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助成金・補助金活用

デジタル化・AI導入補助金2026|旧IT導入補助金

📅 公開日 2026.08.08 🔄 更新日 2026.08.09 ⏱ 読了 約26分
前田 大輔
監修者
前田 大輔Ai-Raku(アイラク) 代表

業務効率化支援を行う「Ai-Raku(アイラク)」代表。国立大学でAIの研究を行い、ITコンサル・ウェブコンサルを経て独立。官公庁向けの業務効率化や上場企業の支援等を経て、中小企業の現場に定着するAI活用を企画から運用まで一気通貫で支援している。

「AIツールを入れたいので、IT導入補助金2026を使えないか」——これは中小企業の経営者から本当によくいただく相談です。ところが調べ始めると、記事によって制度名も金額もバラバラで、どれが最新なのか分からなくなる。そのまま何か月も先送りになっているケースを、私たちは何度も見てきました。

先に、いちばん大事な事実を2つだけお伝えします。

第一に、2026年度からこの制度は「デジタル化・AI導入補助金2026」に名称が変わっています。正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」です。「IT導入補助金2026」で検索している方が見ている情報は、旧名のまま更新されていない可能性があります。

第二に、ChatGPTやClaudeなどの生成AIを自社で直接契約しても、その月額は補助対象になりません。この制度は「あらかじめ事務局に登録されたITツール」を「登録されたIT導入支援事業者」経由で導入する仕組みだからです。ここを誤解したまま契約すると、全額が自己負担になります。

この記事は、補助金の申請代行を売るための記事ではありません。私たちAi-Rakuは申請代行業者ではなく、AI導入そのものを支援する立場です。だからこそ、「この補助金は、あなたのAI導入に使えるのか・使えないのか」を自分で判断できるところまで、公募要領の原文にあたって整理します。使えないケースの現実的な代替案も、最後に書きます。

この記事でわかること

  • 2026年度の制度名・枠・補助率・補助額(公式の公募要領ベース)
  • 生成AIの利用料が補助対象になるのか、公式にどう書かれているか
  • 対象になりやすいAIツール/なりにくいAIの使い方の線引き
  • 公式が公表している「申請数と交付決定数」の実数
  • 申請にかかる手間の見積もりと、補助金ありきで失敗する典型
  • 対象外だった場合に、費用をかけずに進める方法

※本記事は2026年8月8日時点で公開されている情報にもとづく一般的な情報提供です。補助金の制度内容・要件・スケジュール・対象ツールは年度ごとに変わり、年度途中でも改訂されます。最新の要件・スケジュールは必ず公式サイトでご確認ください。個別の該当可否は、デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイトおよび事務局・IT導入支援事業者にご確認ください。当社は補助金申請の代行業者ではありません。

  1. 結論:使える。ただし条件がある
  2. 2026年度で変わったのは名前だけか
    1. 正式名称と旧名称の関係
    2. 過去に採択された企業は不利になる
  3. 枠は5つ|AI導入なら通常枠
    1. 通常枠の補助率と補助額
    2. 対象になる経費の種類
  4. 生成AIの利用料は対象になるか
    1. 公式には「AI」がどう書かれているか
    2. それでも直接契約は対象外になる
    3. 登録要件から見た対象になりにくいAI
    4. 対象か迷ったときの3つの問い
  5. 採択率は公表されている
    1. 2026年度の交付決定数(公表実数)
    2. この数字をどう読むか
  6. 申請の負担をどう見積もるか
    1. 交付申請までにやること
    2. 必要書類のチェックリスト
    3. 交付決定後にも作業が残る
  7. 加点項目で差がつくところ
  8. 補助金ありきで導入すると失敗する
    1. 使わない機能に費用を払うことになる
    2. クラウド2年分という縛り
    3. 先に小さく試すべき理由
  9. モデルケースで考える(試算)
    1. 前提条件
    2. 費用と補助のイメージ
  10. 補助金が使えない場合にできること
    1. 無料・低額の範囲でまず試す
    2. 費用をかけずに整えられること
    3. 他の制度も併せて見る
  11. 2026年度のスケジュールと注意点
  12. よくある質問(FAQ)
    1. Q. IT導入補助金2026という制度はありますか
    2. Q. ChatGPTの月額は補助されますか
    3. Q. 生成AI搭載のソフトなら対象ですか
    4. Q. 採択率はどのくらいですか
    5. Q. 申請すれば必ず採択されますか
    6. Q. 補助金はいつ振り込まれますか
    7. Q. 契約してから申請してもよいですか
    8. Q. 個人事業主でも申請できますか
    9. Q. 昨年も使いましたが今年も使えますか
    10. Q. 申請代行をお願いできますか
    11. Q. 導入研修の費用も対象になりますか
    12. Q. 次の締切はいつですか
    13. Q. 補助金が使えないと導入は無理ですか
  13. まとめ|判断の順番を間違えない

