医療・介護のAI活用|記録・書類・情報共有を効率化する方法
業務効率化支援を行う「AIで業務を楽に」代表。国立大学でAIの研究を行い、ITコンサル・ウェブコンサルを経て独立。官公庁向けの業務効率化や上場企業の支援等を経て、中小企業の現場に定着するAI活用を企画から運用まで一気通貫で支援している。

- 医療・介護でAIはどんな業務に使えますか?
- 記録・報告書の作成、書類作成、情報共有、問い合わせ対応などの間接業務に活用できます。
- 記録業務はAIで減らせますか?
- 口述やメモから記録・報告を整形でき、記録にかかる時間を削減できます。
- 個人情報の扱いは大丈夫ですか?
- 取り扱うデータの範囲やルールを定めたうえで、安全に配慮して導入することが重要です。
利用者と向き合いたいのに、記録や申し送り、書類の作成に時間を取られ、ケアの時間が削られていく——。医療・介護の現場では、「人にしかできないケア」を担う職員ほど、記録業務に追われているという切実な悩みがあります。慢性的な人手不足のなか、記録の負担が離職の一因になることも。
採用は簡単ではありません。だからこそ、記録・申し送り・書類作成といった業務をAIで軽くし、職員はケアという本来の仕事に集中する——これが、いま医療・介護で価値の大きいAI活用です。職員の負担軽減は、ケアの質と職場の定着にも直結します。
本記事では、医療・介護でAIが効率化できる業務を、実際の数字が見えるモデルケースとともに、現場目線で解説します。AI導入の全体像は中小企業のAI導入は何から始める?もあわせてご覧ください。
- 医療・介護でAIが効率化できる業務(記録・申し送り・書類・情報共有)
- 【モデルケース試算】従業員40名の介護施設が「月87時間・年間230万円」を削減した中身
- 導入を成功させる手順と、個人情報・専門判断で必ず守るべき注意点
結論:医療・介護のAI活用は「記録・文書業務を軽くする」
結論として、医療・介護のAI活用とは「記録・申し送り・書類・連絡といった文書業務をAIで軽くし、職員はケアと専門的な判断に集中する」ことです。現場では、直接のケア以外に、記録・報告・書類に多くの時間がかかっています。ここを軽くすることが、ケアの時間と職員の余裕を取り戻す第一歩です。
難しい機器は不要です。ケアの内容を短く話す・メモするだけで、AIが整った記録や申し送りに整形。ただし、個人情報の保護と、専門職による最終判断は絶対条件です(詳しくは後述)。
医療・介護が抱えやすい課題

AIで解決しやすい課題を整理します。次のような業務が、ケアの時間を圧迫しています。
- 介護記録・ケア記録の作成に時間がかかり、直接のケアが削られる
- 申し送り・日報・報告など、記録・共有の業務が多い
- 人手不足で一人あたりの負担が大きく、記録が離職の一因にもなっている
- 情報共有・引き継ぎに手間がかかり、伝達漏れのリスクがある
いずれも「繰り返しが多く、文章化が中心」の業務です。AIが下ごしらえを担える領域で、効果が出やすいポイントです。
医療・介護でAIが効率化できる業務

介護記録・ケア記録の作成
ケアの内容を短く話す・メモするだけで、AIが整った記録に整形します。記録のために手を止める時間が減り、その分を利用者と向き合う時間に回せます。
申し送り・日報・情報共有
その日の状況を渡せば、要点を押さえた申し送りや日報の下書きを作成。引き継ぎの抜け漏れを減らし、シフトをまたいだ情報共有をスムーズにします。
ケアプラン・書類の下書き補助
必要情報をもとに、ケアプランや各種書類の下書き(たたき台)を作成。専門職はゼロから作る負担が減り、内容の検討・調整に集中できます(作成・決定は必ず専門職が行います。後述)。
家族への連絡文・会議議事録
ご家族への連絡文や、会議・カンファレンスの議事録の下書きもAIが補助。丁寧な連絡と正確な記録を、少ない手間で継続できます。
【モデルケース】従業員40名の介護施設G苑が、月87時間を減らすまで
「AIで効率化できる」と言われても、自社に当てはめると何がどれだけ変わるのかは見えにくいものです。そこで、地域の介護施設G苑(従業員40名)を例に、具体的な数字で見ていきます。
※G苑は実在の施設ではなく、中小の介護施設によくある状況をもとにしたモデルケース(試算)です。数値は「職員の平均時給2,200円・月20営業日」を前提とした試算で、実際の効果は条件により変動します。
導入前:記録の時間が、ケアの時間を奪っていた
G苑では、職員が勤務の合間や終業後に記録・申し送りをまとめており、残業や持ち帰りが常態化していました。「利用者ともっと向き合いたいのに、記録に追われて余裕がない」——職員のこの声が、離職にもつながっていました。
着手:効果の大きい5業務を試算した
G苑は全業務を一度にAI化せず、時間のかかる記録・文書業務5つに絞って試しました。AIに整形・下書きを任せ、職員はケアと確認に回ります。
| 業務 | 導入前 (時間/月) |
導入後 (時間/月) |
削減時間 (時間/月) |
削減額 (円/月) |
|---|---|---|---|---|
| 介護記録・ケア記録 | 60 | 24 | 36 | 79,200 |
| 申し送り・日報 | 30 | 12 | 18 | 39,600 |
| ケアプラン下書き補助 | 24 | 10 | 14 | 30,800 |
| 家族への連絡文 | 16 | 6 | 10 | 22,000 |
| 会議・議事録 | 14 | 5 | 9 | 19,800 |
| 合計 | 144 | 57 | 87 | 191,400 |

