AI研修会社の比較|おすすめの選び方と料金が読めない理由
業務効率化支援を行う「Ai-Raku(アイラク)」代表。国立大学でAIの研究を行い、ITコンサル・ウェブコンサルを経て独立。官公庁向けの業務効率化や上場企業の支援等を経て、中小企業の現場に定着するAI活用を企画から運用まで一気通貫で支援している。著書に『中小企業のAI定着の教科書 — 入れた後に、何をするか』(2026年)。

- 主要各社は料金を公開していない。金額での比較は最初から成立しない
- 研修会社は3タイプ。「知る」で終わるか「使える」まで行くかで分かれる
- 見極めの決め手は自社の業務を教材にできるか
- 本記事の運営元であるAi-Rakuも、比較対象の1社です
先にお伝えしておきます。Ai-Raku(アイラク)は本記事の運営元であり、同時に比較対象の1社でもあります。自社を有利に見せるための記事にしないよう、他社の情報は公式サイトで確認した事実だけを載せ、自社の弱み(実績社数を公開していないこと)も隠さずに書きます。最終的にどこを選ぶかは、本記事の基準を使ってご自身で判断してください。Ai-Raku以外を選ぶ結果になったとしても、この記事にとっては失敗ではありません。
結論:形式で会社が決まる
AI研修会社を比較しようとすると、各社のサイトに並ぶ言葉がほとんど同じであることに気づきます。「実践的」「伴走」「内製化」。どこも同じことを言っているように見えます。
区別できる軸は、実は1つです。研修が終わったあと、受講者が自社の業務でAIを使える状態になっているかどうか。ここから逆算すると、会社選びは「どの形式で受けるか」でほぼ決まります。
研修そのものの費用相場や内容については生成AI研修とは?費用相場・内容・失敗しない選び方で扱っています。本記事は「どの会社に頼むか」に絞ります。
研修会社は3タイプある
| タイプ | 形式 | 得意なこと | 苦手なこと |
|---|---|---|---|
| A 教材提供型 | eラーニング中心 | 人数が多くても単価を抑えられる | 視聴して終わりになりやすい |
| B 集合研修型 | 講師が来る・オンライン開催 | 体系的な知識を短期で渡せる | 自社業務への着地は受講者任せ |
| C 伴走型 | 実業務を題材に継続支援 | 使える状態まで持っていける | 一度に多人数は扱いにくい |
総務省の令和8年版 情報通信白書によると、生成AIについて組織的な取組がないと回答した企業は27.0%にのぼり、米国・ドイツ・中国と比べて高い水準でした。活用方針を持つ企業の割合も、大企業74.0%に対して中小企業は58.1%と差があります。
この数字が意味するのは、「知っているが組織として使っていない」会社が多いということです。Aの教材提供型は知識のばらつきを埋めるには効きますが、この状態を抜け出す力は弱い。中小企業でつまずいているのは知識ではなく、業務への当てはめのほうだからです。
比較する前に決める3つ
1. 受けさせるのは誰か
全社員なのか、推進役の数名なのかで、選ぶタイプが変わります。全社員ならA、推進役を作るならCが基本です。ここを決めずに問い合わせると、各社が自社の得意な形を提案してくるので比較になりません。
2. 研修後に何ができていればよいか
「AIを理解している」ではなく、動詞で書いてください。
- 議事録を自分で要約させられる
- 見積書の下書きを作らせられる
- 社内文書から必要な箇所を探させられる
この一文が書けないうちは、どの会社の提案も評価できません。
3. 教材に自社の資料を使えるか
汎用の演習だけで終わるのか、自社の実際の文書・帳票を使うのか。ここが定着を左右する最大の分岐点です。詳しくは後述します。
- □ 対象者:◯名(役職・部署も書く)
- □ 研修後にできてほしいこと:◯◯を◯◯できる(動詞で1文)
- □ 教材に使える自社資料:あり/なし(あるなら何を出せるか)
- □ 予算の上限:◯円(総額か1人あたりかも決める)
- □ 実施できる時期と、1回あたりの拘束可能時間
- □ 研修後に社内で旗を振る人は誰か
料金が公開されていない
「AI研修 相場」「AI研修 費用」で検索する人が多い領域ですが、正直に書きます。主要各社は、法人向け研修の料金を公開していません。
2026年9月2日に各社の公式サイトを実際に確認したところ、次のとおりでした。
| 会社 | 法人向けサービス | 料金の公開 |
|---|---|---|
