テレアポのトークをAIで作る|断りへの備え方
業務効率化支援を行う「Ai-Raku(アイラク)」代表。国立大学でAIの研究を行い、ITコンサル・ウェブコンサルを経て独立。官公庁向けの業務効率化や上場企業の支援等を経て、中小企業の現場に定着するAI活用を企画から運用まで一気通貫で支援している。

- AIで作ったトークは本当に使えますか
- そのままでは使えません。ただし、分岐の骨組みを作る作業と、言い回しの案を大量に出す作業においては、人が一人で考えるより速く、抜けも少なくなります。最後に人が声に出して読み、自分の言葉に直す工程を入れれば、実用に足るものになります。
- どのAIサービスを使えばいいですか
- 文章生成ができる一般的なサービスであれば、どれでも作業自体は可能です。選ぶ際に確認すべきは性能よりも、入力した内容の取り扱い(学習利用の有無や設定)と、社内で決めた入力ルールに合うかです。顧客情報を扱う可能性があるため、ここは導入前に確認してください。
- 分岐はいくつ用意すればいいですか
- 最初は場面ごとに5パターン、全体で20〜30程度で十分です。むしろ多すぎると現場で探せなくなります。1週間使って出番のなかった分岐を削り、A4で1枚に収まる量を維持してください。
- 断られた後に粘るトークも作れますか
- 技術的には作れますが、推奨しません。相手に不快感を与えて企業名がマイナスの印象で記憶されること、担当者が疲弊すること、電話勧誘に関わる規制や社内コンプライアンスに抵触する可能性があることが理由です。断られる前の設計を良くするほうが、結果的に成果につながります。
- 通話の録音はしたほうがいいですか
- 振り返りの材料としては有効です。ただし始める前に、相手への告知の有無、保存場所、閲覧できる人、保存期間を社内で決めてください。決めずに個人の判断で録音を始める運用は避けるべきです。
- 録音の文字起こしをAIに渡していいですか
- 渡す場合は、社名・個人名・電話番号を伏せてからにしてください。実務的には、全文ではなく担当者が書いた3行程度の要約を渡すだけで、改善点の抽出には足ります。使用するサービスの入力データの取り扱いも、事前に確認してください。
- 業界の平均アポ率を教えてもらえますか
- 本記事では、確認できる一次情報のない数値は掲載していません。接続率やアポ率は、業種・商材・リストの質・時間帯によって大きく変わるため、外部の数字を目標にしても判断材料になりません。比較すべきは自社の先月と今月です。
- 新人教育にも使えますか
- 使えます。むしろ効果が出やすいのは新人教育のほうです。一本道の台本だと、外れた瞬間に沈黙してしまいますが、分岐表があれば「その反応ならここを見る」と対応できます。同席指導の時間も短縮できます。
- 導入事例をトークに入れてもいいですか
- 公開の許諾を得た事例だけにしてください。許諾のない社名を挙げることは、その企業との関係を損ないます。許諾がない場合は「同業の企業様で」といった匿名の形にとどめ、AIに社名を作らせないよう指示文で明示的に禁止してください。
- 電話勧誘に関する法律は大丈夫ですか
- 電話での勧誘には特定商取引法をはじめとする規制が関わる場合があり、取引形態や相手が事業者か消費者かによって適用は変わります。本記事では断定的な解釈は示しません。消費者庁など所管省庁の公表資料を確認するか、弁護士等の専門家にご相談ください。AIに法解釈を尋ねて、その回答をそのまま社内ルールにすることは避けてください。
- AIが誤った情報を話させてしまいませんか
- その可能性はあります。対策は2つです。プロンプトに「提供していない情報は書かない。不明点は【要確認】と書く」と入れること。そして、分岐表を改訂したときに担当者1名が事実に関する記述だけを通しで確認することです。
- 効果が出るまでどれくらいかかりますか
- 準備時間の削減は、分岐表ができた翌週から体感できます。会話の質に関する変化は、週1回の振り返りを4週間続けたあたりから見え始めることが多いです。最初の1か月は、成果よりも「分岐表が使われているか」を確認してください。
