AI電話対応の導入|できること・費用・デメリットを整理
業務効率化支援を行う「Ai-Raku(アイラク)」代表。国立大学でAIの研究を行い、ITコンサル・ウェブコンサルを経て独立。官公庁向けの業務効率化や上場企業の支援等を経て、中小企業の現場に定着するAI活用を企画から運用まで一気通貫で支援している。

- 電話を全部AIに任せられますか?
- お勧めしません。答え方が決まっている用件から始め、込み入った相談やクレームは人につなぐ設計にしてください。まずは「人が出るべき電話に集中できる状態」を目指すのが現実的です。
- お客様に冷たい印象を与えませんか?
- 与える可能性はあります。緩和策は2つで、AIが対応していることを隠さないことと、人につながる導線を必ず用意することです。この2つがあると、抵抗はかなり減ります。年配のお客様が多い業種では、時間外のみの導入から検討してください。
- 費用はどれくらいかかりますか?
- サービスによって料金体系が大きく異なるため、一律の相場はお示しできません。通話量・回線数・初期設定の3要素で決まりますので、自社の着信件数を記録したうえで見積もりを取ってください。応答内容を自社で変更できるかも必ず確認してください。
- 電話代行とどちらがよいですか?
- 用件が定型的で件数が多く、24時間対応したいならAI。用件の種類が読めず件数が少ないなら人の代行が向きます。時間外はAI、営業時間内は人、という併用も選択肢です。
- 予約システムとの連携は必須ですか?
- 必須ではありません。まずは「予約希望を聞き取って記録し、人が確定させる」形から始められます。この形ならシステム改修なしで運用でき、効果を確かめてから連携を検討できます。
- 導入にどのくらいかかりますか?
- 用件の記録に2週間、回答内容の作成に1〜2週間、試験運用に1か月程度が目安です。全体では2か月前後を見ておくと無理がありません。当社の支援は初期費用0円・月額5万円〜です。
施術中、運転中、来客対応中。手が離せないときほど電話は鳴ります。取れなければ機会を失い、取れば目の前の仕事が止まる。どちらを選んでも損をしている、という状態が毎日続いていませんか。
AI電話対応は、この状況を変える選択肢の1つです。ただし「電話を全部AIに任せる」という発想で導入すると、ほぼ失敗します。実際に効果が出るのは、答え方が決まっている用件だけをAIに寄せ、人が出るべき電話に集中できる状態を作ったときです。
本記事では、できることとできないこと、導入前に知っておくべきデメリット、費用が決まる仕組み、電話代行サービスとの違いを整理します。読み終えるころには、自社に必要かどうかを自分で判断できる状態になります。
- AI電話対応でできること・できないことの線引き
- 導入前に知っておくべき3つのデメリット
- 費用が決まる3つの要素と、自社で試算する方法
- 電話代行サービスとの違いと使い分け
- 業種別の向き・不向き
- 失敗しない導入の手順
結論|全部を任せず、用件で切り分ける
最初に全体像をお伝えします。AI電話対応の導入で最も重要なのは、ツール選びではなく用件の切り分けです。
まず用件の内訳を数える
いきなり仕組みを入れないでください。最初にやるべきは、どんな用件の電話が何件来ているかを数えることです。
2週間、受けた電話を記録するだけで構いません。日時、相手(既存客か新規か)、用件、所要時間。この4項目をメモするだけです。集計すると、たいてい驚くような偏りが見つかります。
多くの現場では、営業時間や場所の確認、予約の変更、在庫や納期の問い合わせといった「答えが決まっている用件」が半分以上を占めます。ここが分かってはじめて、AIに任せる範囲を決められます。
人が出るべき電話を守る
逆に言うと、AI導入の目的は「電話を減らすこと」ではありません。人が出るべき電話に、ちゃんと出られる状態を作ることです。
込み入った相談、クレーム、初めてのお客様からの問い合わせ。これらは人が対応したほうが結果が良くなります。定型の用件をAIが引き受けることで、こうした電話に集中できるようになります。
小さく始めて広げる
最初から全部の電話を対象にすると、想定外の用件で失敗し、現場の信頼を失います。時間外だけ、あるいは特定の用件だけから始めるのが確実です。