| 株式会社キカガク | DX・AI人材育成/AX推進支援/キカガク DX-Navi | 非公開(要問い合わせ) |
| Aidemy | Aidemy Business/Aidemy Practice/Aidemy GX/DPAS | 金額の明示なし |
| 株式会社SHIFT AI | SHIFT AI for Biz/AI経営総合研究所 | 非公開(要問い合わせ) |
だから相場の数字を出しません
比較記事のなかには「1人あたり◯万円が相場」と書いているものがありますが、各社が公開していない以上、その数字の出どころは確かめようがありません。本記事では相場を作りません。代わりに、見積もりが何で変わるかを示します。
| 要素 | 金額を左右する点 |
|---|---|
| 形式 | eラーニングは人数課金、集合研修は1回いくら、伴走は月額 |
| 人数 | eラーニングは人数で増え、集合研修は人数が増えても変わりにくい |
| 教材の作り込み | 自社資料を使う場合、教材作成の工数が乗る |
| 期間 | 1回で終わるか、数か月かけるか |
| 講師の派遣 | 対面は交通費と拘束時間が加わる |
- □ 対象人数:◯名(同じ人数を全社に伝える)
- □ 形式:eラーニング/集合/伴走のどれか(混ぜない)
- □ 期間と回数:◯か月・全◯回・1回◯時間
- □ 自社資料の使用:あり/なし(ありなら何点渡すか)
- □ 総額か、1人あたりか(どちらで出すか揃える)
- □ 研修後のフォローが含まれるか、別料金か
この6項目を揃えて出せば、金額が非公開でも各社の見積もりを並べられます。揃えずに聞くと、各社が有利な条件で出してくるので比較不能になります。
カリキュラムの見極め方
提案されたカリキュラムを見るとき、次の3点だけ確認すれば足ります。
1. 手を動かす時間の割合
説明を聞く時間と、実際に自分で打ち込む時間の比率を聞いてください。手を動かす時間が半分を切る研修は、翌日から使えるようになりません。
2. うまくいかない例を見せるか
きれいに答えが出る例だけを見せる研修は、現場で詰まったときに役に立ちません。わざと不十分な指示を出して、直す過程を見せてくれるかを確認してください。実務で必要なのは、この直し方のほうです。
3. 持ち帰れるものがあるか
研修後に手元に残るものを聞きます。指示文の型、チェックリスト、社内ルールのひな形。資料が「講義スライドのPDF」だけなら、定着はほぼ期待できません。
自社業務を教材にできるか
ここが会社選びの決め手です。汎用の演習で「旅行の計画を立てさせる」といった課題をこなしても、翌日の業務にはつながりません。
確認すべきは次の3つです。
- 事前に自社の資料を渡せるか(議事録・見積書・報告書などの実物)
- 渡した資料をどう扱うか(学習に使われないか、研修後に削除されるか)
- 業務ごとの演習に組み替えてもらえるか(追加費用が出るかも聞く)
2つ目は見落とされがちです。自社の実物を教材にする以上、その資料がどう保管され、いつ削除されるかを契約前に確認してください。社内ルールの作り方は社内AIルールの記事で扱っています。
研修後に定着させる仕組み
研修は受けた翌週がいちばん危ないところです。通常業務に戻った瞬間に優先順位が下がり、そのまま忘れられます。
提案の段階で、次があるかを確認してください。
| 仕組み | 何のためか |
|---|---|
| 研修後◯週間のフォロー会 | 詰まった点を持ち寄る場を先に作る |
| 質問できる窓口 | その場で聞けないと止まる |
| 成果物の提出 | 使ったかどうかが可視化される |
| 次に何をするかの宿題 | 研修を「終わり」にしない |
研修とは別に、社内で勉強会を回す手もあります。進め方は生成AIの社内勉強会の進め方にまとめました。外部研修で土台を作り、社内勉強会で繰り返すという組み合わせが、費用の面でも現実的です。
助成金を使えるか
「AI研修 助成金」で検索する人が非常に多い領域です。厚生労働省の人材開発支援助成金は、雇用する労働者に職務に関連した専門的な知識・技能の習得をさせる訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
助成率や助成額は年度ごとに改定されるため、本記事では数字を挙げません。上記の厚生労働省のページで最新のリーフレットを確認してください。
- □ 対象になるコースはどれか(年度で構成が変わる)