結論:使える。ただし条件がある

結論から書きます。AIツールの導入に、この補助金は使えます。2026年度は制度名そのものに「AI導入」が入り、公募要領の本文でも補助対象は「労働生産性の向上に資するソフトウェア(AIを含む。以下同じ。)・オプション・役務・ハードウェアの総称」と定義されています。AIが除外されているどころか、明示的に含まれています。

ただし、条件があります。次の3つを同時に満たす必要があります。

  1. そのツールが、事務局に「ITツール」として事前登録されていること
  2. 登録された「IT導入支援事業者」と組んで申請すること
  3. 交付決定を受けた後に契約・購入・支払いをすること

この3つのうちどれか1つでも欠けると、補助は受けられません。とくに3つ目は、実務で最も多い取り返しのつかない失敗です。公募要領では「交付決定前に購入したITツール」が補助対象外として明記されています。急いで契約してしまってから相談に来られる方が、毎年いらっしゃいます。

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)(2026年5月15日更新版・2026年8月8日確認)

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2026年度で変わったのは名前だけか

正式名称と旧名称の関係

まず名称を整理します。混乱の元になっているのはここです。

区分 名称
正式名称 中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金
通称(2026年度) デジタル化・AI導入補助金2026
旧通称(〜2025年度) IT導入補助金2025/2024 など
事務局 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(TOPPAN株式会社)

制度の骨格(IT導入支援事業者と共同で申請し、登録済みのITツールを導入する)は従来から引き継がれています。ただし「名前が変わっただけ」ではありません。過去年度に交付決定を受けた事業者に対する減点措置や、申請要件・加点項目の中身は年度ごとに更新されています。旧年度の記事をそのまま信じると、要件を読み違えます。

過去に採択された企業は不利になる

見落としやすいのがこの点です。公募要領の「減点措置」には、IT導入補助金2022からIT導入補助金2025までの間に交付決定を受けた事業者は減点対象と明記されています。さらに、2024年または2025年に交付決定を受けたソフトウェアのプロセスと、今回導入するソフトウェアのプロセスが重複する場合も減点、プロセスが完全に一致する場合は不採択とされています。

加えて、IT導入補助金2025の通常枠等で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12か月以内は2026年度の通常枠に申請できません。「去年も使ったから今年も」と考えている場合は、まずここを確認してください。

枠は5つ|AI導入なら通常枠

2026年度の枠は次の5つです。AIツールやソフトウェアの導入が目的なら、実務上の第一候補は通常枠になります。

主な用途 AI導入との相性
通常枠 ソフトウェア・システムの導入全般 ◎ 第一候補
インボイス枠(インボイス対応類型) 会計・受発注・決済ソフト、PC・レジ等 △ インボイス対応が前提
インボイス枠(電子取引類型) 受発注システム(発注側が受注側にアカウント無償発行) △ 用途が限定的
セキュリティ対策推進枠 サイバーセキュリティお助け隊サービス × 対象サービスが限定
複数者連携デジタル化・AI導入枠 複数事業者が連携した地域単位のDX △ 単独申請では使えない