とくに時間外は始めやすい領域です。いまは誰も出ていないので、AIが対応して失敗しても、現状より悪くなることがありません。
AI電話対応でできること
2026年時点で、実務的に使える範囲を整理します。
一次受付と用件の聞き取り
最も確実に機能するのがこれです。かかってきた電話に応答し、用件と連絡先を聞き取って、担当者に伝える。人間で言えば受付の役割です。
この使い方の利点は、取りこぼしがなくなることです。会議中でも作業中でも、電話は必ず受けられます。折り返しの判断は人がしますが、少なくとも「かけたのに誰も出なかった」という状態はなくなります。
よくある質問への回答
営業時間、駐車場の有無、持ち物、キャンセル規定、アクセス方法。答えが決まっている質問には、AIがそのまま回答できます。
ここで重要なのは、回答の内容を先に自社で確定させておくことです。AIに自由に答えさせるのではなく、決めた回答を返す設計にします。曖昧な回答をされると、後から「聞いた話と違う」というトラブルになります。
予約の受付と変更
日時と人数を聞き取り、予約として記録する。あるいは既存の予約を変更する。飲食店や医療機関で需要が大きい使い方です。
ただし予約システムとの連携が必要になるため、導入のハードルは一段上がります。まずは「予約希望を聞き取って記録し、人が確定させる」形から始めると、システム改修なしで運用できます。
時間外の受付
営業時間外にかかってきた電話への応答です。「本日の営業は終了しました」という録音メッセージとは違い、用件を聞き取って記録できます。
夜間や休日に問い合わせをした人は、翌営業日まで待たされると他社に流れます。用件を受け取っておくだけでも、取りこぼしはかなり減ります。
AI電話対応でできないこと
期待しすぎると失敗します。現時点で難しいことを正直に挙げます。
込み入った相談への対応
「こういう状況なんですが、どうしたらいいですか」という相談は、AIには荷が重い領域です。前提の確認が何往復も必要で、しかも相手の事情によって答えが変わるためです。
こうした電話は、早い段階で人につなぐ設計にしてください。AIが粘って答えようとすると、かえって印象を悪くします。
クレームの一次対応
怒っている相手にAIが応答すると、火に油を注ぐことがあります。「機械に回された」という事実そのものが、不満を増幅させるためです。
キーワードや声の調子で判断して人につなぐ仕組みもありますが、完全ではありません。クレームの可能性がある電話は人が出るという前提で設計してください。
言外の意図の読み取り
「ちょっと考えます」が断りなのか本当に検討中なのか。「いつでもいいです」が本当にいつでもいいのか。こうした読み取りは人間の領域です。
営業の一次対応をAIに任せると、この判断ができないために機会を失うことがあります。売上に直結する電話ほど、人が出る価値が高いと考えてください。
導入前に知るべきデメリット
検索でも「AI 電話対応 デメリット」が調べられています。正直に整理します。
聞き取れない場面がある
音声認識は完璧ではありません。とくに次の場面では精度が落ちます。
- 相手が屋外や車内など、騒音のある場所にいる
- 方言や早口、小さな声
- 固有名詞(会社名、人名、地名、商品名)
- 数字の聞き取り(電話番号、日付、金額)
とくに固有名詞と数字は、業務に直結するのに間違いやすいという厄介な組み合わせです。対策としては、聞き取った内容を復唱して確認させる、重要な項目は人が後から確認する、といった設計が必要になります。
冷たい印象を与える懸念
「機械が出た」という体験そのものに、抵抗を持つ人はいます。とくに年配のお客様が多い業種では、慎重な判断が必要です。
緩和する方法は2つあります。1つは、AIが対応していることを隠さないこと。隠して途中でバレると印象は最悪になります。もう1つは、人につながる導線を必ず用意することです。「担当者におつなぎしましょうか」と言える設計なら、抵抗はかなり減ります。
想定外の質問への弱さ
用意した回答から外れる質問が来ると、対応できません。それ自体は仕方ないのですが、問題はAIが「それらしい答え」を作ってしまう場合があることです。
間違った案内をされると、お客様に迷惑がかかるうえ、後始末に人手がかかります。「分からない場合は、必ず人につなぐか折り返しにする」という設計を最初に入れてください。
