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AI電話対応の導入|できること・費用・デメリットを整理

📅 公開日 2026.08.08 ⏱ 読了 約20分
前田 大輔
監修者
前田 大輔Ai-Raku(アイラク) 代表

業務効率化支援を行う「Ai-Raku(アイラク)」代表。国立大学でAIの研究を行い、ITコンサル・ウェブコンサルを経て独立。官公庁向けの業務効率化や上場企業の支援等を経て、中小企業の現場に定着するAI活用を企画から運用まで一気通貫で支援している。

Qこの記事のポイント
電話を全部AIに任せられますか?
お勧めしません。答え方が決まっている用件から始め、込み入った相談やクレームは人につなぐ設計にしてください。まずは「人が出るべき電話に集中できる状態」を目指すのが現実的です。
お客様に冷たい印象を与えませんか?
与える可能性はあります。緩和策は2つで、AIが対応していることを隠さないことと、人につながる導線を必ず用意することです。この2つがあると、抵抗はかなり減ります。年配のお客様が多い業種では、時間外のみの導入から検討してください。
費用はどれくらいかかりますか?
サービスによって料金体系が大きく異なるため、一律の相場はお示しできません。通話量・回線数・初期設定の3要素で決まりますので、自社の着信件数を記録したうえで見積もりを取ってください。応答内容を自社で変更できるかも必ず確認してください。
電話代行とどちらがよいですか?
用件が定型的で件数が多く、24時間対応したいならAI。用件の種類が読めず件数が少ないなら人の代行が向きます。時間外はAI、営業時間内は人、という併用も選択肢です。
予約システムとの連携は必須ですか?
必須ではありません。まずは「予約希望を聞き取って記録し、人が確定させる」形から始められます。この形ならシステム改修なしで運用でき、効果を確かめてから連携を検討できます。
導入にどのくらいかかりますか?
用件の記録に2週間、回答内容の作成に1〜2週間、試験運用に1か月程度が目安です。全体では2か月前後を見ておくと無理がありません。当社の支援は初期費用0円・月額5万円〜です。

施術中、運転中、来客対応中。手が離せないときほど電話は鳴ります。取れなければ機会を失い、取れば目の前の仕事が止まる。どちらを選んでも損をしている、という状態が毎日続いていませんか。

AI電話対応は、この状況を変える選択肢の1つです。ただし「電話を全部AIに任せる」という発想で導入すると、ほぼ失敗します。実際に効果が出るのは、答え方が決まっている用件だけをAIに寄せ、人が出るべき電話に集中できる状態を作ったときです。

本記事では、できることとできないこと、導入前に知っておくべきデメリット、費用が決まる仕組み、電話代行サービスとの違いを整理します。読み終えるころには、自社に必要かどうかを自分で判断できる状態になります。

