司法書士のAI活用|登記業務で使える範囲
業務効率化支援を行う「Ai-Raku(アイラク)」代表。国立大学でAIの研究を行い、ITコンサル・ウェブコンサルを経て独立。官公庁向けの業務効率化や上場企業の支援等を経て、中小企業の現場に定着するAI活用を企画から運用まで一気通貫で支援している。著書に『中小企業のAI定着の教科書 — 入れた後に、何をするか』(2026年)。

- 登記業務そのものに使えますか?
- 使えません。登記の可否判断、本人確認・意思確認、登記事項や添付書類の確定、法令・先例の確認。これらはすべて司法書士の責任で行うものです。使えるのは依頼者に伝える工程(説明文・案内文)に限られます。
- 守秘義務があるので使えないのでは?
- 氏名・物件情報・金額・個別事情を入力しない運用にすれば、大半の作業は成立します。「相続人3名・不動産1件の相続登記」という抽象度で説明文は作れます。制約というより、そもそも必要ない情報です。
- どの業務から始めるべきですか?
- 進捗連絡です。件数が多く、依頼者情報が不要で、失敗しても影響が小さいためです。次に必要書類の案内、その次に相続の説明資料という順をお勧めします。
- 相続の説明が毎回大変です
- 相続人の構成パターンごとに説明文の型を用意してください。配偶者と子/未成年がいる/相続人が多数/疎遠な相続人がいる、の4類型を作れば、案件ごとに一部を差し替えるだけで済みます。作成時に依頼者情報は不要です。
- 相続関係の整理に使えますか?
- 使わないでください。戸籍から相続人を確定する作業は司法書士の責任で行うものです。AIに任せるのは、確定した後の説明の文章化だけです。
- 補助者に使わせても大丈夫ですか?
- 指示文と入力禁止事項を共有フォルダに置いてから始めてください。口頭で伝えるだけだと運用が揃いません。とくに入力してはいけない情報は書面で共有すべきです。
- 債務整理でも使えますか?
- 最も慎重に扱うべき領域です。依頼者の経済状況という機微な情報を扱うため、個別事情は一切入力しない前提にしてください。使えるのは制度の一般的な説明文の作成に限られます。
- 確認の時間が増えませんか?
- 増えます。モデルケースでも確認工程を月1時間新設しています。依頼者に送る文書を確認せずに出すことはできないためです。それでも全体では半分以下になります。
- 無料版でも使えますか?
- 説明文や案内文の作成であれば、入力も出力も短いため無料版で足ります。ただし入力内容の扱いは必ず確認してください。守秘義務がある以上、費用より安全性の判断が優先されます。
- 決済当日にも使えますか?
- 事前の案内文には使えますが、当日の判断にAIを挟まないでください。決済は時間の制約が厳しく、確認に時間をかけられません。事前準備の効率化に限定してください。
- 効果はどのくらい出ますか?
- 業務内容によります。モデルケース(相続登記と決済が中心・月12件・一人事務所)では月約7.7時間の削減という試算になりました。ただしこれは想定にもとづく試算であり、まず自事務所で1週間、対象作業の時間を計測することをお勧めします。
相続の相談で、関係図を書きながら1時間説明する。決済の前に必要書類を何度も案内する。専門知識そのものより、それを伝える作業に時間を取られている。
司法書士業務にAIを使えるかというと、答えは「工程による」です。そして他の士業以上に、使ってはいけない範囲がはっきりしています。登記は正確性が絶対条件だからです。
本記事では、使える工程と使えない工程を明確に分け、守秘義務への対処と具体的な手順を整理します。登記の判断そのものには一切使わない前提で書いています。
- 司法書士業務で使えない工程(先に確認)
- 使える工程と、その効果
- 相続案件での具体的な使いどころ
- 守秘義務への対処
- そのまま使えるプロンプト4種
- 一人事務所での始め方
結論|判断と確認には使わない
順序を変えて、先に使えない範囲からお伝えします。ここが曖昧なまま進めると事故になるためです。
使ってはいけない4工程
| 工程 | 理由 |
|---|---|
| 登記の可否判断 | 誤れば案件が成立しない。責任を負えない |
| 本人確認・意思確認 | 対面での確認が業務の本質。代替不可 |
| 登記事項・添付書類の確定 | 実在しない書類や様式が混ざり得る |
| 法令・先例の確認 | 誤った内容を自信のある口調で出す |
とくに本人確認と意思確認は、司法書士業務の核心です。ここを効率化の対象と考えないでください。
使えるのは伝える工程
一方で、依頼者に伝える工程には十分使えます。相続の流れの説明、必要書類の案内、進捗の連絡。
