社内AIルールの作り方|情報漏洩を防ぐ生成AIガイドライン8項目
業務効率化支援を行う「AIで業務を楽に」代表。国立大学でAIの研究を行い、ITコンサル・ウェブコンサルを経て独立。官公庁向けの業務効率化や上場企業の支援等を経て、中小企業の現場に定着するAI活用を企画から運用まで一気通貫で支援している。

- 小さな会社でも社内AIルールは必要ですか?
- 必要です。むしろ体制が手薄な中小企業ほど、個人判断での利用による情報漏洩リスクが高くなります。分厚い規程でなくても、「入れてはいけない情報」と「使ってよい業務」を1枚にまとめるだけでも効果があります。
- 何を入力してはいけませんか?
- 顧客の個人情報、未公開の財務・経営数値、ソースコードや設計図、従業員の個人情報、NDAで守られた情報などです。これらは具体的にリスト化して周知します。判断に迷う情報は「入れない」が原則です。
- 無料のChatGPTを業務で使ってもいいですか?
- 一般的な文章の下書きなど、機密を含まない用途なら有効です。ただし無料版は入力が学習に使われる場合があるため、機密情報は入力しない、または学習させない設定・法人向けプランを使うのが安全です。
- ガイドラインはゼロから作る必要がありますか?
- いいえ。IPAや総務省・経済産業省、JDLAが公開する雛形・指針を土台に、自社の事業特性に合わせてカスタマイズするのが現実的です。丸写しではなく「自社の禁止情報・使ってよい業務」を具体化することが大切です。
「業務で生成AIを使わせたい。でも、顧客情報や機密が漏れないか不安で踏み切れない」——。ChatGPTのような生成AIが当たり前になったいま、多くの経営者・管理者が抱える悩みです。禁止すれば業務は非効率のまま、放置すれば情報漏洩のリスク。この板挟みを解くのが「社内AIルール(ガイドライン)」です。
本記事では、生成AIを安全に、かつ現場が使える形で社内展開するためのルールの作り方を、AI導入を支援するAi-Rakuの視点で、公的ガイドラインも踏まえて解説します。読み終えるころには、自社ルールの骨子が描けます。AI導入の全体像は中小企業のAI導入は何から始める?もあわせてご覧ください。
- 生成AIの情報漏洩がなぜ起きるか(実例)と、社内ルールが必要な理由
- ルールに盛り込むべき8項目と、「入力してはいけない情報」リスト
- 【モデルケース試算】ルール整備で安全に全社活用し「月80時間・年間240万円」を削減した中身
結論:禁止ではなく「使ってよい範囲」を決めるのが社内AIルール
結論から言うと、社内AIルールの目的は「生成AIを禁止すること」ではなく、「情報漏洩などのリスクを防ぎながら、社員が安心して使える範囲を明確にすること」です(参考)。禁止だけでは、隠れて無料ツールに機密を入れる「シャドーAI」を招き、かえって危険です。
ポイントは「入れてはいけない情報」と「使ってよい業務」を具体的に決めること。抽象的な注意喚起では現場が判断に迷います。ゼロから作る必要はなく、公的機関や業界団体が公開する雛形を土台に、自社向けにカスタマイズするのが現実的です。
なぜ社内AIルールが必要なのか(情報漏洩の実例)
ルールがないまま使うと、悪意がなくても情報が外部に流出します。有名なのが、韓国の大手電機メーカーで起きた事例です。従業員がバグ修正のためソースコードを、別の従業員が社内会議の議事録を、ChatGPTに入力。これらの機密情報が外部サーバーに送信され、同社は生成AIの社内利用を一時禁止する事態になりました(参考)。
なぜ起きるのか。理由はシンプルです。無料版のチャットAIに入力した内容は、サービスによってはAIの学習に再利用されることがあるからです。顧客名簿・未公開の財務数値・ソースコードを貼り付ければ、その情報が外部に残る可能性があります。「便利だから」と個人判断で使ううちに、気づかぬまま漏洩が起きるのです。
社内AIルールに盛り込むべき8項目
ルールに最低限入れておきたいのが、次の8項目です。自社の業種・扱う情報に合わせて肉付けします。
| # | 項目 | 決めること |
|---|---|---|
| 1 | 目的・適用範囲 | なぜ使うか、誰・どの業務に適用するか |
| 2 | 利用してよいツール | 会社が許可するAIツール(法人向け・学習させない設定など) |
| 3 | 入力禁止情報 | 入れてはいけない情報を具体的にリスト化(下記参照) |
| 4 | 出力物の取り扱い | AIの回答は必ず人が確認。事実・数値・法的判断は自己責任で検証 |
| 5 | 著作権・権利侵害 | 他者の著作物の入力・生成物の利用に関する注意 |
| 6 | 禁止用途 | 差別的・違法・なりすまし等への利用禁止 |
| 7 | 責任・相談窓口 | 違反時の対応、判断に迷ったときの相談先 |
| 8 | 見直し・教育 | 定期的な改定と、全社員への周知・研修 |
特に重要なのが3の「入力禁止情報」です。抽象的な表現は現場の迷いを生むため、具体的にリスト化します。
入力してはいけない情報の例
- 顧客・取引先の個人情報(氏名・連絡先・名簿)
- 未公開の財務・経営数値、見積・原価などの機密
- ソースコード、設計図、独自ノウハウ・営業秘密
- 従業員の個人情報、人事評価
- 秘密保持契約(NDA)で守られた情報
逆に、公開情報の要約、一般的な文章の下書き、アイデア出しなどはリスクが低く、積極的に使ってよい領域です。「入れてよい/だめ」を線引きすることで、社員は安心して使えます。
「自社に合ったAIルールを作りたい」「テンプレを自社仕様にしたい」という方は、無料相談で骨子づくりからお手伝いします(初回相談は無料)。
公的ガイドラインを土台にする(IPA・総務省経産省・JDLA)