費用の考え方
「AI 電話対応 費用」も検索されている語です。ただし、サービスによって料金体系が大きく異なるため、相場を1つの数字で示すことはできません。ここでは何によって金額が決まるかを整理します。
料金が決まる3つの要素
| 要素 | 内容 | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| 通話量 | 月あたりの着信件数や通話時間 | 基本料に何件含まれるか、超過時の単価 |
| 回線数 | 同時に受けられる本数 | 同時着信が発生するか。1本で足りるか |
| 初期設定 | 応答内容の作り込み、システム連携 | 自社でできるか、依頼が必要か |
このうち見落としやすいのが回線数です。1日の着信が少なくても、特定の時間帯に集中する業種(飲食店の予約、クリニックの受付)では、同時着信への対応が必要になります。
見落としやすい追加費用
初期費用と月額だけを比べて決めると、後から想定外の費用が出ることがあります。確認すべき項目を挙げます。
- 電話番号の取得・移行にかかる費用
- 応答内容を変更するときの費用(自社で変更できるか)
- 予約システムや顧客管理との連携にかかる開発費
- 通話録音の保存期間と、延長時の費用
- 最低契約期間と、途中解約時の扱い
とくに「応答内容を自社で変更できるか」は必ず確認してください。メニューが変わるたびに費用がかかる契約だと、運用が硬直します。
自社で試算する方法
導入の判断には、削減できる時間を自社で試算するのが確実です。前述の2週間の記録があれば、次の計算ができます。
削減時間の試算式
(定型用件の件数)×(1件あたりの平均対応時間)= 直接の削減時間
+(中断による集中の回復時間)×(件数)= 実質の削減時間
2行目を入れるのがポイントです。電話の本当のコストは、通話時間そのものより作業を中断されることにあります。中断からの回復に数分かかるとすれば、実質のコストは通話時間の何倍にもなります。
用件の記録から見えること
導入判断の前提になる「2週間の記録」について、もう少し具体的に説明します。ここを丁寧にやるかどうかで、その後の成否が決まります。
記録する4項目
記録するのは、日時・相手の区分・用件・所要時間の4つだけです。専用のフォームは不要で、紙のノートやチャットへの書き込みで構いません。
「相手の区分」は、既存客・新規客・取引先・営業電話・その他の5つに分けます。この区分が、後で任せる範囲を決めるときに効いてきます。営業電話が全体の2割を占めているなら、それだけでも外す価値があります。
時間帯の偏りを見る
集計するとき、必ず時間帯別の件数も出してください。1日12件でも、それが均等に散っているのか、昼の2時間に集中しているのかで、対策が変わります。
集中している場合は、同時着信への対応が必要になります。逆に散っているなら、1本の回線で足ります。この判断が費用に直結します。
取りこぼしの数え方
最も見落とされるのが、出られなかった電話です。着信履歴に残っているものの、対応できなかった件数を数えてください。
ここが多い場合、AI導入の価値は「時間削減」ではなく「機会損失の回復」になります。削減時間だけで判断すると、この効果を見逃します。1件の取りこぼしがいくらの損失かを考えると、投資判断の見え方が変わります。
電話代行サービスとの違い
「AI 電話代行」という検索もあり、人間のオペレーターによる電話代行との比較で迷う方が多い領域です。
人の電話代行が向く場面
人間のオペレーターは、想定外の用件に柔軟に対応できます。用件の種類が読めない、相手が個人客で丁寧な対応が求められる、件数が少ないという条件なら、人の代行のほうが満足度は高くなります。
また、導入が早いのも利点です。応答内容を作り込む工程が要らず、依頼すればすぐ始められます。
AIが向く場面
AIが有利なのは、件数が多く、用件が定型的で、24時間対応したい場合です。人の代行は件数に比例して費用が上がりますが、AIは件数が増えても単価の上がり方が緩やかです。
また、深夜や休日も同じ品質で対応できます。人の代行で24時間体制を組むと費用は跳ね上がります。
判断の基準
迷ったときの目安を示します。
| 条件 | 向いている選択肢 |
|---|---|
| 月の着信が数十件程度 | 人の電話代行、または現状維持 |