これらは内容を自分が知っている作業で、時間がかかっているのは「文章にすること」です。ここだけを任せます。
依頼者情報は入力しない
守秘義務がある以上、当然の前提です。ただし「相続人が3名、うち1名が未成年」という抽象度で説明文は作れます。氏名も物件情報も不要です。
データで見る士業のAI活用
公表資料から状況を確認します。
用途の中心は文書作成
総務省が2025年7月に公表した「令和7年版 情報通信白書」によると、何らかの業務で生成AIを利用していると回答した割合は日本で55.2%、うち「メールや議事録、資料作成等の補助」が47.3%と報告されています(出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」企業におけるAI利用の現状)。
司法書士業務で効率化できるのも、この文書まわりの補助に限られます。登記そのものは対象外です。
懸念の2位はセキュリティ
同白書では、導入の懸念事項として「効果的な活用方法がわからない」が最も多く、次いで「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」が挙げられています。
守秘義務を負う職種では、この2位が実質的に最優先の論点になります。
小規模事業者は方針が未策定
同白書では、企業規模別に中小企業では「方針を明確に定めていない」との回答が約半数と報告されています。一人事務所ではなおさら、方針を作る時間が取れません。
だからこそ、入力しないものを決めるだけの簡易なルールから始めるのが現実的です。
使える工程
具体的に見ていきます。
相続の流れの説明
最も効果が大きい使い方です。相続は関係者が多く、手続きが複数の機関にまたがるため、説明が長くなりがちです。
自分が知っている流れを箇条書きで渡し、「初めての方に分かる言葉で」と指示すれば、依頼者に渡せる説明文になります。毎回口頭で説明していた内容が、紙で渡せる形になります。
必要書類の案内
戸籍、住民票、評価証明、印鑑証明。どこで取得するか、どのくらい時間がかかるかを添えた案内文を作ります。
この案内があるかどうかで、依頼者の書類集めの速度が変わります。結果として案件全体の期間が短くなります。
決済前の連絡文
不動産決済では、当日の持ち物や流れの案内が必要です。毎回ほぼ同じ内容を作り直しているなら、型にできます。
ただし日時や場所は自分で入れてください。AIに日程を計算させないことが原則です。
進捗連絡の定型化
「申請しました」「完了しました」といった連絡も、型を作れば数十秒で済みます。件数が多いほど効果が出ます。
事務所内の手順書
補助者がいる事務所では、業務手順の文書化に使えます。手順を箇条書きでメモし、AIに手順書の形へ整えてもらう形です。
「書く」から「思い出して並べる」に変わるため、負担が大きく減ります。
相続案件での使いどころ
司法書士業務の中でも、相続は説明の負担が突出しています。個別に扱います。
なぜ説明に時間がかかるか
理由は3つあります。関係者が複数いる、手続きが複数の機関にまたがる、依頼者が初めてである。
同じ説明を相続人ごとに繰り返すこともあり、1件あたりの説明時間が積み上がります。
説明資料を型にする
効くのは、相続人の構成パターンごとに説明文の型を用意することです。
| パターン | 説明で重くなる点 |
|---|---|
| 配偶者と子 | 基本形。標準の型で足りる |
| 相続人に未成年がいる | 特別代理人の説明が必要 |
| 相続人が多数 | 全員の書類が必要な理由の説明 |
| 疎遠な相続人がいる | 連絡の進め方と期間の見通し |
この4類型の説明文を作っておけば、案件ごとに一部を差し替えるだけで済みます。作成時に依頼者情報は不要です。
関係の整理には使わない
注意点です。相続関係の判断そのものをAIにさせないでください。戸籍から相続人を確定する作業は、司法書士の責任で行うものです。
AIに任せるのは、確定した後の「説明の文章化」だけです。
守秘義務への対処
実務上の運用を示します。
入力しないものを4つ決める
- 依頼者・関係者の氏名
- 物件の所在・地番・家屋番号
- 金額(売買代金・債権額・報酬)
- 案件の個別事情(相続人間の関係など)
抽象化しても成立する
| 入力する形 | 入力しない形 |
|---|---|
| ◯◯様の相続、△△市の土地 | 相続人3名・不動産1件の相続登記 |
| 売買代金3,000万円の決済 | 住宅ローンを利用する売買決済 |
| 相続人の△△様と□□様が不仲 | (この情報は入力しない) |
右列の抽象度で、説明文も案内文も作れます。3行目のような個別事情は、そもそも文章作成に不要です。
