企画書をAIで作る|通らない企画書を通る形に変える手順
業務効率化支援を行う「Ai-Raku(アイラク)」代表。国立大学でAIの研究を行い、ITコンサル・ウェブコンサルを経て独立。官公庁向けの業務効率化や上場企業の支援等を経て、中小企業の現場に定着するAI活用を企画から運用まで一気通貫で支援している。

- 企画の中身もAIに考えさせてよいですか?
- お勧めしません。出てくるのは一般的な内容で、自社の状況が反映されていないためです。アイデアは自分で出し、それを他人に伝わる形に整える工程をAIに任せてください。整える工程が、実は最も時間のかかる部分です。
- 想定質問はいくつ出させればよいですか?
- 10個程度が適量です。そのうち答えられないものが2〜3個見つかれば十分な成果です。答えられない質問は企画の弱点なので、答えを用意するか企画そのものを見直してください。
- 効果の数字が出せません
- 無理に作らないでください。根拠のない数字は、あるだけで信用を下げます。定性的に書くか、「試行後にこの指標で判断します」と効果の測り方を先に示す方法があります。可能なら1週間かけて現状を計測してください。
- 何度も差し戻されます
- 差し戻し時の最初の質問を振り返ってください。それが決裁者の関心です。費用を聞かれるなら費用を前に、リスクを聞かれるならリスクと対処を前に持ってきてください。内容ではなく順番の問題であることが多くあります。
- 大きな企画ほど通りません
- 規模を縮小した試行案を併記してください。「まず1部署で3か月試す」という形にすると、判断のハードルが下がります。全社導入の承認より、試行の承認のほうが通ります。
- 無料のAIでもできますか?
- できます。本記事の手順は、材料を箇条書きで渡して構成と想定質問を出させるだけなので、入力も出力も短く、無料版の制約にかかりません。長い既存企画書を作り替える場合のみ、章ごとに分けて進めてください。
- AI導入の企画書は何から書くべきですか?
- 用途から書いてください。総務省の白書では、導入の懸念事項は1位「効果的な活用方法がわからない」、2位「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」、その後に費用が続きます。用途 → 情報の扱い → 費用の順が、決裁者の関心の順と一致します。
- 他社事例を載せたいのですが手元にありません
- 実在しない事例をAIに作らせないでください。代わりに公表統計を使えます。たとえば生成AIの活用方針を定めている日本企業は2024年度調査で49.7%(前年42.7%)という数字は、出典を明記すれば根拠として使えます。
- 決裁者が複数いて関心がバラバラです
- 最も慎重な人に合わせてください。リスクと対処を前に置く構成にしておけば、他のタイプの人にも必要な情報は届きます。逆に成果重視の構成にすると、慎重な人が最後まで読まずに保留にします。
- 想定質問に答えられないものが多すぎます
- 企画そのものを見直す合図です。ただし、すべてに答えられる必要はありません。「現時点では未確定。試行後に判断する」と正直に書く選択肢もあります。答えを作ってごまかすより、確実に通ります。
- 企画書と提案書は書き分けが必要ですか?