- 営業担当が1人しかいなくても意味がありますか
- あります。1人体制の場合、属人化した判断が本人の頭の中だけにある状態になりがちです。分岐表として外に出しておけば、体調不良時の引き継ぎや、将来の増員時にそのまま教材として使えます。
- まず何から始めればいいですか
- 「実際に言われた断り文句を20個書き出す」ことから始めてください。この材料さえあれば、初回の分岐表は1時間程度で作れます。逆に、この材料なしにAIへ指示すると、一般論の文章が出てきて終わります。
テレアポのトークスクリプトをAIに作らせると、たいてい「よくできた文章」が返ってきます。丁寧で、論理的で、隙がない。ところが実際に受話器を持つと、3行目までしか使えません。相手が最初のひと言で割り込んでくるからです。
この記事でお伝えしたい結論はひとつです。AIに作らせるべきなのは「台本」ではなく「分岐」。相手が何と言ってきたかで進む道を変える設計図を作らせれば、AIは一気に実用的になります。中小企業の営業現場で、追加の人員も高価なツールも使わずに始められる方法として整理しました。
営業活動全体でのAI活用の全体像を知りたい方は、先に営業のAI活用|中小企業が今日から使える実践法をご覧ください。本記事は、その中でも「電話をかける側のトーク作り」に絞って掘り下げています。
- 一本道の台本が現場で使えなくなる、構造的な理由
- AIに「分岐」を作らせるための手順とプロンプト例
- 「間に合っています」「担当が不在」「資料を送って」への備え方
- 録音を振り返りに使うときに、先に決めておくべき社内ルール
- やってはいけない使い方(事実でない実績・他社名・強引な引き止め)
- 準備時間がどれだけ減るかのモデルケース(当社が想定する典型的な状況にもとづく試算)
結論:作らせるのは台本でなく分岐
先に結論から書きます。テレアポでAIを使うときにやるべきことは、「話す内容を最初から最後まで書かせること」ではなく、「相手の反応ごとに、次の一言を用意させること」です。
一本道の台本は、話し手が最後まで話せる前提で作られています。しかし電話をかける側の営業では、相手が最後まで黙って聞いてくれることのほうが例外です。開始から10秒で「間に合っています」と言われる。20秒で「担当がいません」と言われる。この時点で、台本の4行目以降は使い道がなくなります。
一方、分岐の形で用意しておくと状況が変わります。「間に合っています」と言われたら、そのときに開くページが決まっている。「資料を送って」と言われたら、送る前に何をひとつ聞くかが決まっている。会話が途切れる場所を、あらかじめ潰しておくという考え方です。
そして、この「分岐を大量に書き出す」という作業こそ、AIが最も得意とする領域です。人間が一人で断りパターンを30通り想像するのは骨が折れますが、AIは自社の情報を渡せば短時間で候補を並べます。人間は選ぶ・削る・自分の言葉に直す側に回る。この役割分担が、テレアポ×AIの正しい形だと考えています。
一本道の台本が現場で使えない理由
なぜ、時間をかけて作ったトークスクリプトほど使われなくなるのか。原因は担当者のやる気ではなく、台本という形式そのものにあります。
最初の15秒で会話は分岐する
電話がつながってから、相手が「話を聞く姿勢」になるまでのあいだに、会話は何度も分岐します。受付で止まるのか、担当者につながるのか。担当者が席にいるのか、不在なのか。名乗った瞬間に断られるのか、用件まで聞いてもらえるのか。
この分岐は、台本の冒頭数行で吸収できるものではありません。台本を「一本の川」として書いている限り、実際の会話(無数の枝分かれ)とは形が合わないのです。形が合わないものを現場で使えというのは無理があります。
台本どおりに進む電話はほぼない
営業経験のある方なら実感があると思いますが、台本どおりに最後まで進む電話はほとんどありません。にもかかわらず、多くの会社のスクリプトは「理想的に進んだ場合の1パターン」だけで作られています。