設定を確認して記録する
入力内容が学習に使われない設定を確認し、記録に残してください。依頼者や所属会から問われたときに答えられる状態にしておくことが重要です。
ルールの作り方は社内AIルールの作り方|情報漏洩を防ぐ生成AIガイドライン8項目で解説しています。
補助者にも同じ基準を
補助者がいる場合、入力禁止事項を書面で共有してください。口頭だけでは運用が揃いません。
そのまま使えるプロンプト例
実際に使える指示文を載せます。
相続手続きの説明文を作る
相続手続きの流れを説明する文章を作成してください。
【状況】
(例:相続人3名、不動産1件、遺言なし)
【手続きの流れ】
(自分が把握している手順を箇条書きで貼る)
【条件】
・専門用語は使わず、初めての方に分かる言葉で
・各段階の目安期間を書く欄を残す(日数は空欄で)
・私が書いていない手続きや書類を追加しないでください
・800字以内
最後から2行目が重要です。これがないと、実際には不要な手続きが混ざることがあります。
必要書類の案内を作る
依頼者に送る必要書類の案内文を作成してください。
【書類の一覧】
(自分が確認した書類を箇条書きで貼る)
【条件】
・各書類の取得先を書く欄を作る
・取得に時間がかかるものが先に分かるよう並べる
・貼り付けた一覧にない書類を追加しないでください
・チェックリスト形式にしてください
決済当日の案内を作る
不動産決済当日の案内文を作成してください。
【当日の流れ】(自分が把握している内容を貼る)
【持ち物】(自分が確認したものを貼る)
【条件】
・日時と場所は「(記入欄)」としてください。こちらで入れます
・持ち物は目立つ形で示す
・貼り付けた内容にない持ち物や手順を追加しないでください
日時を記入欄にしているのは、AIに日程を計算させないためです。
文書を分かりやすく書き直す
以下の文章を、専門知識のない方向けに書き直してください。
・意味を変えないでください
・専門用語を使う場合は、その場で言い換えを添える
・元の文章にない情報を追加しないでください
・元の文章より短くしてください
【文章】(氏名・物件情報・金額を外して貼る)
プロンプトの作り方はプロンプトの書き方・コツ|すぐ使えるテンプレート集もご覧ください。
業務別の使いどころ
扱う業務によって、効く場面が変わります。
相続登記
最も効果が大きい領域です。前述のとおり、説明の負担が突出しているためです。
4類型の説明文を用意しておけば、初回相談の時間が短くなり、依頼者の理解も深まります。
不動産決済
効くのは事前案内と当日の持ち物連絡です。毎回ほぼ同じ内容のため、型化の効果が高くなります。
ただし決済は時間の制約が厳しい業務です。当日の判断にAIを挟まないでください。
商業登記
効くのは依頼者への必要書類の案内です。役員変更や本店移転など、繰り返し発生する手続きは型化できます。
登記事項の確定は当然ながら自分で行い、AIには案内文の作成だけを任せてください。
成年後見
親族への説明資料に使えます。ただし本人の状況に関わる情報は入力しないでください。制度の一般的な説明に限定すれば安全です。
債務整理
最も慎重に扱うべき領域です。依頼者の経済状況という機微な情報を扱うため、個別事情は一切入力しない前提にしてください。
使えるのは、制度の一般的な説明文の作成に限られます。
モデルケース|一人事務所の1か月(試算)
効果のイメージを示します。以下は実在の事務所ではなく、当社が想定する典型的な状況にもとづく試算です。効果は業務内容によって変わります。
導入前の状況
司法書士1名・補助者1名の事務所。相続登記と不動産決済が中心で、月12件程度を扱っています。
| 作業 | 頻度 | 1回 | 月間 |
|---|---|---|---|
| 相続の説明資料作成 | 月5件 | 50分 | 約4.2時間 |
| 必要書類の案内作成 | 月12件 | 20分 | 約4時間 |
| 決済前の案内文 | 月7件 | 15分 | 約1.8時間 |
| 進捗連絡 | 月30件 | 7分 | 約3.5時間 |
| 合計 | — | — | 約13.5時間 |
着手した順番
- 進捗連絡の型化から(依頼者情報が不要で、件数が最多)
- 必要書類の案内(自分で確認した一覧を渡す形)
- 相続の説明資料(4類型の型を作成)
- 決済前の案内(日時は記入欄にする)
登記の判断、本人確認、書類の確定には一切使っていません。
削減時間の試算
時給換算5,000円・月20営業日を前提とした試算です(士業の単価水準を想定)。
| 作業 | 導入前 | 導入後(試算) |
|---|---|---|
| 相続の説明資料 | 4.2時間 | 1.5時間 |