この記事でわかること

  • AI電話対応でできること・できないことの線引き
  • 導入前に知っておくべき3つのデメリット
  • 費用が決まる3つの要素と、自社で試算する方法
  • 電話代行サービスとの違いと使い分け
  • 業種別の向き・不向き
  • 失敗しない導入の手順
  1. 結論|全部を任せず、用件で切り分ける
    1. まず用件の内訳を数える
    2. 人が出るべき電話を守る
    3. 小さく始めて広げる
  2. AI電話対応でできること
    1. 一次受付と用件の聞き取り
    2. よくある質問への回答
    3. 予約の受付と変更
    4. 時間外の受付
  3. AI電話対応でできないこと
    1. 込み入った相談への対応
    2. クレームの一次対応
    3. 言外の意図の読み取り
  4. 導入前に知るべきデメリット
    1. 聞き取れない場面がある
    2. 冷たい印象を与える懸念
    3. 想定外の質問への弱さ
  5. 費用の考え方
    1. 料金が決まる3つの要素
    2. 見落としやすい追加費用
    3. 自社で試算する方法
  6. 用件の記録から見えること
    1. 記録する4項目
    2. 時間帯の偏りを見る
    3. 取りこぼしの数え方
  7. 電話代行サービスとの違い
    1. 人の電話代行が向く場面
    2. AIが向く場面
    3. 判断の基準
  8. 業種別の向き・不向き
    1. 飲食店
    2. 医療・介護
    3. 不動産
    4. 士業・BtoB
  9. 応答内容の作り込み方
    1. 実際の言い回しを書き出す
    2. 答えを1つに確定させる
    3. 言い切れないことの扱い
    4. 不在時の伝え方を決める
  10. 失敗しない導入の手順
    1. STEP1 用件を2週間記録する
    2. STEP2 任せる用件を3つに絞る
    3. STEP3 回答内容を確定させる
    4. STEP4 人につなぐ条件を決める
    5. STEP5 1か月試して見直す
  11. モデルケース|15名の内装工事会社(試算)
    1. 導入前の状況
    2. 任せる範囲の設計
    3. 削減時間の試算
  12. まず試すなら文面の作成から
    1. 電話メモの整理から始める
    2. 折り返し文面の下書き
    3. よくある質問の整理
  13. 情報の扱いで決めておくこと
    1. 録音と保存の扱い
    2. 個人情報の入力範囲
  14. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 電話を全部AIに任せられますか?
    2. Q. お客様に冷たい印象を与えませんか?
    3. Q. 費用はどれくらいかかりますか?
    4. Q. 電話代行とどちらがよいですか?
    5. Q. 予約システムとの連携は必須ですか?
    6. Q. 導入にどのくらいかかりますか?
  15. まとめ

結論|全部を任せず、用件で切り分ける

最初に全体像をお伝えします。AI電話対応の導入で最も重要なのは、ツール選びではなく用件の切り分けです。

まず用件の内訳を数える

いきなり仕組みを入れないでください。最初にやるべきは、どんな用件の電話が何件来ているかを数えることです。

2週間、受けた電話を記録するだけで構いません。日時、相手(既存客か新規か)、用件、所要時間。この4項目をメモするだけです。集計すると、たいてい驚くような偏りが見つかります。

多くの現場では、営業時間や場所の確認、予約の変更、在庫や納期の問い合わせといった「答えが決まっている用件」が半分以上を占めます。ここが分かってはじめて、AIに任せる範囲を決められます。

人が出るべき電話を守る

逆に言うと、AI導入の目的は「電話を減らすこと」ではありません。人が出るべき電話に、ちゃんと出られる状態を作ることです。

込み入った相談、クレーム、初めてのお客様からの問い合わせ。これらは人が対応したほうが結果が良くなります。定型の用件をAIが引き受けることで、こうした電話に集中できるようになります。

小さく始めて広げる

最初から全部の電話を対象にすると、想定外の用件で失敗し、現場の信頼を失います。時間外だけ、あるいは特定の用件だけから始めるのが確実です。

とくに時間外は始めやすい領域です。いまは誰も出ていないので、AIが対応して失敗しても、現状より悪くなることがありません。

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AI電話対応でできること

2026年時点で、実務的に使える範囲を整理します。

一次受付と用件の聞き取り

最も確実に機能するのがこれです。かかってきた電話に応答し、用件と連絡先を聞き取って、担当者に伝える。人間で言えば受付の役割です。

この使い方の利点は、取りこぼしがなくなることです。会議中でも作業中でも、電話は必ず受けられます。折り返しの判断は人がしますが、少なくとも「かけたのに誰も出なかった」という状態はなくなります。

よくある質問への回答

営業時間、駐車場の有無、持ち物、キャンセル規定、アクセス方法。答えが決まっている質問には、AIがそのまま回答できます。

ここで重要なのは、回答の内容を先に自社で確定させておくことです。AIに自由に答えさせるのではなく、決めた回答を返す設計にします。曖昧な回答をされると、後から「聞いた話と違う」というトラブルになります。