通常枠の補助率と補助額

通常枠の条件は次のとおりです(2026年5月15日更新版の公募要領より)。

補助金申請額 補助率 必要なプロセス数 賃上げ目標
5万円〜150万円未満 1/2以内
(最低賃金近傍の要件を満たす場合は2/3以内)
1プロセス以上 加点項目 ※
150万円〜450万円以下 4プロセス以上 必須要件

※IT導入補助金2022〜2025の間に交付決定を受けた事業者の場合は必須要件になります。「最低賃金近傍」とは、令和6年10月から令和7年9月までの間で、当該期間における地域別最低賃金以上〜令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合を指します。出典:通常枠 公募要領(2026年8月8日確認)

ここで読み間違えやすいのが「450万円もらえる」という理解です。450万円は補助金の上限であって、もらえる金額ではありません。補助率1/2なら、900万円の対象経費を支払って450万円が戻る計算です。しかも450万円の区分に入るには、4つ以上の業務プロセスをカバーするITツール構成が必要です。中小企業がAIツールを1本入れたいだけなら、現実的には「5万円〜150万円未満」の区分になります。

対象になる経費の種類

通常枠の補助対象経費は、ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、導入関連費です。ITツールは3つの大分類に分かれます。

大分類 カテゴリー 補助対象期間・上限
Ⅰ ソフトウェア 1(ソフトウェア) 買取/月額・年額の製品は最大2年分
Ⅱ オプション 2(機能拡張) 最大1年分
3(データ連携ツール)
4(セキュリティ)
Ⅲ 役務 5(導入コンサルティング・活用コンサルティング) 大分類Ⅲ合計で200万円が上限
カテゴリー7は最大2年分
6(導入設定・マニュアル作成・導入研修)
7(保守サポート)

注目すべきは、大分類Ⅲの「役務」に導入研修やマニュアル作成、導入コンサルティングが含まれていることです。AI導入で本当にお金と時間がかかるのは、ツール代よりも「使えるようにする工程」です。ここが対象になるのは実務的に大きい。ただしカテゴリー6・7はITツール登録時にカテゴリー1(ソフトウェア)と対になっている役務に限られるため、単独で研修だけを申請することはできません。

生成AIの利用料は対象になるか

この記事の本題です。読者がいちばん知りたいのはここでしょう。

公式には「AI」がどう書かれているか

公募要領・ITツール登録要領の両方で、補助対象は「ソフトウェア(AIを含む。以下同じ。)」と定義されています。さらにITツール登録要領には、「AIを用いた機能が搭載されたツールの導入に関する留意事項」という独立した項目があり、AIが次の2種類に分類されています。

区分 公式の定義
生成AI 文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルに基づくAI
生成AI以外のAI技術 上記以外のAIモデル(分類・分析・判断・予測等を行うAIモデル)に基づくAI

そして、AIを用いた機能を搭載したソフトウェアはITツールの登録申請時にその旨を申告することとされ、ITツール検索画面等でAI搭載である旨が表示されると書かれています。つまり2026年度は、「生成AI搭載である」ということが制度上きちんと位置づけられているわけです。ここは前年度までと明確に違う点です。

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 ITツール登録要領(2026年5月15日更新版・2026年8月8日確認)

それでも直接契約は対象外になる

ここが分岐点です。「生成AIは対象」と「あなたが契約したいそのAIが対象」は、まったく別の話です。

補助対象経費は、公募要領で「IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用」と定義されています。したがって——

  • 自社で公式サイトからクレジットカード決済して契約した生成AIの月額:対象外
  • 登録されたIT導入支援事業者が提供する、登録済みITツールとしてのAI搭載ソフトウェア:対象になり得る

同じサービスであっても、買い方によって結論が変わります。「AIだから対象」ではなく、「登録された経路で買ったから対象」という制度です。ここを取り違えると、時間もお金も無駄になります。

登録要件から見た対象になりにくいAI

では、どんなAIツールなら登録され得るのか。ITツール登録要領のカテゴリー1(ソフトウェア)の登録要件と対象外規定を読むと、輪郭が見えてきます。

登録要件(抜粋)