| 必要書類の案内 | 4時間 | 1.5時間 |
| 決済前の案内文 | 1.8時間 | 0.6時間 |
| 進捗連絡 | 3.5時間 | 1.2時間 |
| 確認工程(新設) | — | 1時間 |
| 合計 | 13.5時間 | 約5.8時間 |
| 削減見込み(月) | — | 約7.7時間 |
| 金額換算(月) | — | 約38,500円 |
確認工程を月1時間新設している点にご注目ください。依頼者に送る文書を確認せずに出すことはできないため、この時間は削れません。
この事務所で評価されたのは、時間より「相続の初回相談が短くなり、依頼者の理解が深まったこと」でした。説明資料を先に渡すことで、相談の場で本題に入れるようになっています。
「自事務所のどこから使えるか」を整理したい方へ。守秘義務への対処も含めてご提案します。初回のご相談は無料です。無料相談はこちら。
連携先とのやり取りを軽くする
司法書士業務の特徴として、不動産会社・金融機関・他士業とのやり取りが多い点があります。ここにも効率化の余地があります。
紹介元への報告を定型化する
不動産会社や金融機関から紹介を受けた案件では、進捗や完了の報告が発生します。相手ごとに求められる形式が違うため、毎回書き方を考えることになります。
連携先ごとに報告文の型を作っておけば、以降は差し替えるだけです。報告が速く正確な事務所は、次の紹介につながります。
日程調整の往復を減らす
決済は関係者が多く、日程調整に往復が発生します。こちらから候補を3つ以上先に出すだけで、往復が1回減ります。
この連絡文の型もAIに作らせられます。ただし日程そのものは自分で確認してください。空き状況の判断を任せてはいけません。
他士業への引き継ぎ文
相続案件では、税理士や弁護士に引き継ぐ場面があります。どこまで完了し、何が残っているかを整理した文書が必要です。
自分が把握している状況を箇条書きで渡し、引き継ぎ文の形に整えてもらう。ここでも依頼者情報は抽象化して扱ってください。
効果の測り方
導入したあと、続けるか判断するための計測方法です。
作業時間より件数で測る
士業では、案件ごとに条件が違うため時間の比較が難しいという事情があります。
そこで、次の指標を見ることをお勧めします。
| 指標 | 見方 |
|---|---|
| 初回相談の所要時間 | 説明資料を先に渡した場合と比べる |
| 書類が揃うまでの日数 | 案内文の分かりやすさが効く |
| 問い合わせの回数 | 説明が足りていれば減る |
| 受任から完了までの期間 | 全体への影響を見る |
3つ目が実用的です。「これはどこで取るのですか」という電話が減れば、説明文が機能している証拠になります。
1か月分だけ記録する
本格的な計測は不要です。導入前の1か月と導入後の1か月、上の指標を記録するだけで判断できます。
数字が出なくても価値はある
時間削減の数字が明確に出ない場合もあります。それでも説明の質が一定になるという効果は残ります。
忙しいときに説明が簡素になる、という属人的なばらつきがなくなる点は、事務所の信頼に直結します。
一人事務所での始め方
時間が取れない前提で、最小限の手順を示します。
件数が多い連絡から
最初に選ぶべきは進捗連絡です。件数が多く、依頼者情報が不要で、失敗しても影響が小さいためです。
型を保存する
1回うまくいったら、その指示文をテキストファイルに保存してください。毎回書き直していると続きません。
入力禁止の4項目をメモに
氏名/物件情報/金額/個別事情。この4つを書いたメモを、パソコンの近くに置いてください。規程を作る必要はありません。
補助者への共有
補助者に使わせる場合は、指示文と入力禁止事項を共有フォルダに置いてから始めてください。
やってはいけない使い方
避けるべき使い方を挙げます。
登記の可否を聞く
最も危険です。もっともらしい答えが返りますが、根拠がありません。判断は必ず法令・先例・登記実務の資料で行ってください。
生成AIが事実でない内容を出す性質はAIハルシネーション対策|原因と防ぐ7つの実務で扱っています。
本人確認を代替させる
言うまでもありませんが、本人確認と意思確認は司法書士業務の核心です。効率化の対象ではありません。
添付書類を確定させる
「この登記に必要な書類は」と聞いて出てきた一覧を、そのまま使わないでください。実在しない書類や、不要な書類が混ざることがあります。
日付を計算させる
期限や応当日の計算をAIに任せないでください。型だけ作らせ、日付は自分で入れる運用にしてください。
依頼者情報をそのまま入力する
案件資料を丸ごと貼り付ける使い方は避けてください。抽象化すれば同じ作業ができます。
よくある質問(FAQ)