- 必要です。社内向けは会社の状況説明を省けるため、いきなり本題から入れます。社外向けは「御社は現在こういう状況とお見受けします」から始める必要があります。同じ内容でも前半の構成が変わります。作り替え自体はAIに任せられます。
時間をかけて書いた企画書が、一言で差し戻される。「で、いくらかかるの」「他社はどうしてるの」「それ本当に効果あるの」。答えられずに持ち帰り、また書き直す。
企画書が通らない原因は、内容そのものより順番と、想定質問への備えにあることがほとんどです。良いアイデアでも、決裁者が知りたい順に並んでいなければ読まれません。
この2つは、生成AIで大きく改善できます。ただし「企画書を書いて」と頼んでも通る企画書は出てきません。何を任せ、何を自分でやるかの線引きが必要です。本記事では、その手順を具体的に整理します。
- 企画書が通らない4つの原因
- 決裁者のタイプ別・並べる順番
- 想定質問を先に潰す方法
- そのまま使えるプロンプト5種
- 数字の扱いで失敗しないための原則
- 社内稟議と社外提案の書き分け
結論|順番を直せば通り方が変わる
最初に要点をお伝えします。
内容より順番
差し戻される企画書の多くは、書いてある内容は十分なのに、順番が読み手と合っていません。
費用を最も気にする決裁者に対して、費用が7ページ目に出てくる。リスクを気にする決裁者に対して、リスクの記載がない。これでは、内容の良し悪し以前に読まれません。
質問される前に答える
もう1つが、想定質問への備えです。差し戻しの大半は、答えられなかった質問が原因です。
逆に言えば、出そうな質問を事前に洗い出し、答えを用意しておけば、その場で決まります。この「出そうな質問を挙げる」作業が、AIの得意分野です。
アイデアは自分で出す
誤解のないように書きますが、企画の中身をAIに考えさせるのは避けてください。出てくるのは一般的な内容で、自社の状況が反映されていません。
AIに任せるのは、自分の中にあるアイデアを他人に伝わる形に整える工程です。ここが最も時間のかかる部分でもあります。
データで見る決裁者の関心
AI導入の企画書を書く場合、決裁者が何を気にするかは公表資料から推測できます。この記事の中核である「順番」を決める材料になります。
懸念の順位が構成の順番になる
総務省が2025年7月に公表した「令和7年版 情報通信白書」によると、生成AI導入に際しての懸念事項について、日本では次の順で挙げられています(出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」企業におけるAI利用の現状)。
- 効果的な活用方法がわからない
- 社内情報の漏えい等のセキュリティリスク
- ランニングコストがかかる
- 初期コストがかかる
つまりAI導入の企画書では、費用の説明より「具体的に何にどう使うか」を先に書くべきということです。費用から書き始める企画書は、決裁者の1位の関心に答えていません。
費用は3番目と4番目
費用が懸念に入っていないわけではありません。ただし1位と2位を解消しないまま費用の話をしても判断できない、という順位です。
この記事で「決裁者のタイプ別に順番を変える」と述べていますが、AI導入に限れば、用途 → 情報の扱い → 費用という順が公表データと整合します。
他社の状況を材料にする
同白書では、生成AIの活用方針を定めている日本企業の割合は2024年度調査で49.7%(2023年度調査は42.7%)と報告されています。また企業規模別では、中小企業では「方針を明確に定めていない」との回答が約半数を占めるとされています。
この数字は企画書に使えます。「同規模の会社の半数がまだ方針を決めていない段階です」という書き方は、慎重な決裁者に対して「出遅れてはいない」と「今なら差をつけられる」の両方を伝えられます。出典を明記すれば、根拠のある数字として扱えます。
企画書が通らない4つの原因
原因を分けると、対処が明確になります。
決裁者の関心とずれている
最も多い原因です。書き手が伝えたいことと、決裁者が知りたいことが違っています。
書き手は「この企画がいかに良いか」を書きたくなります。しかし決裁者は「これをやると何がどうなるか」「失敗したらどうなるか」を知りたい。この差が埋まっていません。
数字の根拠がない
「効率が30%上がります」と書いてあるが、その30%がどこから来たのか書かれていない。根拠のない数字は、あるだけで信用を下げます。
数字を書くなら、何と比べて、どういう前提で、どう計算したかを添えてください。書けないなら、数字を外して定性的に書くほうが通ります。
反対意見への言及がない