予約の受付と変更

日時と人数を聞き取り、予約として記録する。あるいは既存の予約を変更する。飲食店や医療機関で需要が大きい使い方です。

ただし予約システムとの連携が必要になるため、導入のハードルは一段上がります。まずは「予約希望を聞き取って記録し、人が確定させる」形から始めると、システム改修なしで運用できます。

時間外の受付

営業時間外にかかってきた電話への応答です。「本日の営業は終了しました」という録音メッセージとは違い、用件を聞き取って記録できます。

夜間や休日に問い合わせをした人は、翌営業日まで待たされると他社に流れます。用件を受け取っておくだけでも、取りこぼしはかなり減ります

AI電話対応でできないこと

期待しすぎると失敗します。現時点で難しいことを正直に挙げます。

込み入った相談への対応

「こういう状況なんですが、どうしたらいいですか」という相談は、AIには荷が重い領域です。前提の確認が何往復も必要で、しかも相手の事情によって答えが変わるためです。

こうした電話は、早い段階で人につなぐ設計にしてください。AIが粘って答えようとすると、かえって印象を悪くします。

クレームの一次対応

怒っている相手にAIが応答すると、火に油を注ぐことがあります。「機械に回された」という事実そのものが、不満を増幅させるためです。

キーワードや声の調子で判断して人につなぐ仕組みもありますが、完全ではありません。クレームの可能性がある電話は人が出るという前提で設計してください。

言外の意図の読み取り

「ちょっと考えます」が断りなのか本当に検討中なのか。「いつでもいいです」が本当にいつでもいいのか。こうした読み取りは人間の領域です。

営業の一次対応をAIに任せると、この判断ができないために機会を失うことがあります。売上に直結する電話ほど、人が出る価値が高いと考えてください。

導入前に知るべきデメリット

検索でも「AI 電話対応 デメリット」が調べられています。正直に整理します。

聞き取れない場面がある

音声認識は完璧ではありません。とくに次の場面では精度が落ちます。

  • 相手が屋外や車内など、騒音のある場所にいる
  • 方言や早口、小さな声
  • 固有名詞(会社名、人名、地名、商品名)
  • 数字の聞き取り(電話番号、日付、金額)

とくに固有名詞と数字は、業務に直結するのに間違いやすいという厄介な組み合わせです。対策としては、聞き取った内容を復唱して確認させる、重要な項目は人が後から確認する、といった設計が必要になります。

冷たい印象を与える懸念

「機械が出た」という体験そのものに、抵抗を持つ人はいます。とくに年配のお客様が多い業種では、慎重な判断が必要です。

緩和する方法は2つあります。1つは、AIが対応していることを隠さないこと。隠して途中でバレると印象は最悪になります。もう1つは、人につながる導線を必ず用意することです。「担当者におつなぎしましょうか」と言える設計なら、抵抗はかなり減ります。

想定外の質問への弱さ

用意した回答から外れる質問が来ると、対応できません。それ自体は仕方ないのですが、問題はAIが「それらしい答え」を作ってしまう場合があることです。

間違った案内をされると、お客様に迷惑がかかるうえ、後始末に人手がかかります。「分からない場合は、必ず人につなぐか折り返しにする」という設計を最初に入れてください。

費用の考え方

「AI 電話対応 費用」も検索されている語です。ただし、サービスによって料金体系が大きく異なるため、相場を1つの数字で示すことはできません。ここでは何によって金額が決まるかを整理します。

料金が決まる3つの要素

要素 内容 確認すべき点
通話量 月あたりの着信件数や通話時間 基本料に何件含まれるか、超過時の単価
回線数 同時に受けられる本数 同時着信が発生するか。1本で足りるか
初期設定 応答内容の作り込み、システム連携 自社でできるか、依頼が必要か