  • 定められた業務プロセス(顧客対応・販売支援/決済・債権債務/供給・在庫・物流/会計・財務・経営/総務・人事・給与ほか/業種固有プロセス)または汎用プロセスのいずれか1つ以上に該当する機能を有すること
  • 1つのプロセスの中で幅広く業務をカバーすること
  • 「業種」「業務範囲」「業務機能」等の仕様を明確に定義して開発され、一般に販売が開始されていること

対象外となるもの(抜粋)

  • 単一の処理を行う機能しか有しないもの(例:請求書作成機能しか持たないソフトウェア)
  • 恒常的に利用されないもの(一時的利用が目的、生産性向上への貢献度が限定的なもの)
  • すでに導入済みのソフトウェアの機能を追加・拡張することを目的としたもの(追加モジュール、アドオン、プラグイン等)
  • すでに購入済みのソフトウェアへの増台・追加ライセンス・リビジョンアップ費用
  • 製品が完成しておらず、スクラッチ開発を伴うソフトウェア
  • 特定の顧客向けに限定され、一般市場に販売されていないもの
  • 対外的に無償で提供されているもの
  • 業務プロセスに影響を与えるような大幅なカスタマイズが必要となるもの

この規定を素直に読むと、「汎用の対話型AIを1アカウント契約する」という形は、制度が想定している対象からは外れやすいと分かります。理由は明快で、汎用チャットAIは「1つのプロセスの中で幅広く業務をカバーする業務ソフトウェア」ではなく、用途が利用者側の使い方に委ねられているからです。

逆に、特定の業務プロセスに組み込まれ、AI機能を搭載した業務ソフトウェア——たとえば、AIによる文字起こし・要約を含む議事録システム、AI-OCRを備えた経費精算・会計システム、需要予測機能を持つ在庫管理システム、AIによる応対支援を持つ顧客管理システムなどは、制度の枠組みに乗りやすい形です。

対象か迷ったときの3つの問い

個別の可否は事務局とIT導入支援事業者にしか判断できません。ただし、相談に行く前に自分でふるいにかける問いは持てます。

  1. そのツールは、公式のITツール検索に載っているか(載っていなければ、その時点で通常の申請ルートには乗りません)
  2. 「どの業務プロセスを、どう効率化するか」を一文で言えるか(言えないなら、事業計画の審査でも説明できません)
  3. 補助金が0円でも、その投資をするか(しないなら、それは補助金に釣られているだけの投資です)

ITツールの登録状況は公式のITツール検索で確認できます。ツール名でも、対応エリアや支援事業者名でも検索できます。まずここで自社の候補ツールを引いてみるのが、最短の確認方法です。

採択率は公表されている

2026年度の交付決定数(公表実数)

「どうせ通らないのでは」という不安は、多くの経営者が口にします。実は事務局が申請数と交付決定数を公表しています。2026年8月8日時点で公表されている2026年度の実数は次のとおりです。

交付決定日 申請数 交付決定数 交付決定の割合
2026年6月18日 通常枠 2,028 891 約43.9%
インボイス枠(インボイス対応類型) 4,324 2,027 約46.9%
セキュリティ対策推進枠 88 64 約72.7%
2026年7月23日 通常枠 1,879 819 約43.6%
インボイス枠(インボイス対応類型) 3,790 2,096 約55.3%
セキュリティ対策推進枠 28 20 約71.4%

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 申請数及び交付決定数(2026年8月8日確認)。「交付決定の割合」は公表されている申請数と交付決定数から本記事が算出したものです。事務局が「採択率」として公表している数値ではありません。過去回の実績であり、今後の回で同じ結果になることを示すものではありません

この数字をどう読むか

通常枠は2回とも4割強です。「出せば通る」制度ではないが、「まず通らない」制度でもない——これが正しい理解でしょう。半分以上が交付決定に至っていないという事実は、率直に受け止めるべきです。