- □ 訓練前に計画届の提出が必要か(事後申請では間に合わないことがある)
- □ 研修会社が申請の実績を持っているか
- □ 必要な訓練時間の下限を満たすか
- □ 対象になる経費の範囲(教材費・講師費のどこまでか)
- □ 支給されるまでの期間(立て替えが必要な期間)
2つ目が実務上いちばん重要です。研修を実施してから申請しようとすると、要件を満たせない場合があります。助成金を使う前提なら、研修会社を選ぶ段階で申請の段取りまで相談してください。
実在4社の比較
以下はすべて2026年9月2日に各社の公式サイトで確認した内容です。掲載は網羅を意図したものではなく、支援スタイルの違いを示す代表例です。料金・サービス内容は変更される可能性があるため、契約前に必ず各社へ直接ご確認ください。
| 会社 | タイプ | 公式に確認できた内容 | 料金 |
|---|---|---|---|
| 株式会社キカガク | 教材+伴走 | DX・AI人材育成、AX推進支援、キカガク DX-Navi(育成診断から学習・研修管理までの統合基盤) | 非公開 |
| Aidemy | 教材提供型が軸 | Aidemy Business(eラーニング)、Aidemy Practice(実践型研修)、Aidemy GX、DPAS(DX推進力の可視化アセスメント) | 明示なし |
| 株式会社SHIFT AI | 定着支援型 | SHIFT AI for Biz(社員のAI実務活用の定着が対象)、AI経営総合研究所。2022年3月設立 | 非公開 |
| Ai-Raku(アイラク) ※本記事の運営元 |
伴走型 | 業界特化のAI導入・業務効率化支援、AI実装・エージェント開発、研修・内製化支援。1業務・3人・30日から始める進め方 | 初期費用0円・月額5万円から |
この表の読み方
Ai-Rakuだけ料金を書けているのは、単に自社の情報だから正確に書けるというだけです。「料金を公開しているから優れている」という話ではありません。大手には大手の事情があり、人数や期間で金額が大きく動く以上、一律の価格を出しにくいのは当然です。
あわせて、Ai-Rakuの弱みも書いておきます。支援した企業の社数を公開していません。実績数を大きく見せる意図がないためですが、裏を返せば「規模で選びたい会社にとっては判断材料が少ない」ということです。多人数に一度に受けさせたい場合や、実績数で社内を説得したい場合は、教材提供型の大手のほうが向いています。
AI導入支援会社そのものの選び方は、AI導入支援会社の選び方で別途4社を比較しています。
AIに任せない線引き
研修の設計段階で決めておくべきことです。ここが曖昧なまま全社に広げると、事故が起きてから決めることになります。
| 領域 | 研修で教える | 人が判断する |
|---|---|---|
| 文書作成 | 下書きの作らせ方 | 社外に出す文章の最終確認 |
| 調べもの | 調べさせ方と裏取りの手順 | 情報が正しいかの確認 |
| 数字の扱い | 集計や整形のさせ方 | 数字が合っているかの検算 |
| 人事・労務 | 制度の一般的な調べ方 | 個別の判断はすべて人 |
| 顧客情報 | 入れてよい情報の線引き | 入力の可否そのもの |
研修で必ず扱ってほしいのは2行目と3行目です。生成AIはもっともらしい嘘を書きます。裏取りの手順を教えない研修は、使える人ではなく、間違いに気づけない人を増やすことになります。
モデルケース|30名の会社
以下はモデルケース(試算)です。実在する企業の数値ではありません。
- 従業員30名。推進役は総務1名(他業務と兼任)
- 研修の対象:まず3名(総務1名・営業1名・製造1名)
- 対象業務:議事録の要約、見積書の下書き、報告書の整形
- 研修前の所要時間:1人あたり週4時間(3業務の合計)
- 研修後:1人あたり週2.5時間
- 月4週、時間単価2,500円で換算
- 研修形式:伴走型。自社の実物を教材に使用
| 項目 | 計算 | 月あたり |
|---|---|---|
| 研修前(3名) | 4時間 × 3名 × 4週 | 48.0時間 |
| 研修後(3名) | 2.5時間 × 3名 × 4週 | 30.0時間 |
| 空く時間 | 48.0 − 30.0 | 18.0時間 |
| 時間単価での換算 | 18.0時間 × 2,500円 | 45,000円相当 |
この試算で見てほしいところ