| 用件の8割が定型 | AI電話対応 |
| 時間外の取りこぼしが課題 | AI電話対応(時間外のみ) |
| クレームや相談が多い | 人が対応。AIは不向き |
| 予約の受付・変更が中心 | AI電話対応+予約システム連携 |
なお、両方を使う会社もあります。時間外はAI、営業時間内は人の代行、という組み合わせです。最初から片方に絞る必要はありません。
業種別の向き・不向き
同じ「電話対応」でも、業種によって事情が違います。
飲食店
予約の電話が、仕込みや営業のピークに集中します。人数変更、時間変更、コースの確認など、答え方の決まった用件が多いのが特徴です。相性は良い業種と言えます。
注意点は、当日の予約や急な変更への対応です。席の空き状況をリアルタイムで把握できないと、二重予約が起きます。まずは翌日以降の予約受付から始めるのが安全です。詳しくは飲食店のAI活用もご覧ください。
医療・介護
予約変更やご家族からの問い合わせが日常的に発生し、しかも受付は他の業務と兼任していることが多い業種です。時間外の問い合わせも多く、AI受付の需要があります。
一方で、症状に関する相談は絶対にAIに答えさせてはいけません。医療行為の判断につながるためです。用件の切り分けを厳格に設計する必要があります。医療・介護のAI活用で関連する論点を扱っています。
不動産
内見の日程調整と反響への一次対応が、そのまま成約率に影響します。返信の速さが効く領域なので、時間外対応の価値が高い業種です。
ただし、物件の詳細に関する質問には正確さが求められます。間違った情報を案内すると信用問題になるため、物件個別の質問は人につなぐ設計が無難です。不動産業のAI活用もあわせてご覧ください。
士業・BtoB
意外に効果が出るのがこの領域です。理由は電話が集中力を必要とする業務を中断させるためです。書面作成中に電話が鳴ると、思考が途切れて戻すのに時間がかかります。
用件のほとんどが既存顧客からの連絡であれば、一次受付と用件の記録だけでも効果があります。
応答内容の作り込み方
導入作業の実体は、システムの設定ではなく「何をどう答えるか」を決めることです。ここに最も時間がかかります。
実際の言い回しを書き出す
まず、いま電話で使っている言い回しをそのまま書き出してください。「はい、○○でございます」から始まる第一声、よくある質問への答え方、担当者不在時の返し方。
ここで教科書的な文章に直さないことが重要です。実際の言い方には、その会社らしさが出ています。それを残したほうが、聞く側の違和感が減ります。
答えを1つに確定させる
意外に難しいのがこの工程です。同じ質問への答えが、担当者によって違うことに気づきます。「駐車場は何台停められますか」に、3台と答える人と4台と答える人がいる、といった具合です。
この機会に社内で答えを統一してください。AI導入の副次的な効果として、案内の品質が揃うという点があります。人が対応する場合でも、統一された答えがあると迷いません。
言い切れないことの扱い
「在庫はありますか」「今日中に対応できますか」のように、確認しないと答えられない質問があります。
こうした質問への設計は2通りです。1つは「確認して折り返します」と受けて、用件と連絡先を記録する形。もう1つは、その場で人につなぐ形です。
件数が多く急ぎでないなら前者、少なく急ぎが多いなら後者が向きます。どちらにするかを、質問の種類ごとに決めておいてください。曖昧なまま始めると、現場が混乱します。
不在時の伝え方を決める
「担当者は外出しております」の後、何と続けるか。折り返しの目安時間を伝えるか、伝えないか。ここも決めておきます。
実務上は、目安を伝えたほうが再架電が減ります。「本日17時以降に折り返しいたします」と言えれば、相手は待てます。何も言わないと、10分後にまたかかってきます。
失敗しない導入の手順
実際の進め方を、5段階で整理します。
STEP1 用件を2週間記録する
前述のとおり、ここから始めます。この工程を飛ばすと、後の判断がすべて感覚になります。記録は紙のメモで十分です。
STEP2 任せる用件を3つに絞る
集計結果から、件数が多く答えが決まっているものを3つ選びます。最初から全部を対象にしないでください。
選ぶ基準は、件数の多さ、回答の明確さ、間違えたときの影響の小ささ、の3つです。間違えたときの影響が大きい用件は、最初は外します。