ルールはゼロから作らず、信頼できる公的な雛形を土台にするのが効率的で安全です。主なものは次の通りです。
- IPA「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」(2024年7月):導入・運用の実務的な指針(出典:IPA)。
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」:AIを扱う事業者向けの包括的な指針(出典:経済産業省)。
- 日本ディープラーニング協会(JDLA)「生成AIの利用ガイドライン」:社内ガイドラインの出発点として使える雛形。
これらを参照しつつ、自社の事業特性・扱う情報に合わせてカスタマイズするのが現実的な進め方です(参考)。丸写しではなく、自社の「入力禁止情報」と「使ってよい業務」を具体化することが肝心です。
作って終わりにしない:定着させる運用のコツ
- 短く・具体的に:分厚い規程より、1枚で分かる「やってよい/だめ」の早見表が現場に届く。
- 研修とセットにする:ルールを配るだけでなく、なぜ危険かを実例で共有すると守られる。
- 相談窓口を置く:迷ったときに聞ける先があると、隠れて使う「シャドーAI」を防げる。
- 定期的に見直す:AIの進化は速い。半年〜1年ごとに内容を更新する。
ルールは「縛るため」ではなく「安心して使うため」のもの。禁止と放置の間にある“安全に使える道”を示すのが、良い社内AIルールです。安全に使えるツール選びはAI業務効率化ツールの選び方、会議での活用はAI議事録ツールもご覧ください。
【モデルケース】従業員30名の企業が、ルール整備で安全に全社活用するまで
これまで「情報漏洩が怖い」と生成AIを事実上禁止していた従業員30名のE社を例に、ルール整備で安全に活用できるようになった場合の効果を試算します。
※E社は実在の企業ではなく、生成AIの利用に踏み切れずにいた中小企業によくある状況をもとにしたモデルケース(試算)です。数値は「時給換算2,500円・月20営業日・全社合計」を前提とした試算で、実際の効果は業務や運用により変動します。
| 業務(全社合計) | 導入前 (時間/月) |
導入後 (時間/月) |
削減時間 (時間/月) |
削減額 (円/月) |
|---|---|---|---|---|
| 文書・メールの作成 | 40 | 16 | 24 | 60,000 |
| 資料・企画のたたき台作り | 28 | 12 | 16 | 40,000 |
| 問い合わせの一次回答づくり | 26 | 12 | 14 | 35,000 |
| 情報収集・要約 | 34 | 8 | 26 | 65,000 |
| 合計 | 128 | 48 | 80 | 200,000 |
合計で月80時間、約20万円分の作業が削減される計算です。ルールで「入れてよい情報・使ってよい業務」を明確にしたことで、社員が萎縮せず安全に生成AIを使えるようになった結果です。
結果:初期費用0円・月5万円で、初月から月15万円のプラスに
ルール策定・研修・定着支援としてAi-Rakuの料金(初期費用0円・顧問料 月5万円)をあてはめて試算すると、次のようになります。
| 月間の削減額 | 200,000円 |
| 顧問料(月額) | − 50,000円 |
| 月間の純効果 | 150,000円 |
| 初期費用 | 0円 |
| 年間の削減額 | 2,400,000円 |
「リスクが怖くて使えない」を「ルールがあるから安心して使える」に変えたことで、禁止していた時期には得られなかった効率化が実現しました。
よくある質問(FAQ)
Q. 小さな会社でも社内AIルールは必要ですか?
A. 必要です。むしろ体制が手薄な中小企業ほど、個人判断での利用による情報漏洩リスクが高くなります。分厚い規程でなくても、「入れてはいけない情報」と「使ってよい業務」を1枚にまとめるだけでも効果があります。
Q. 何を入力してはいけませんか?
A. 顧客の個人情報、未公開の財務・経営数値、ソースコードや設計図、従業員の個人情報、NDAで守られた情報などです。これらは具体的にリスト化して周知します。判断に迷う情報は「入れない」が原則です。
Q. 無料のChatGPTを業務で使ってもいいですか?
A. 一般的な文章の下書きなど、機密を含まない用途なら有効です。ただし無料版は入力が学習に使われる場合があるため、機密情報は入力しない、または学習させない設定・法人向けプランを使うのが安全です。
Q. ガイドラインはゼロから作る必要がありますか?
A. いいえ。IPAや総務省・経済産業省、JDLAが公開する雛形・指針を土台に、自社の事業特性に合わせてカスタマイズするのが現実的です。丸写しではなく「自社の禁止情報・使ってよい業務」を具体化することが大切です。
まとめ
- 社内AIルールの目的は「禁止」ではなく「安全に使える範囲を明確にすること」。
- 無料AIは入力が学習に使われる場合があり、機密の入力が情報漏洩につながる(実例あり)。
- 盛り込むべきは8項目。特に「入力禁止情報」を具体的にリスト化するのが肝心。
- IPA・総務省経産省・JDLAの公的雛形を土台に自社仕様へ。作って終わりにせず研修と見直しを。
- モデルケースでは、初期費用0円・月5万円で月80時間・年間240万円分を削減。
「自社に合った社内AIルールを作りたい」「安全に全社へ生成AIを広げたい」という方は、無料相談をご利用ください。ルールの骨子づくりから研修・定着まで支援します。サービス内容はサービス一覧、導入事例は導入事例をご覧ください。
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