良い面だけが書かれた企画書は、警戒されます。「都合の悪いことを隠しているのでは」と読まれるためです。
リスクと、それへの対処を先に書いてある企画書のほうが、信頼されて通ります。
次のアクションが不明確
読み終えて「で、私は何をすればいいのか」が分からない企画書は、保留になります。承認してほしいのか、意見が欲しいのか、予算が欲しいのか。これを最初に書いてください。
決裁者のタイプ別・並べる順番
誰が読むかで、構成は変わります。3つの型に整理します。
| タイプ | 最初に知りたいこと | 推奨する順番 |
|---|---|---|
| 費用重視 | いくらかかって、何が返ってくるか | 結論 → 費用 → 効果 → 進め方 → リスク |
| リスク重視 | 失敗したらどうなるか | 結論 → リスクと対処 → 小さく始める案 → 費用 → 効果 |
| 成果重視 | 何がどう変わるか | 結論 → 現状の問題 → 変化後の姿 → 進め方 → 費用 |
どのタイプでも共通するのは、1ページ目に結論と依頼事項を置くことです。ここは例外がありません。
タイプを見極める
過去に差し戻されたときの質問を思い出してください。最初に聞かれた質問が、その人の関心です。
「いくら」と聞かれたなら費用重視、「もし失敗したら」と聞かれたならリスク重視。この観察が、次の企画書の構成を決めます。
複数人が読む場合
役員会など複数人が読む場合は、最も慎重な人に合わせるのが確実です。リスク重視の構成にしておけば、他のタイプの人にも情報が届きます。
小さく始める案を添える
どのタイプにも効くのが、「まず1部署で3か月試す」という小さな案を併記することです。
判断のハードルが下がり、その場で決まりやすくなります。全社導入で承認を求めるより、試行の承認を求めるほうが通ります。
作成の5手順
実際の進め方です。1本あたり40分程度で形になります。
材料を箇条書きで出す
まず、整理せずに書き出します。やりたいこと、困っていること、手元にある事実、制約。順番も体裁も気にしません。
この段階で整理しようとすると手が止まります。思いつく順に並べてください。
決裁者の情報を書く
次に、読む人の情報を書きます。立場、関心、過去に受けた質問、慎重かどうか。ここが出力の質を最も左右します。
構成を出させる
材料と決裁者情報を渡し、構成だけを出させます。中身はまだ書かせません。
出てきた構成を見て、順番の妥当性を確認します。自分が一番言いたいことが最初に来ているなら、たいてい直す必要があります。決裁者が知りたいことが先です。
想定質問を挙げさせる
ここが本記事で最も重要な工程です。「この企画に対して決裁者から出そうな質問を10個」と聞きます。
出てきた質問のうち、答えられないものがあれば、そこが企画の弱点です。答えを用意して本文に組み込むか、あるいは企画そのものを見直します。
本文を書く
構成と想定質問への答えが揃ったら、本文を書きます。ここは要点をAIに展開させ、自分で直す形で構いません。
冒頭と結論だけは自分の言葉にしてください。ここに書き手の意思が出ます。
そのまま使えるプロンプト例
実際に使える指示文を載せます。
構成を出させる
企画書の構成を作成してください。各ページの中身はまだ書かないでください。
【やりたいこと】
(箇条書き。整理されていなくて構いません)
【決裁する人】
(立場/何を重視するか/過去に受けた質問)
【手元にある事実】
(数字、経緯、制約。無い項目は書かなくて構いません)
【出力】
・1ページ目に結論と依頼事項を置く
・以降は、決裁する人が知りたい順に並べる
・各ページの見出しと、そのページの役割を1行ずつ
・全体で6〜10ページ
・手元にない数字を作らないでください。必要な箇所は「(要調査)」と書いてください
想定質問を挙げさせる
以下の企画に対して、決裁者から出そうな質問を10個挙げてください。
・厳しい質問を優先してください
・「なぜ今なのか」「他の選択肢はないのか」「失敗したらどうなるのか」の観点を必ず含めてください
・質問だけを挙げ、答えは書かないでください
【企画の内容】(貼る)
【決裁する人】(立場と重視する点)
「答えは書かないでください」の指定が重要です。答えまで出させると、それらしい答えを鵜呑みにしてしまいます。答えは自分で用意してください。
リスクを書き出させる
以下の企画について、想定されるリスクを挙げてください。
・実行中に起きうる問題
・期待した効果が出なかった場合の影響
・関係部署から出そうな反対意見
【条件】
・それぞれについて、事前にできる対処を1行で
・起きる可能性が低いものは除いてください
・5〜7個に絞ってください
【企画の内容】(貼る)
小さく始める案を作らせる