結果として、現場では次のようなことが起きます。ベテランは台本を見ずに自己流で話す。新人は台本から外れた瞬間に沈黙する。そして「うちのスクリプトは役に立たない」という評価が定着し、更新もされなくなる。台本が悪いのではなく、台本という形式が現場の構造と噛み合っていません。
「読んでいる感」が断りを生む
もうひとつ見過ごせないのが、読み上げている雰囲気そのものが断り文句を引き出してしまう点です。整った長文をそのまま読むと、相手には「営業の定型文が始まった」と伝わります。人は定型文だと感じた瞬間に、定型の断り文句で応じます。
AIが出す文章は、放っておくと整いすぎます。整った文章は、電話では不利に働くことがある。この前提を持ってAIを使うかどうかで、出てくるものの実用性が大きく変わります。後述する手順では、あえて「話し言葉に崩す」工程を入れています。
データで見る生成AIの使われ方
「営業のトーク作りにAIを使う」と言うと、まだ特殊なことのように聞こえるかもしれません。実際の利用状況を、公的な調査で確認しておきます。
業務で使う人は日本で55.2%
総務省「令和7年版 情報通信白書」によると、何らかの業務で生成AIを利用していると回答した割合は日本で55.2%でした。用途としては「メールや議事録、資料作成等の補助」が47.3%で最も多く挙げられています(出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」)。
トークスクリプトの作成は、この「文章作成の補助」とほぼ同じ性質の仕事です。つまり、すでに多くの人が使っている用途の、すぐ隣にある使い道ということになります。特別な準備が必要な応用ではありません。
懸念1位は「活用方法がわからない」
同白書では、生成AI導入に際しての懸念事項として、日本では「効果的な活用方法がわからない」が最も多く、次いで「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」が挙げられています(同上)。
この1位は、テレアポ領域にもそのまま当てはまります。「AIでトークを作れる」と聞いても、何をどう指示すればいいのかが分からない。だから試して、微妙な文章が出てきて、そこで止まる。不足しているのはAIの性能ではなく、渡す材料と指示の型です。この記事の後半は、そこを埋めるための内容にしています。
2位のセキュリティについても、テレアポでは無関係ではありません。顧客リスト、通話の録音、名刺情報など、扱うものは個人情報そのものです。この点は後半の「録音を振り返りに使うときの注意」で具体的に扱います。
中小企業は活用方針が未策定
同白書によれば、生成AIの活用方針を定めている企業の比率は49.7%で、前年度調査の42.7%から増加しています。ただし企業規模別に見ると、中小企業では「方針を明確に定めていない」との回答が約半数を占めます(同上)。
また、生成AIの活用推進による影響について、日本では「業務効率化や人員不足の解消につながる」との回答が最も多く挙げられています。なお、同白書の調査対象となった4か国いずれにおいても、ポジティブな面がネガティブな面より注目されている点も示されています(同上)。
方針が未策定でも、着手できないわけではありません。「顧客名と担当者名は入力しない」「録音の文字起こしは社名を伏せてから渡す」の2行を決めるだけでも、テレアポ用途では十分に実用に足ります。完璧な規程ができるまで1年待つほうが、機会損失は大きくなります。
AIに渡す前に揃える3つの材料
AIの出力が使い物にならないとき、原因のほとんどは指示文ではなく渡した材料の不足にあります。まず、次の3つを紙1枚にまとめてください。ここが揃っていれば、プロンプトは短くて構いません。
材料1:自社が本当に解決できること
商品説明ではなく、「この電話で相手のどんな状態を変えられるのか」を書きます。「クラウド型の在庫管理システムです」ではなく、「棚卸しの日に社員が休日出勤しなくて済む状態にできます」と書く。後者でなければ、相手にとっての意味が伝わりません。
