会社」で十分
- 効果が大きく安全なのは依頼者への説明文と必要書類の案内
- 契約書は自分の雛形を渡して書き換えさせる。ゼロから作らせない
- 確認工程は減らない。それでも全体は半分以下になり得る
- 一人事務所は1つの文書から。うまくいった指示文を保存する
行政書士の価値は、要件を判断し責任を負うところにあります。そこに時間を使うために、形にする工程を軽くするという考え方です。
士業全般の活用は士業のAI活用、記帳・給与業務は士業の記帳・給与計算、他業務も含めた全体像は業務効率化のアイデア20選にまとめています。
事務所全体での進め方は士業のAI活用ソリューションをご覧ください。
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