このうち見落としやすいのが回線数です。1日の着信が少なくても、特定の時間帯に集中する業種(飲食店の予約、クリニックの受付)では、同時着信への対応が必要になります。

見落としやすい追加費用

初期費用と月額だけを比べて決めると、後から想定外の費用が出ることがあります。確認すべき項目を挙げます。

  • 電話番号の取得・移行にかかる費用
  • 応答内容を変更するときの費用(自社で変更できるか)
  • 予約システムや顧客管理との連携にかかる開発費
  • 通話録音の保存期間と、延長時の費用
  • 最低契約期間と、途中解約時の扱い

とくに「応答内容を自社で変更できるか」は必ず確認してください。メニューが変わるたびに費用がかかる契約だと、運用が硬直します。

自社で試算する方法

導入の判断には、削減できる時間を自社で試算するのが確実です。前述の2週間の記録があれば、次の計算ができます。

削減時間の試算式
(定型用件の件数)×(1件あたりの平均対応時間)= 直接の削減時間
+(中断による集中の回復時間)×(件数)= 実質の削減時間

2行目を入れるのがポイントです。電話の本当のコストは、通話時間そのものより作業を中断されることにあります。中断からの回復に数分かかるとすれば、実質のコストは通話時間の何倍にもなります。

用件の記録から見えること

導入判断の前提になる「2週間の記録」について、もう少し具体的に説明します。ここを丁寧にやるかどうかで、その後の成否が決まります。

記録する4項目

記録するのは、日時・相手の区分・用件・所要時間の4つだけです。専用のフォームは不要で、紙のノートやチャットへの書き込みで構いません。

「相手の区分」は、既存客・新規客・取引先・営業電話・その他の5つに分けます。この区分が、後で任せる範囲を決めるときに効いてきます。営業電話が全体の2割を占めているなら、それだけでも外す価値があります。

時間帯の偏りを見る

集計するとき、必ず時間帯別の件数も出してください。1日12件でも、それが均等に散っているのか、昼の2時間に集中しているのかで、対策が変わります。

集中している場合は、同時着信への対応が必要になります。逆に散っているなら、1本の回線で足ります。この判断が費用に直結します。

取りこぼしの数え方

最も見落とされるのが、出られなかった電話です。着信履歴に残っているものの、対応できなかった件数を数えてください。

ここが多い場合、AI導入の価値は「時間削減」ではなく「機会損失の回復」になります。削減時間だけで判断すると、この効果を見逃します。1件の取りこぼしがいくらの損失かを考えると、投資判断の見え方が変わります。

電話代行サービスとの違い

「AI 電話代行」という検索もあり、人間のオペレーターによる電話代行との比較で迷う方が多い領域です。

人の電話代行が向く場面

人間のオペレーターは、想定外の用件に柔軟に対応できます。用件の種類が読めない相手が個人客で丁寧な対応が求められる件数が少ないという条件なら、人の代行のほうが満足度は高くなります。

また、導入が早いのも利点です。応答内容を作り込む工程が要らず、依頼すればすぐ始められます。

AIが向く場面

AIが有利なのは、件数が多く、用件が定型的で、24時間対応したい場合です。人の代行は件数に比例して費用が上がりますが、AIは件数が増えても単価の上がり方が緩やかです。

また、深夜や休日も同じ品質で対応できます。人の代行で24時間体制を組むと費用は跳ね上がります。

判断の基準

迷ったときの目安を示します。

条件 向いている選択肢
月の着信が数十件程度 人の電話代行、または現状維持
用件の8割が定型 AI電話対応
時間外の取りこぼしが課題 AI電話対応(時間外のみ)
クレームや相談が多い 人が対応。AIは不向き
予約の受付・変更が中心 AI電話対応+予約システム連携