そのうえで、「採択されます」「必ず通ります」と断言する事業者がいたら、距離を置いてください。外部審査委員会の意見を聴取したうえで採択が決定される制度であり、誰にも保証はできません。保証をうたう営業トークは、それ自体が判断材料になります。

もう一点。不採択の理由は公表されませんが、公募要領の審査項目は公開されています。「自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか」「自社の状況や課題分析及び将来計画に対し改善すべきプロセスが、導入するITツールの機能により期待される導入効果とマッチしているか」——つまり、ツールの良し悪しではなく、課題とツールの噛み合わせを説明できているかが問われます。ここは補助金の話である以前に、AI導入そのものの話です。

申請の負担をどう見積もるか

金額だけ見て申請を決めると、あとで「割に合わなかった」となります。手間を先に見積もりましょう。

交付申請までにやること

公募要領に示された交付申請の流れは、次の8ステップです。

  1. 本事業ホームページや交付規程・公募要領を読み、補助事業について理解する
  2. IT導入支援事業者・ITツールを選定する(この時点では契約ではない)
  3. GビズIDプライムを取得する
  4. IT導入支援事業者による「申請マイページ」への招待
  5. 「申請マイページ」を開設する(申請者情報の入力)
  6. IT導入支援事業者が「IT事業者ポータル」で事業計画・ITツール情報を入力する
  7. 「申請マイページ」でITツール情報・事業計画の確認、宣誓を行う
  8. 「申請マイページ」から事務局へ交付申請を提出する

このうち時間が読めないのがステップ3のGビズIDプライム取得です。書類の郵送を伴う手続きのため、思い立ってすぐ取れるものではありません。締切から逆算するなら、ここを最初に着手してください。あわせて、IPAの「SECURITY ACTION」(★一つ星または★★二つ星)の宣言も申請要件です。

必要書類のチェックリスト

区分 必要書類
法人 履歴事項全部証明書(発行から3か月以内)
税務署発行の直近分の法人税の納税証明書(その1またはその2)
直近分の貸借対照表および損益計算書
個人事業主 運転免許証(有効期限内)、運転経歴証明書または住民票(発行から3か月以内)
税務署発行の直近分の所得税の納税証明書(その1またはその2)
税務署が受領した直近分の確定申告書の控え
所得税の青色申告決算書または収支内訳書

公募要領には「代替書類は一切認められない」と明記されています。また税理士の印のみが押印された書類は適切な添付資料として扱われません。出典:通常枠 公募要領(2026年8月8日確認)

交付決定後にも作業が残る

見落とされがちですが、補助金は交付決定で終わりではありません。交付決定後に契約・導入・支払い→実績報告→補助金の額の確定・交付→効果報告と続きます。効果報告は事業終了後も続く義務です。

さらに重い規定があります。加点を受けて採択されたにもかかわらず加点要件を達成できなかった場合、効果報告で未達が報告されてから18か月の間、中小企業庁が所管する補助金への申請にあたって正当な理由が認められない限り大幅に減点されるとされています。賃上げ計画の加点を安易に取ると、将来の他の補助金申請に響くということです。

加点項目で差がつくところ

通常枠の加点項目は多岐にわたります。手間の重さで整理すると判断しやすくなります。

手間 加点項目の例
軽い クラウド製品を選定/インボイス制度対応製品を選定/サイバーセキュリティお助け隊サービスを選定
中小機構「デジwith」の「IT戦略ナビwith」を交付申請前に実施/中小機構「省力化ナビ」で解決策PDFを取得/中小企業庁「成長加速マッチングサービス」で挑戦課題を登録/デジタル化セカンドオピニオンの実施(第3回公募回より)
重い 賃上げ計画(事業場内最低賃金の水準、1人当たり給与支給総額の年平均成長率、従業員への表明)/健康経営優良法人2026の認定/えるぼし・くるみん等の認定

手間の軽い加点は、ツール選定の段階で意識するだけで取れます。クラウド製品を選ぶことが加点になるのは、AI導入を検討している企業にとって追い風です。AI搭載の業務ソフトウェアはクラウド型が大半だからです。