STEP3 回答内容を確定させる
3つの用件について、どう答えるかを文章で確定させます。ここが実質的な作業のほとんどを占めます。
ポイントは、実際に使っている言い回しを書き出すことです。「営業時間は9時から18時です」より「平日は朝9時から夕方6時まで、土曜は午前中のみ営業しております」のほうが、自社らしさが残ります。
STEP4 人につなぐ条件を決める
次の場合は必ず人につなぐ、という条件を明文化します。
- 用意した回答に該当しない質問が来たとき
- 相手が「担当者と話したい」と言ったとき
- クレームの可能性がある内容が含まれるとき
- 同じ質問を2回繰り返されたとき(伝わっていない証拠)
4つ目が実務では効きます。AIが同じ回答を繰り返している状態は、相手にとって最もストレスが大きい場面です。
STEP5 1か月試して見直す
いきなり本番にせず、まず時間外だけ、あるいは特定の曜日だけで試します。1か月分の記録を見て、想定外の用件がどれくらい来たかを確認し、回答を追加していきます。
この見直しを2〜3回繰り返すと、実用に耐える形になります。最初から完璧を目指さず、育てる前提で始めるのが成功のコツです。
モデルケース|15名の内装工事会社(試算)
具体的なイメージのため、モデルケースを示します。以下は実在の企業ではなく、当社が想定する典型的な状況にもとづく試算です。効果は業務内容や体制によって変わります。
導入前の状況
従業員15名の内装工事会社。事務担当は1名で、経理・発注・電話対応をすべて兼任しています。社長と職人は現場に出ているため、日中の電話はほぼ事務担当が受けています。
2週間記録した結果、電話は1日平均12件。内訳は次のとおりでした。
| 用件 | 1日の件数 | 1件あたり | 判定 |
|---|---|---|---|
| 職人への取次ぎ依頼 | 4件 | 2分 | AIで受けて記録できる |
| 資材の納期確認 | 2件 | 4分 | 人が調べる必要あり |
| 営業電話 | 3件 | 1分 | AIで受けて記録できる |
| お客様からの問い合わせ | 2件 | 8分 | 人が対応すべき |
| その他(間違い電話など) | 1件 | 1分 | AIで受けられる |
任せる範囲の設計
取次ぎ依頼、営業電話、その他の3種類をAIに寄せることにしました。合計8件で、1日あたり約12分の通話時間です。
ただし、この会社にとっての本当の問題は通話時間ではありませんでした。事務担当が経理作業をしているときに電話が入り、そのたびに手が止まることでした。中断からの回復に平均5分かかっていると見積もると、影響は通話時間の数倍になります。
削減時間の試算
時給換算2,500円・月20営業日を前提とした試算です。
| 項目 | 導入前 | 導入後(試算) |
|---|---|---|
| 1日の通話時間(AIに寄せた8件) | 約12分 | 約2分(記録の確認のみ) |
| 中断による回復時間(8件×5分) | 約40分 | 約10分(まとめて確認するため) |
| 1日の合計 | 約52分 | 約12分 |
| 月20日の削減見込み | — | 約13.3時間 |
| 金額換算(月) | — | 約33,000円 |
この試算のポイントは、中断による回復時間を計算に入れていることです。通話時間だけを見ると月4時間ですが、実質の影響はその3倍以上あります。電話対応の削減効果を見積もるときは、この観点を外さないでください。
「自社の場合、どの用件から任せられるか」を判断したい方へ。いまの電話の状況を伺いながら、切り分けをご提案します。初回のご相談は無料です。無料相談はこちら。
まず試すなら文面の作成から
AI電話対応は、システムの導入を伴うため一定の準備が必要です。「そこまでは踏み切れない」という場合に、先に効果を確かめる方法があります。
電話メモの整理から始める
受けた電話の内容を、要点だけの形に整理して残す。この作業は生成AIですぐ始められます。担当者への引き継ぎ漏れが減り、しかもどんな用件が来ているかの記録が自動的に貯まります。
2週間の記録を取る工程と兼ねられるので、導入検討の第一歩としても合理的です。
折り返し文面の下書き