なお、両方を使う会社もあります。時間外はAI、営業時間内は人の代行、という組み合わせです。最初から片方に絞る必要はありません。

業種別の向き・不向き

同じ「電話対応」でも、業種によって事情が違います。

飲食店

予約の電話が、仕込みや営業のピークに集中します。人数変更、時間変更、コースの確認など、答え方の決まった用件が多いのが特徴です。相性は良い業種と言えます。

注意点は、当日の予約や急な変更への対応です。席の空き状況をリアルタイムで把握できないと、二重予約が起きます。まずは翌日以降の予約受付から始めるのが安全です。詳しくは飲食店のAI活用もご覧ください。

医療・介護

予約変更やご家族からの問い合わせが日常的に発生し、しかも受付は他の業務と兼任していることが多い業種です。時間外の問い合わせも多く、AI受付の需要があります。

一方で、症状に関する相談は絶対にAIに答えさせてはいけません。医療行為の判断につながるためです。用件の切り分けを厳格に設計する必要があります。医療・介護のAI活用で関連する論点を扱っています。

不動産

内見の日程調整と反響への一次対応が、そのまま成約率に影響します。返信の速さが効く領域なので、時間外対応の価値が高い業種です。

ただし、物件の詳細に関する質問には正確さが求められます。間違った情報を案内すると信用問題になるため、物件個別の質問は人につなぐ設計が無難です。不動産業のAI活用もあわせてご覧ください。

士業・BtoB

意外に効果が出るのがこの領域です。理由は電話が集中力を必要とする業務を中断させるためです。書面作成中に電話が鳴ると、思考が途切れて戻すのに時間がかかります。

用件のほとんどが既存顧客からの連絡であれば、一次受付と用件の記録だけでも効果があります。

応答内容の作り込み方

導入作業の実体は、システムの設定ではなく「何をどう答えるか」を決めることです。ここに最も時間がかかります。

実際の言い回しを書き出す

まず、いま電話で使っている言い回しをそのまま書き出してください。「はい、○○でございます」から始まる第一声、よくある質問への答え方、担当者不在時の返し方。

ここで教科書的な文章に直さないことが重要です。実際の言い方には、その会社らしさが出ています。それを残したほうが、聞く側の違和感が減ります。

答えを1つに確定させる

意外に難しいのがこの工程です。同じ質問への答えが、担当者によって違うことに気づきます。「駐車場は何台停められますか」に、3台と答える人と4台と答える人がいる、といった具合です。

この機会に社内で答えを統一してください。AI導入の副次的な効果として、案内の品質が揃うという点があります。人が対応する場合でも、統一された答えがあると迷いません。

言い切れないことの扱い

「在庫はありますか」「今日中に対応できますか」のように、確認しないと答えられない質問があります。

こうした質問への設計は2通りです。1つは「確認して折り返します」と受けて、用件と連絡先を記録する形。もう1つは、その場で人につなぐ形です。

件数が多く急ぎでないなら前者、少なく急ぎが多いなら後者が向きます。どちらにするかを、質問の種類ごとに決めておいてください。曖昧なまま始めると、現場が混乱します。

不在時の伝え方を決める

「担当者は外出しております」の後、何と続けるか。折り返しの目安時間を伝えるか、伝えないか。ここも決めておきます。

実務上は、目安を伝えたほうが再架電が減ります。「本日17時以降に折り返しいたします」と言えれば、相手は待てます。何も言わないと、10分後にまたかかってきます。

失敗しない導入の手順

実際の進め方を、5段階で整理します。

STEP1 用件を2週間記録する

前述のとおり、ここから始めます。この工程を飛ばすと、後の判断がすべて感覚になります。記録は紙のメモで十分です。

STEP2 任せる用件を3つに絞る

集計結果から、件数が多く答えが決まっているものを3つ選びます。最初から全部を対象にしないでください。

選ぶ基準は、件数の多さ、回答の明確さ、間違えたときの影響の小ささ、の3つです。間違えたときの影響が大きい用件は、最初は外します

STEP3 回答内容を確定させる

3つの用件について、どう答えるかを文章で確定させます。ここが実質的な作業のほとんどを占めます。

ポイントは、実際に使っている言い回しを書き出すことです。「営業時間は9時から18時です」より「平日は朝9時から夕方6時まで、土曜は午前中のみ営業しております」のほうが、自社らしさが残ります。