一方、賃上げ計画の加点は「約束」です。前述の18か月の減点規定がある以上、達成できる範囲でしか出すべきではありません。補助金150万円のために、3年分の賃金政策を歪めるのは本末転倒です。

補助金ありきで導入すると失敗する

ここからは、当社が一貫してお伝えしている考え方です。補助金の記事でこれを書くのは営業的には不利ですが、実際に失敗を見てきたので書きます。

使わない機能に費用を払うことになる

150万円以上の区分を狙うには4プロセス以上が必要です。すると何が起きるか。本当に必要なのは1機能なのに、プロセス数を満たすために使わない機能まで含んだ構成を組むという逆転が起きます。

補助率1/2なら、300万円のツールを買って150万円が戻ります。自己負担は150万円です。本当に必要だった機能が50万円だったなら、100万円を余計に払っていることになります。補助金は割引券ではなく、支出を伴う制度です。

クラウド2年分という縛り

クラウド利用料は最大2年分が補助対象です。裏を返すと、2年分をまとめて契約する構成になりやすいということです。AIツールの領域は変化が速く、2年前に最適だった選択が今も最適とは限りません。

加えて、公募要領には「複数のITツールを導入し、そのうちの一部を解約する場合であっても、実施している補助事業の辞退とみなす場合があるため、辞退の手続きを行う必要がある」と書かれています。途中でやめる自由度は、通常の契約より低くなります

先に小さく試すべき理由

私たちが支援に入るとき、最初にお願いするのは「補助金の話を一度脇に置いて、いま困っている業務を1つ挙げてください」ということです。理由は3つあります。

第一に、審査項目が「課題とツールの噛み合わせ」を見ているから。課題が言語化できていない状態で申請書を作っても、説得力が出ません。第二に、小さく試せば、そのツールが本当に必要かが1か月で分かるから。第三に、試した結果は、そのまま事業計画の材料になるからです。「この作業に月◯時間かかっており、試験導入で◯時間に減った」という記述は、想像で書いた効果予測よりはるかに強い。

順番を逆にしないでください。「補助金が使えるから導入する」ではなく、「導入すると決めたものに、たまたま補助金が使えるかを確認する」。この順番を守るだけで、失敗の大半は避けられます。AI導入で失敗する典型的なパターンはAIツールの選び方でも整理しています。

モデルケースで考える(試算)

お断り

以下は実在の企業ではなく、当社が想定する典型的な状況にもとづく試算です。実際の補助額・採否・スケジュールを保証するものではありません。金額はあくまで考え方を示すための例です。

前提条件

  • 従業員15名の卸売業(中小企業の定義に該当)
  • 課題:受注メールの内容を基幹システムに手入力しており、担当2名で月40時間かかっている
  • 検討中:AI-OCRとAIによる自動仕分けを備えた受発注管理システム(クラウド型)
  • GビズIDプライムは未取得、SECURITY ACTIONも未宣言

費用と補助のイメージ

項目 金額(例) 備考
クラウド利用料(2年分) 72万円 月3万円×24か月
導入設定・導入研修(役務) 28万円 カテゴリー1と対の役務
補助対象経費 合計 100万円
補助金申請額(補助率1/2の場合) 50万円 5万円〜150万円未満の区分
自己負担 50万円+消費税 消費税は補助対象外

この試算で押さえてほしいのは金額そのものではなく、手元から先に100万円が出ていくという点です。補助金は原則として事業実施・支払い・実績報告を経てから交付されます。立て替えの資金繰りが必要だということを、申請前に社内で共有してください。

そしてもう一つ。この会社にとっての本当の効果は「50万円もらえた」ことではなく、月40時間の手入力が減ることです。そちらが実現しなければ、50万円の自己負担だけが残ります。

補助金が使えない場合にできること

ここまで読んで「うちは対象外かもしれない」と感じた方へ。対象外だからAI導入を諦める必要は、まったくありません。むしろ生成AIの活用は、補助金がなくても始められる領域です。