以下の企画について、規模を縮小した試行案を作成してください。
・対象範囲(部署・期間・件数)
・その範囲で確かめられること
・確かめられないこと(正直に)
・試行にかかる費用の考え方(金額は書かず、何が費用を決めるかを説明)
・試行後の判断基準
【企画の内容】(貼る)
4つ目の項目にご注目ください。金額を書かせず「何が費用を決めるか」を書かせることで、根拠のない数字が入るのを防げます。
1枚に要約させる
以下の企画書を、1枚に収まる形に要約してください。
・結論と依頼事項を1行
・根拠を3点、各1行
・リスクと対処を1行
・次のアクションを1行
【厳守事項】
・元の企画書にある数字だけを使い、新しい数字を作らないでください
・元の企画書にない主張を追加しないでください
【企画書】(貼る)
プロンプトの作り方はプロンプトの書き方・コツ|すぐ使えるテンプレート集もご覧ください。
数字の扱いで失敗しない
企画書で最も事故が起きるのが、ここです。
AIに数字を作らせない
「一般的にどれくらいの効果がありますか」と聞くと、それらしい数字が返ってきます。その数字には根拠がありません。
企画書に載せて突っ込まれると、企画そのものの信頼が崩れます。生成AIが事実でない内容を出す性質はAIハルシネーション対策|原因と防ぐ7つの実務で詳しく扱っています。
自社で計測した数字を使う
最も強い数字は、自社で実際に計測したものです。「現在、この作業に月◯時間かかっている」という数字は、誰も否定できません。
計測に1週間かかっても、その価値があります。企画書の説得力が根本から変わります。
出典のある数字を使う
外部の数字を使うなら、公的機関や業界団体の公表資料など、出典を明示できるものにしてください。企画書に出典を書いておけば、質問されても答えられます。
書けないなら定性で書く
数字がないなら、無理に作らないでください。「現状こうなっている」「これが解消される」と定性的に書くほうが、根拠のない数字より通ります。
あるいは「効果の測り方」を先に提示する方法もあります。「試行後にこの指標で判断します」と書けば、数字がなくても判断できます。
モデルケース|月2本の企画書(試算)
効果のイメージを示します。以下は実在の企業ではなく、当社が想定する典型的な状況にもとづく試算です。効果は内容や体制によって変わります。
導入前の状況
従業員60名のサービス業。企画部門の担当者が、月に2本の企画書を作成しています。
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 1本あたりの作成時間 | 約6時間 |
| 一度で通る割合 | 2本に1本 |
| 差し戻し時の追加時間 | 約3時間 |
| 差し戻しの主な理由 | 質問に答えられない/費用の根拠が弱い |
変えたこと
作り方を3点変えました。
- 決裁者のタイプを特定:過去の質問を振り返り、費用重視と判断。構成を費用が前に来る順に変更
- 想定質問を先に洗い出す:本文を書く前に10個挙げ、答えられないものを潰す
- 小さく始める案を併記:全社導入ではなく、1部署3か月の試行として提案
結果の試算
時給換算2,500円・月20営業日を前提とした試算です。
| 項目 | 導入前 | 導入後(試算) |
|---|---|---|
| 1本あたりの作成時間 | 6時間 | 3.5時間 |
| 一度で通る割合 | 2本に1本 | 4本に3本 |
| 差し戻しによる追加(月) | 3時間 | 1.5時間 |
| 月2本の合計時間 | 15時間 | 8.5時間 |
| 削減見込み(月) | — | 約6.5時間 |
| 金額換算(月) | — | 約16,250円 |
この会社で最も評価されたのは、時間より企画が実際に動き出すまでの期間が短くなったことでした。差し戻されて次の会議まで1か月待つ、という状態がなくなっています。
また、想定質問を先に潰す工程が、企画の質そのものを上げているという指摘もありました。答えられない質問が見つかることは、企画の弱点が見つかることと同じです。
「自社の企画書のどこを直せば通るか」を知りたい方へ。実際の企画書を拝見しながらご提案します。初回のご相談は無料です。無料相談はこちら。
社内稟議と社外提案の書き分け
同じ企画でも、相手が変われば書き方が変わります。
社内は前提を省ける
社内の稟議では、会社の状況を説明する必要がありません。いきなり本題から入れます。
逆に、社外向けの資料をそのまま社内に出すと、前置きが長くて要点が伝わりません。用途に応じて削ってください。
社外は前提から書く
社外提案では、相手の状況をこちらが理解していることを最初に示す必要があります。「御社は現在こういう状況とお見受けします」から入る構成です。