STEP4 人につなぐ条件を決める

次の場合は必ず人につなぐ、という条件を明文化します。

  • 用意した回答に該当しない質問が来たとき
  • 相手が「担当者と話したい」と言ったとき
  • クレームの可能性がある内容が含まれるとき
  • 同じ質問を2回繰り返されたとき(伝わっていない証拠)

4つ目が実務では効きます。AIが同じ回答を繰り返している状態は、相手にとって最もストレスが大きい場面です。

STEP5 1か月試して見直す

いきなり本番にせず、まず時間外だけ、あるいは特定の曜日だけで試します。1か月分の記録を見て、想定外の用件がどれくらい来たかを確認し、回答を追加していきます。

この見直しを2〜3回繰り返すと、実用に耐える形になります。最初から完璧を目指さず、育てる前提で始めるのが成功のコツです。

モデルケース|15名の内装工事会社(試算)

具体的なイメージのため、モデルケースを示します。以下は実在の企業ではなく、当社が想定する典型的な状況にもとづく試算です。効果は業務内容や体制によって変わります。

導入前の状況

従業員15名の内装工事会社。事務担当は1名で、経理・発注・電話対応をすべて兼任しています。社長と職人は現場に出ているため、日中の電話はほぼ事務担当が受けています。

2週間記録した結果、電話は1日平均12件。内訳は次のとおりでした。

用件 1日の件数 1件あたり 判定
職人への取次ぎ依頼 4件 2分 AIで受けて記録できる
資材の納期確認 2件 4分 人が調べる必要あり
営業電話 3件 1分 AIで受けて記録できる
お客様からの問い合わせ 2件 8分 人が対応すべき
その他(間違い電話など) 1件 1分 AIで受けられる

任せる範囲の設計

取次ぎ依頼、営業電話、その他の3種類をAIに寄せることにしました。合計8件で、1日あたり約12分の通話時間です。

ただし、この会社にとっての本当の問題は通話時間ではありませんでした。事務担当が経理作業をしているときに電話が入り、そのたびに手が止まることでした。中断からの回復に平均5分かかっていると見積もると、影響は通話時間の数倍になります。

削減時間の試算

時給換算2,500円・月20営業日を前提とした試算です。

項目 導入前 導入後(試算)
1日の通話時間(AIに寄せた8件) 約12分 約2分(記録の確認のみ)
中断による回復時間(8件×5分) 約40分 約10分(まとめて確認するため)
1日の合計 約52分 約12分
月20日の削減見込み 約13.3時間
金額換算(月) 約33,000円

この試算のポイントは、中断による回復時間を計算に入れていることです。通話時間だけを見ると月4時間ですが、実質の影響はその3倍以上あります。電話対応の削減効果を見積もるときは、この観点を外さないでください。

「自社の場合、どの用件から任せられるか」を判断したい方へ。いまの電話の状況を伺いながら、切り分けをご提案します。初回のご相談は無料です。無料相談はこちら

まず試すなら文面の作成から

AI電話対応は、システムの導入を伴うため一定の準備が必要です。「そこまでは踏み切れない」という場合に、先に効果を確かめる方法があります。

電話メモの整理から始める

受けた電話の内容を、要点だけの形に整理して残す。この作業は生成AIですぐ始められます。担当者への引き継ぎ漏れが減り、しかもどんな用件が来ているかの記録が自動的に貯まります