無料・低額の範囲でまず試す

総務省「令和7年版 情報通信白書」では、業務で生成AIを利用していると回答した割合は日本で55.2%とされています。同白書では、中小企業では生成AIの活用方針を定めていない企業が相対的に多いこと、導入にあたっての懸念としてランニングコストや初期コストが上位に挙がっていることも示されています。つまり、コストが壁になっている企業が多いということです。

出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」(2026年8月8日確認)

ところが実務では、資料作成・議事録・メール文面・要約といった業務の多くは、無料枠や月額数千円のプランで十分に検証できます。まずここで「本当に時間が減るのか」を確かめるのが、いちばん安全で速い。どこまで無料でできるかは資料作成AIを無料でどこまでできるかで具体的に整理しています。

費用をかけずに整えられること

お金をかけずに進められる準備は、思っているより多くあります。

  • 業務の棚卸し:どの作業に月何時間かかっているかを書き出す(申請時の事業計画にもそのまま使えます)
  • 社内ルールの整備:入力してよい情報・いけない情報の線引きを決める
  • GビズIDプライムの取得:他の補助金でも使うため、取っておいて損はありません
  • SECURITY ACTIONの宣言:申請要件であり、宣言自体は無料です
  • ITツール検索での下調べ:候補ツールが登録されているかを確認しておく

これらを済ませておけば、次の公募回にすぐ動けます。「締切が近づいてから慌てる」のが、いちばん高くつくパターンです。

他の制度も併せて見る

AI導入に使える補助金は、この制度だけではありません。設備投資を伴う省力化、新製品開発、販路開拓など、目的によって適した制度が変わります。制度ごとの向き不向きはAI導入に使える補助金の比較にまとめています。エンジニア向けのAI開発環境を検討している場合はClaude Codeと補助金の関係もあわせてご覧ください。

2026年度のスケジュールと注意点

2026年8月8日時点で公式サイトに掲載されている情報は次のとおりです。

項目 内容
交付申請の受付開始 2026年3月30日(月)10:00〜
公表されている交付申請締切 2026年8月25日(火)17:00
交付決定日 2026年10月7日(水)(予定)
事業実施期間 交付決定〜2027年3月31日(水)17:00(予定)
事業実績報告期限 2027年3月31日(水)17:00(予定)

公式サイトには「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております。以降のスケジュールは随時更新いたします」と記載されており、これ以降の締切日は2026年8月8日時点では未公表です。また公募要領には「制度内容・スケジュール等は変更する場合がある」と明記されています。出典:事業スケジュール(2026年8月8日確認)

スケジュールで注意すべきは、事業実施期間の終わりが年度末で固定されていることです。回次が後ろになるほど、交付決定から実績報告までの期間が短くなります。導入・定着に時間がかかるツールほど、早い回次で申請するほうが安全です。

よくある質問(FAQ)

Q. IT導入補助金2026という制度はありますか

2026年度は「デジタル化・AI導入補助金2026」という名称です(正式名称:中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金)。旧称のIT導入補助金の後継にあたります。検索時は新名称でも確認してください。

Q. ChatGPTの月額は補助されますか

自社で直接契約した場合は補助対象になりません。補助対象経費は「IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用」と公募要領で定義されているためです。個別の可否は事務局・IT導入支援事業者にご確認ください。

Q. 生成AI搭載のソフトなら対象ですか

AI搭載であること自体は対象要件ではありません。ITツールとして事前に登録されていることが前提です。ITツール登録要領では、AI機能の搭載は登録申請時に申告し、ITツール検索画面等で表示されるとされています。

Q. 採択率はどのくらいですか

事務局は申請数と交付決定数を公表しています。2026年度の通常枠は、2026年6月18日交付決定分が2,028件中891件、2026年7月23日交付決定分が1,879件中819件でした(いずれも2026年8月8日確認)。過去回の実績であり、今後を保証するものではありません。