ここが外れていると、以降の内容が読まれません。営業での使い方は営業のAI活用|提案書・メール・議事録・顧客リサーチを効率化する方法をご覧ください。
作り替えを任せる
一度作った企画書を、別の相手向けに作り替える作業はAIに任せられます。「この企画書を、社内の役員会向けに要点だけにまとめて」といった依頼です。
ゼロから作るより速く、内容の整合も保たれます。
構成が固まったあとの見た目
企画書は、内容が良くても見た目で損をすることがあります。とくに社外提案では、体裁が判断材料の一部になります。
見た目に時間をかけすぎない
まず前提として、企画書が通るかどうかを決めるのは順番と想定質問への備えです。ここまで述べてきたとおりで、体裁は最後の仕上げにすぎません。
ただし、構成が固まったあとに見た目が決まらず何時間も溶けるのであれば、それは別の問題です。ここには別の解き方があります。
PowerPointで直さずHTMLで作る
配置を動かしては戻す作業に時間がかかっているなら、いったんHTMLで作る方法があります。「余白をもっと広く」「この2つを横並びに」と言葉で伝えるだけで直るため、自分でドラッグする必要がありません。
Anthropicの「Claude Design」は、左側がチャット・右側がキャンバスという構成で、作ったものをPDF・PPTX・スタンドアロンHTMLなどの形式でエクスポートできるとされています(出典:Anthropic「Get started with Claude Design」)。提供対象は Pro / Max / Team / Enterprise で、現時点ではベータ版です。
HTMLで見た目を詰めてからPPTXで書き出し、PowerPointで仕上げる。試行錯誤の部分だけ別の場所で済ませるという考え方です。
社内様式があるなら不要
ただし、社内の企画書フォーマットが決まっている会社では、ここに手をかける余地がありません。決まった様式に沿って書くほうが速く、通りやすくもあります。
見た目に投資する価値があるのは、社外提案で受注に直結する場面に限られます。社内稟議であれば、体裁より想定質問への答えを用意するほうが確実です。具体的な作り方はパワポ資料をAIで作る方法で扱っています。
情報の扱いで決めること
企画書には社内の未公開情報が含まれます。
数字を伏せても構成は作れる
構成を作らせる段階では、具体的な金額や取引先名は不要です。「既存事業の一部を効率化する企画」という抽象度で十分な構成が出ます。
未公開の計画を入力しない
新規事業、人事、組織変更など、社外に出ていない情報は入力を避けてください。抽象化して相談する形にすれば、構成の助言は受けられます。
設定を確認する
入力内容が学習に使われない設定を確認し、記録に残してください。社内ルールの作り方は社内AIルールの作り方|情報漏洩を防ぐ生成AIガイドライン8項目で解説しています。
業種別・企画書で問われる点
同じ企画でも、業種によって決裁者が突いてくる点が違います。想定質問を作る際の参考にしてください。
建設・設備工事
最も問われるのは「現場が回るのか」です。本社で決めた施策が現場で使われない経験があるため、実行可能性への疑いが強く出ます。
対策は、現場の担当者1名の意見を企画書に載せることです。「◯◯現場の△△に確認したところ、この形なら使えるとのこと」という一文があるだけで、通り方が変わります。
製造業
最も問われるのは「品質に影響しないか」です。効率化と品質はトレードオフだという前提で見られます。
対策は、品質に関わる工程には手を付けないことを明示することです。「対象は報告書作成と社内文書に限定し、検査・記録の工程は変更しません」と先に書いてください。
小売・卸売
最も問われるのは「店舗の負担が増えないか」です。本部主導の施策が店舗の作業を増やしてきた経緯があると、警戒が強くなります。
対策は、店舗側の作業が増減する部分を表で示すことです。増える作業があるなら隠さず書くほうが、結果的に信頼されます。
士業・コンサルティング
最も問われるのは「守秘義務に反しないか」です。ここは費用や効果より優先される論点になります。
対策は、企画書の前半に情報の扱いを書くことです。「顧問先の情報は入力しません」「入力する情報の範囲はこれです」を先に示さない限り、以降が読まれません。
医療・介護
最も問われるのは「患者・利用者の情報はどう扱うか」です。ここも費用より先に来ます。
対策は、対象業務を明確に限定することです。「対象は院内の掲示物・案内文・手順書の作成に限り、診療記録や個人情報は対象外」と範囲を先に切ってください。
よくある質問(FAQ)