2週間の記録を取る工程と兼ねられるので、導入検討の第一歩としても合理的です。

折り返し文面の下書き

「先ほどはお電話に出られず失礼しました」から始まる連絡文や、予約確認、変更のお願い。書きにくい文面の下書きをAIに任せると、返信までの時間が縮まります。

電話に出られなかったとしても、30分以内に文面で返せば機会損失はかなり防げます。システム導入より先に、この運用を作るだけでも効果があります。

よくある質問の整理

記録した用件をAIに渡し、「質問を内容ごとに分類し、多い順に並べてください」と指示します。これがそのまま、AI電話対応を導入するときの回答リストの下地になります。

この一連の流れは予約・受付対応のAI活用で扱っています。

情報の扱いで決めておくこと

電話の内容には、お客様の個人情報が含まれます。始める前に整理してください。

録音と保存の扱い

通話を録音する場合、録音していることを相手に伝えるのが基本です。冒頭のアナウンスで案内する形が一般的です。

また、録音データをどこに、どれくらいの期間保存するかを決めてください。保存期間を決めずに貯め続けると、管理の対象が際限なく増えます。

個人情報の入力範囲

聞き取った氏名や電話番号をどう扱うか。社内の顧客管理に取り込むのか、AIサービス側に残るのか。データがどこに保存されるかは、契約前に必ず確認してください。

社内ルールの作り方は社内AIルールの作り方|情報漏洩を防ぐ生成AIガイドライン8項目で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 電話を全部AIに任せられますか?

A. お勧めしません。答え方が決まっている用件から始め、込み入った相談やクレームは人につなぐ設計にしてください。まずは「人が出るべき電話に集中できる状態」を目指すのが現実的です。

Q. お客様に冷たい印象を与えませんか?

A. 与える可能性はあります。緩和策は2つで、AIが対応していることを隠さないことと、人につながる導線を必ず用意することです。この2つがあると、抵抗はかなり減ります。年配のお客様が多い業種では、時間外のみの導入から検討してください。

Q. 費用はどれくらいかかりますか?

A. サービスによって料金体系が大きく異なるため、一律の相場はお示しできません。通話量・回線数・初期設定の3要素で決まりますので、自社の着信件数を記録したうえで見積もりを取ってください。応答内容を自社で変更できるかも必ず確認してください。

Q. 電話代行とどちらがよいですか?

A. 用件が定型的で件数が多く、24時間対応したいならAI。用件の種類が読めず件数が少ないなら人の代行が向きます。時間外はAI、営業時間内は人、という併用も選択肢です。

Q. 予約システムとの連携は必須ですか?

A. 必須ではありません。まずは「予約希望を聞き取って記録し、人が確定させる」形から始められます。この形ならシステム改修なしで運用でき、効果を確かめてから連携を検討できます。

Q. 導入にどのくらいかかりますか?

A. 用件の記録に2週間、回答内容の作成に1〜2週間、試験運用に1か月程度が目安です。全体では2か月前後を見ておくと無理がありません。当社の支援は初期費用0円・月額5万円〜です。

まとめ

  • AI電話対応の要点は用件の切り分け。まず2週間、何の電話が何件来ているかを数える
  • 目的は電話を減らすことではなく、人が出るべき電話に出られる状態を作ること
  • できること:一次受付、よくある質問への回答、予約の受付、時間外対応
  • できないこと:込み入った相談、クレーム対応、言外の意図の読み取り
  • デメリットは、聞き取り精度・冷たい印象・想定外への弱さ。分からなければ人につなぐ設計で緩和する
  • 費用は通話量・回線数・初期設定で決まる。応答内容を自社で変更できるかを必ず確認
  • 削減効果の試算には、通話時間だけでなく中断からの回復時間を必ず含める

電話は、1件あたりは短くても回数が多く、現場の集中を細かく削り続けます。全部をなくすことはできませんが、答え方が決まっているものを外すだけで、日中の働き方はかなり変わります

「自社の電話のうち、どこまで任せられるか分からない」という場合は、いまの状況を伺いながらご提案します。売り込みは行いません。

無料相談はこちら(初回のご相談・お見積りは無料です)

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