Q. 申請すれば必ず採択されますか

されません。外部審査委員会の意見を聴取したうえで採択が決定される制度で、事前に結果を保証できる立場の者はいません。「必ず通る」と説明する事業者には注意してください。

Q. 補助金はいつ振り込まれますか

交付決定後に契約・導入・支払いを行い、実績報告を提出し、補助金の額が確定してから交付されます。先に自社で全額を支払う流れになるため、立て替え資金の準備が必要です。

Q. 契約してから申請してもよいですか

できません。公募要領で「交付決定前に購入したITツール」は補助対象外と明記されています。順序を誤ると全額自己負担になります。

Q. 個人事業主でも申請できますか

日本国内に補助事業の実施場所を有する個人であることなど、公募要領の申請要件を満たせば対象になり得ます。必要書類は法人と異なり、確定申告書の控えや青色申告決算書等が求められます。

Q. 昨年も使いましたが今年も使えますか

IT導入補助金2025の通常枠等で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12か月以内は2026年度の通常枠に申請できません。また2022〜2025年度に交付決定を受けた事業者は減点対象、プロセスが完全に一致する場合は不採択とされています。

Q. 申請代行をお願いできますか

当社は補助金申請の代行業者ではありません。AI導入そのものの支援を行っています。なお公募要領では、補助金申請・報告に係る申請代行費は補助対象外の経費とされています。

Q. 導入研修の費用も対象になりますか

大分類Ⅲ「役務」のカテゴリー6(導入設定・マニュアル作成・導入研修)が補助対象に含まれます。ただしITツール登録時にカテゴリー1(ソフトウェア)と対になっている役務に限られ、大分類Ⅲ全体で200万円が上限です。

Q. 次の締切はいつですか

2026年8月8日時点で公式サイトに掲載されている交付申請締切は2026年8月25日(火)17:00です。それ以降の回次は「確定している募集回のスケジュールのみ公表」とされており未公表です。最新情報は公式サイトでご確認ください。

Q. 補助金が使えないと導入は無理ですか

そんなことはありません。資料作成・議事録・要約といった業務は、無料枠や月額数千円のプランでも十分に効果を検証できます。まず小さく試し、必要だと分かったものに投資する順番をおすすめします。

まとめ|判断の順番を間違えない

最後に、判断の順番を整理します。

  1. いま困っている業務を1つ決める(補助金の話は一度脇に置く)
  2. 無料枠や低額プランで小さく試す(本当に時間が減るかを確かめる)
  3. 本格導入すると決めたら、候補ツールがITツール検索に載っているか確認する
  4. 載っていれば、IT導入支援事業者に相談し、GビズIDプライムとSECURITY ACTIONを準備する
  5. 載っていなければ、補助金なしで進める道と、他制度を並べて比較する

2026年度は制度名に「AI導入」が入り、生成AIが公式に定義された年です。AI導入に補助金を使う環境は、確実に整ってきています。ただしそれは「補助金があるからAIを入れる」ことを正当化しません。順番を守った企業だけが、補助金を本当の意味で活かせます。

Ai-Rakuができること

当社は補助金の申請代行は行っていません。行っているのは、「どの業務にAIを使えば時間が減るか」を一緒に決め、実際に現場で使える状態にするところまでです。無料でできる範囲から始め、必要になった時点で投資する進め方をご提案しています。費用は初期費用0円・月額5万円です。

「うちの業務でAIが使えるか分からない」「補助金の対象になりそうか含めて相談したい」という段階でも構いません。お問い合わせはこちらからお気軽にご相談ください。

※本記事は2026年8月8日時点で公開されている情報にもとづく一般的な情報提供であり、特定の企業に対する助言ではありません。補助金の制度内容・要件・対象ツール・スケジュールは変更されます。申請にあたっては必ずデジタル化・AI導入補助金2026 公式サイトおよび中小企業庁の最新情報をご確認ください。

設備や機器の導入が中心なら、カタログ型補助金の製品の選び方もあわせてご検討ください。同じ業務プロセスでの重複申請はできない点にも触れています。

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