Q. 登記業務そのものに使えますか?
A. 使えません。登記の可否判断、本人確認・意思確認、登記事項や添付書類の確定、法令・先例の確認。これらはすべて司法書士の責任で行うものです。使えるのは依頼者に伝える工程(説明文・案内文)に限られます。
Q. 守秘義務があるので使えないのでは?
A. 氏名・物件情報・金額・個別事情を入力しない運用にすれば、大半の作業は成立します。「相続人3名・不動産1件の相続登記」という抽象度で説明文は作れます。制約というより、そもそも必要ない情報です。
Q. どの業務から始めるべきですか?
A. 進捗連絡です。件数が多く、依頼者情報が不要で、失敗しても影響が小さいためです。次に必要書類の案内、その次に相続の説明資料という順をお勧めします。
Q. 相続の説明が毎回大変です
A. 相続人の構成パターンごとに説明文の型を用意してください。配偶者と子/未成年がいる/相続人が多数/疎遠な相続人がいる、の4類型を作れば、案件ごとに一部を差し替えるだけで済みます。作成時に依頼者情報は不要です。
Q. 相続関係の整理に使えますか?
A. 使わないでください。戸籍から相続人を確定する作業は司法書士の責任で行うものです。AIに任せるのは、確定した後の説明の文章化だけです。
Q. 補助者に使わせても大丈夫ですか?
A. 指示文と入力禁止事項を共有フォルダに置いてから始めてください。口頭で伝えるだけだと運用が揃いません。とくに入力してはいけない情報は書面で共有すべきです。
Q. 債務整理でも使えますか?
A. 最も慎重に扱うべき領域です。依頼者の経済状況という機微な情報を扱うため、個別事情は一切入力しない前提にしてください。使えるのは制度の一般的な説明文の作成に限られます。
Q. 確認の時間が増えませんか?
A. 増えます。モデルケースでも確認工程を月1時間新設しています。依頼者に送る文書を確認せずに出すことはできないためです。それでも全体では半分以下になります。
Q. 無料版でも使えますか?
A. 説明文や案内文の作成であれば、入力も出力も短いため無料版で足ります。ただし入力内容の扱いは必ず確認してください。守秘義務がある以上、費用より安全性の判断が優先されます。
Q. 決済当日にも使えますか?
A. 事前の案内文には使えますが、当日の判断にAIを挟まないでください。決済は時間の制約が厳しく、確認に時間をかけられません。事前準備の効率化に限定してください。
Q. 効果はどのくらい出ますか?
A. 業務内容によります。モデルケース(相続登記と決済が中心・月12件・一人事務所)では月約7.7時間の削減という試算になりました。ただしこれは想定にもとづく試算であり、まず自事務所で1週間、対象作業の時間を計測することをお勧めします。
まとめ
- 使ってはいけないのは4工程=登記の可否判断/本人確認/書類の確定/法令の確認
- 本人確認と意思確認は業務の核心。効率化の対象と考えない
- 使えるのは依頼者に伝える工程(説明文・案内文・進捗連絡)
- 入力しないものは4つ=氏名/物件情報/金額/個別事情
- 相続は4類型の説明文を用意すれば、差し替えだけで済む
- 相続関係の確定はAIにさせない。確定後の文章化だけを任せる
- 日付や期限を計算させない。型だけ作らせ、日付は自分で入れる
- 始めるなら件数の多い進捗連絡から。指示文を保存して使い回す
司法書士の価値は、登記の正確性と本人確認にあります。そこに集中するために、伝える工程を軽くするという考え方です。
士業全般の活用は士業のAI活用、行政書士業務は行政書士のAI活用、記帳・給与業務は士業の記帳・給与計算をご覧ください。
他の士業での使われ方も含めて、士業のAI活用ソリューションにまとめています。
自社の業界での活用を、相談してみませんか?
記事だけでは分からない「自社の場合」を、無料でご提案します。12問の診断で、いまのAI活用が5段階のどこにいるかをメールでお送りします。
無料で相談する → 無料でAI導入必要性診断(12問)