「先ほどはお電話に出られず失礼しました」から始まる連絡文や、予約確認、変更のお願い。書きにくい文面の下書きをAIに任せると、返信までの時間が縮まります。
電話に出られなかったとしても、30分以内に文面で返せば機会損失はかなり防げます。システム導入より先に、この運用を作るだけでも効果があります。
よくある質問の整理
記録した用件をAIに渡し、「質問を内容ごとに分類し、多い順に並べてください」と指示します。これがそのまま、AI電話対応を導入するときの回答リストの下地になります。
この一連の流れは予約・受付対応のAI活用で扱っています。
情報の扱いで決めておくこと
電話の内容には、お客様の個人情報が含まれます。始める前に整理してください。
録音と保存の扱い
通話を録音する場合、録音していることを相手に伝えるのが基本です。冒頭のアナウンスで案内する形が一般的です。
また、録音データをどこに、どれくらいの期間保存するかを決めてください。保存期間を決めずに貯め続けると、管理の対象が際限なく増えます。
個人情報の入力範囲
聞き取った氏名や電話番号をどう扱うか。社内の顧客管理に取り込むのか、AIサービス側に残るのか。データがどこに保存されるかは、契約前に必ず確認してください。
社内ルールの作り方は社内AIルールの作り方|情報漏洩を防ぐ生成AIガイドライン8項目で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 電話を全部AIに任せられますか?
A. お勧めしません。答え方が決まっている用件から始め、込み入った相談やクレームは人につなぐ設計にしてください。まずは「人が出るべき電話に集中できる状態」を目指すのが現実的です。
Q. お客様に冷たい印象を与えませんか?
A. 与える可能性はあります。緩和策は2つで、AIが対応していることを隠さないことと、人につながる導線を必ず用意することです。この2つがあると、抵抗はかなり減ります。年配のお客様が多い業種では、時間外のみの導入から検討してください。
Q. 費用はどれくらいかかりますか?
A. サービスによって料金体系が大きく異なるため、一律の相場はお示しできません。通話量・回線数・初期設定の3要素で決まりますので、自社の着信件数を記録したうえで見積もりを取ってください。応答内容を自社で変更できるかも必ず確認してください。
Q. 電話代行とどちらがよいですか?
A. 用件が定型的で件数が多く、24時間対応したいならAI。用件の種類が読めず件数が少ないなら人の代行が向きます。時間外はAI、営業時間内は人、という併用も選択肢です。
Q. 予約システムとの連携は必須ですか?
A. 必須ではありません。まずは「予約希望を聞き取って記録し、人が確定させる」形から始められます。この形ならシステム改修なしで運用でき、効果を確かめてから連携を検討できます。
Q. 導入にどのくらいかかりますか?
A. 用件の記録に2週間、回答内容の作成に1〜2週間、試験運用に1か月程度が目安です。全体では2か月前後を見ておくと無理がありません。当社の支援は初期費用0円・月額5万円〜です。
まとめ
- AI電話対応の要点は用件の切り分け。まず2週間、何の電話が何件来ているかを数える
- 目的は電話を減らすことではなく、人が出るべき電話に出られる状態を作ること
- できること:一次受付、よくある質問への回答、予約の受付、時間外対応
- できないこと:込み入った相談、クレーム対応、言外の意図の読み取り
- デメリットは、聞き取り精度・冷たい印象・想定外への弱さ。分からなければ人につなぐ設計で緩和する
- 費用は通話量・回線数・初期設定で決まる。応答内容を自社で変更できるかを必ず確認
- 削減効果の試算には、通話時間だけでなく中断からの回復時間を必ず含める
電話は、1件あたりは短くても回数が多く、現場の集中を細かく削り続けます。全部をなくすことはできませんが、答え方が決まっているものを外すだけで、日中の働き方はかなり変わります。
「自社の電話のうち、どこまで任せられるか分からない」という場合は、いまの状況を伺いながらご提案します。売り込みは行いません。
予約や受付まわりの進め方は予約・受付対応のAI活用、問い合わせ全般の効率化はカスタマーサポートのAI活用でも詳しくご紹介しています。ツールの選び方はAI業務効率化ツールの選び方をご覧ください。