対象を3名に絞っている点です。いきなり30名に受けさせると、研修直後は全員が触りますが、1か月後に残るのは数名です。先に3名で型を作り、その3名が社内勉強会で広げるほうが、同じ費用で残る人数は多くなります。
また、この会社では研修直後の1か月はほとんど時間が減りませんでした(想定)。理由は、指示文を毎回ゼロから書いていたためです。よく使う指示を5つ型として保存した2か月目から、上表の水準に近づきます。研修で「型を作って保存する」ところまで扱うかどうかが、ここに効きます。
自社の場合はどの業務から、誰に受けさせるべきか。判断に迷う段階でしたら、お問い合わせからご相談ください。初期費用0円・月額5万円からご支援しています。
選定でやりがちな失敗
1. 相場を調べてから会社を探す
主要各社が料金を公開していない以上、探しても確かな相場は出てきません。先に条件を6項目そろえて、同じ条件で見積もりを取るほうが速く、正確です。
2. 全社員向けから始める
人数を増やすほど1人あたりの単価は下がりますが、定着率も下がります。3名で型を作ってから広げるのが、結果的に安く済みます。
3. 汎用の演習で妥協する
自社の資料を使えない研修は、知識は残っても業務は変わりません。事前に自社資料を渡せるかを、最初の打ち合わせで聞いてください。
4. 助成金を後から申請しようとする
訓練前に計画届が必要な場合があり、実施後では要件を満たせないことがあります。使うと決めたら、会社選びと同時に段取りを確認します。
5. 研修後のフォローを見ていない
研修当日の内容ばかり比べて、翌週以降の設計を聞いていないケースです。フォロー会・質問窓口・成果物の提出があるかで、3か月後の姿が変わります。
よくある質問
eラーニングと集合研修はどちらがよいですか
目的で分かれます。知識のばらつきを埋めたいならeラーニング、業務で使える状態にしたいなら伴走型です。人数が多く予算が限られるならeラーニングで土台を作り、推進役だけ伴走型を足すという組み合わせが現実的です。
研修の相場はいくらですか
主要各社が公開していないため、確かな相場は示せません。形式・人数・期間・自社資料の使用有無をそろえて見積もりを取るのが唯一の方法です。本記事のチェック表をそのまま使えます。
何名から受けられますか
会社によります。eラーニングは最低人数が設定されていることがあり、伴走型は少人数から受けられることが多いです。3名程度で始めたい場合は、その人数で受けられるかを最初に確認してください。
受けさせても使わない気がします
その心配は正しく、実際によく起きます。防ぐ方法は2つです。研修後のフォローが設計に含まれている会社を選ぶこと、そして研修前に「何ができていればよいか」を動詞で1文にしておくことです。この1文があると、研修後に達成できたか判定できます。
社内でやる方法もありますか
あります。外部研修で推進役を育て、その人が社内勉強会を回す形です。費用を抑えられ、自社業務に密着した内容にできます。進め方は社内勉強会の記事にまとめました。
助成金は必ず使えますか
要件を満たす必要があり、必ず使えるとは限りません。訓練時間の下限、計画届の提出時期、対象となる経費の範囲などの条件があります。詳細と最新の要件は厚生労働省のページと、管轄の労働局にご確認ください。
まとめ
AI研修会社の比較は、金額を並べる作業ではありません。主要各社が料金を公開していないので、そもそも並べられないからです。
- 比較の入口は「研修後に何ができていればよいか」を動詞で1文にすること
- タイプは3つ。全社員ならA、推進役を作るならC
- 料金は6項目をそろえて見積もりを取る。相場を探しても出てこない
- 決め手は自社の実物を教材にできるか
- 研修後のフォロー設計を必ず確認する
- 助成金を使うなら、会社選びと同時に段取りを確認する
- 3名で型を作ってから広げるほうが、同じ費用で残る人数は多い
まずは、研修後にできてほしいことを1文だけ書き出してみてください。これが書けないうちは、どの会社の提案も評価できません。逆に書けたなら、各社に同じ1文をぶつけるだけで、提案の質の差がはっきり出ます。
どの業務から、誰に受けさせるか。教材にできる自社資料があるか。整理からご一緒することも可能です。お問い合わせからお気軽にご相談ください。初期費用0円・月額5万円から、業務の切り分けと定着まで伴走します。
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