Q. 企画の中身もAIに考えさせてよいですか?
A. お勧めしません。出てくるのは一般的な内容で、自社の状況が反映されていないためです。アイデアは自分で出し、それを他人に伝わる形に整える工程をAIに任せてください。整える工程が、実は最も時間のかかる部分です。
Q. 想定質問はいくつ出させればよいですか?
A. 10個程度が適量です。そのうち答えられないものが2〜3個見つかれば十分な成果です。答えられない質問は企画の弱点なので、答えを用意するか企画そのものを見直してください。
Q. 効果の数字が出せません
A. 無理に作らないでください。根拠のない数字は、あるだけで信用を下げます。定性的に書くか、「試行後にこの指標で判断します」と効果の測り方を先に示す方法があります。可能なら1週間かけて現状を計測してください。
Q. 何度も差し戻されます
A. 差し戻し時の最初の質問を振り返ってください。それが決裁者の関心です。費用を聞かれるなら費用を前に、リスクを聞かれるならリスクと対処を前に持ってきてください。内容ではなく順番の問題であることが多くあります。
Q. 大きな企画ほど通りません
A. 規模を縮小した試行案を併記してください。「まず1部署で3か月試す」という形にすると、判断のハードルが下がります。全社導入の承認より、試行の承認のほうが通ります。
Q. 無料のAIでもできますか?
A. できます。本記事の手順は、材料を箇条書きで渡して構成と想定質問を出させるだけなので、入力も出力も短く、無料版の制約にかかりません。長い既存企画書を作り替える場合のみ、章ごとに分けて進めてください。
Q. AI導入の企画書は何から書くべきですか?
A. 用途から書いてください。総務省の白書では、導入の懸念事項は1位「効果的な活用方法がわからない」、2位「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」、その後に費用が続きます。用途 → 情報の扱い → 費用の順が、決裁者の関心の順と一致します。
Q. 他社事例を載せたいのですが手元にありません
A. 実在しない事例をAIに作らせないでください。代わりに公表統計を使えます。たとえば生成AIの活用方針を定めている日本企業は2024年度調査で49.7%(前年42.7%)という数字は、出典を明記すれば根拠として使えます。
Q. 決裁者が複数いて関心がバラバラです
A. 最も慎重な人に合わせてください。リスクと対処を前に置く構成にしておけば、他のタイプの人にも必要な情報は届きます。逆に成果重視の構成にすると、慎重な人が最後まで読まずに保留にします。
Q. 想定質問に答えられないものが多すぎます
A. 企画そのものを見直す合図です。ただし、すべてに答えられる必要はありません。「現時点では未確定。試行後に判断する」と正直に書く選択肢もあります。答えを作ってごまかすより、確実に通ります。
Q. 企画書と提案書は書き分けが必要ですか?
A. 必要です。社内向けは会社の状況説明を省けるため、いきなり本題から入れます。社外向けは「御社は現在こういう状況とお見受けします」から始める必要があります。同じ内容でも前半の構成が変わります。作り替え自体はAIに任せられます。
まとめ
- 企画書が通らないのは内容より順番と想定質問への備え
- 決裁者のタイプ(費用重視・リスク重視・成果重視)で並べる順を変える
- 共通するのは1ページ目に結論と依頼事項。ここは例外なし
- 本文を書く前に想定質問を10個挙げる。答えられないものが企画の弱点
- アイデアはAIに考えさせない。整える工程だけ任せる
- AIに数字を作らせない。自社で計測した数字か、出典のある数字だけ
- 数字が出せないなら定性で書くか、効果の測り方を先に示す
- 小さく始める案を併記すると判断のハードルが下がる
企画書は、書く力より読む人の関心を把握する力で通り方が決まります。次に書くとき、まず「この人は何を最初に聞くか」から考えてみてください。
スライドの作り方はパワポ資料をAIで作る方法、無料でどこまでできるかは資料作成AIは無料でどこまで?、業務としての整理は資料・提案書作成のAI活用、他の業務も含めた全体像は業務効率化のアイデア20選にまとめています。