合計で月87時間、金額にして約19.1万円分の作業が削減される計算です。記録と申し送りで大きく時間が浮き、その分を利用者と向き合うケアの時間に戻せるようになりました。職員の残業も減り、職場の余裕が生まれています。
途中でのつまずき(正直な話です)
G苑では、導入初期に「AIの記録が実際のケアと少しずれる」ことがありました。そこで職員が話した内容をAIが整形し、必ず本人が確認・修正してから記録する流れに統一。AIはあくまで”清書を助ける道具”と位置づけたことで、正確さを保ちながら時間を短縮できました。
結果:投資は約1.9ヶ月で回収、年間230万円の削減へ
AIツールと運用サポートを月3万円、初期の設定・研修費を30万円と置くと、投資回収は次のようになります。

初期投資はおよそ1.9ヶ月で回収、あとは毎月16万円以上が浮き続ける計算です。金額以上に大きいのは、職員がケアに集中でき、残業や持ち帰りが減ったこと。負担軽減は、ケアの質の向上と職員の定着に直結します。
「自社の記録・書類業務は、どれくらい軽くできるか」を試算してみたい方は、無料相談で一緒に数字を出します。
医療・介護のAI導入を成功させるステップ
まずは記録や申し送りなど、負担が大きく取り組みやすい業務を1つ選んで小さく試すのがおすすめです。G苑のように、実際の削減時間を数値で確認してから広げましょう。具体的な進め方はAI導入の5ステップ、ツール選びはAIツールの選び方を参考にしてください。
医療・介護でAIを使う際の注意点
個人情報の保護を最優先にする
利用者の氏名・病歴・ケア内容などの個人情報を、外部AIに不用意に入力しないルールを最初に決めます。入力してよい情報の範囲を明確にし、必要に応じて情報を伏せて使うなど、個人情報保護を最優先に運用します。
専門的な判断・決定は必ず人が行う
ケアプランや医療・介護に関わる判断は、AIの下書きをそのまま使わず必ず専門職が確認・決定します。AIは記録や下書きの効率化に使い、専門的な判断と責任は人が担うのが前提です。
よくある質問(FAQ)
Q. 医療・介護でAIはどんな業務に使えますか?
A. 介護記録・ケア記録、申し送り・日報、ケアプランや書類の下書き補助、家族への連絡文、議事録などに活用できます。記録・文書業務ほど効果が出ます。
Q. 個人情報を扱うので不安です。大丈夫ですか?
A. 入力してよい情報の範囲を最初に決め、個人が特定される情報は伏せて使うなどのルールを整えれば、個人情報を守りながら活用できます。運用ルールづくりが最も重要です。
Q. 本当に投資を回収できますか?
A. 記事内のモデルケース(試算)では、月3万円のツール費に対し月19.1万円分の作業を削減し、初期費用を約1.9ヶ月で回収する計算になりました。「削減時間×時給」で試算すれば、自社の回収の目安がつかめます。
Q. 何から始めればいいですか?
A. 記録や申し送りなど、負担が大きく取り組みやすい業務から1つ選んで小さく試すのがおすすめです。
まとめ:記録の負担を減らし、ケアの時間を取り戻す
- 医療・介護は記録・申し送り・書類・情報共有など、AIで効率化できる業務が多い
- モデルケースでは月87時間・年間230万円の削減、投資回収は約1.9ヶ月という試算に
- 職員の負担軽減は、ケアの質の向上と定着にも直結する
- 個人情報の保護を最優先に、専門的な判断・決定は必ず人が行う
医療・介護のAI活用は、記録の負担を減らし、職員がケアという本来の仕事に集中できる体制づくりに直結します。Ai-Rakuでは、医療・介護の現場と個人情報の扱いを理解したうえで、AI導入を企画から定着までご支援しています。まずは無料相談から、貴施設の削減余地を一緒に見てみませんか。