ここでの注意点がひとつ。「できること」だけでなく「できないこと」も書いてください。AIは制約を書かないと、話を大きくする方向に文章を作りがちです。「既存の基幹システムとの自動連携は対象外」「初期の設定作業は御社側で1日必要」といった条件を明記しておくと、後述する誇張の問題を防げます。
材料2:相手の状況と決裁の位置
誰に電話しているのかを具体化します。業種、規模、その人の役職、その人が決裁できる金額の目安、いま抱えていそうな業務。ここが「中小企業の経営者」程度の粒度だと、AIの出力も一般論の域を出ません。
具体例としては、次のような書き方です。
- 業種・規模:従業員20〜50名の食品加工業、事務職は2〜3名
- 相手:総務兼経理の責任者。社長の次に決裁に関わるが、単独決裁は月5万円まで
- 抱えていそうな業務:請求書の発行と入金消込、勤怠の集計、電話の一次対応
- 電話の時間帯:午前中は来客対応が多く、14〜16時のほうがつながりやすい
この粒度まで書くと、AIが出す切り口が具体的になります。相手像の解像度が、そのまま出力の解像度になると考えてください。
材料3:過去に言われた断り文句
これが最も重要で、最も省略されがちな材料です。実際に言われた断り文句を、言われたままの言葉で20個書き出してください。「結構です」「今忙しい」「担当が席を外している」「資料を送っておいて」「他社さんでやってもらってる」——記憶にあるものを、丁寧に整えずそのまま書きます。
この20個があるかないかで、AIの出力の質は決定的に変わります。想像で作った断り文句は上品すぎて、現場では出てきません。一次情報としての断り文句が、分岐の骨格になるのです。
集め方は難しくありません。営業担当が3人いるなら、それぞれに「先週言われた断り文句を思い出せるだけ書いて」と依頼するだけです。15分の作業で、AIに渡す材料としては十分な量が集まります。
分岐トークをAIに作らせる手順
材料が揃ったら、次の5ステップで作ります。全体で2〜3時間、慣れれば1時間程度の作業です。
ステップ1:会話を5つの場面に割る
まず、電話を場面に分解します。一般的には次の5つで足ります。
- 受付突破:名乗ってから、担当者につないでもらうまで
- 冒頭:担当者が出てから、用件を伝えるまでの15秒
- 本題:相手の状況を聞き、こちらの話をする1〜2分
- 断り対応:断り文句が出たあとの分岐
- クロージング:次のアクション(訪問・オンライン面談・資料送付)を決める
この分解を先にやっておくと、AIへの指示が場面ごとに分かれ、出力が扱いやすくなります。いきなり「テレアポのスクリプトを作って」と頼むと、この5場面が1本につながった使えない文章が返ってきます。
ステップ2:場面ごとに分岐を書かせる
次に、場面ごとに「相手の反応 → こちらの一言」の対応表をAIに作らせます。ポイントは、文章ではなく表の形で出させることです。表にすると、抜けている分岐が目で見て分かります。
たとえば「冒頭」の場面なら、相手の反応として想定されるのは次のようなものです。用件を聞いてくれる/いきなり断る/担当ではないと言う/今忙しいと言う/何の営業かと警戒する。この5パターンそれぞれに、次の一言を用意させます。
ステップ3:言い回しを3案出させる
分岐が固まったら、各セルの言い回しを3案ずつ出させます。1案だけだと、自社に合うかどうかの判断ができません。3案あると「これは丁寧すぎる」「これは押しが強い」と比較でき、選ぶ作業が一気に楽になります。
このとき、トーンの指定を変えて出させるとさらに使いやすくなります。「①丁寧・低姿勢」「②簡潔・事務的」「③親しみやすい」の3系統を指定すると、担当者の性格に合わせて選べます。同じ内容でも、話す人に合わないトーンは現場で使われません。
ステップ4:現場の言葉に直す
ここが省略できない工程です。AIが出した文章を、必ず声に出して読んでください。読んでみて言いにくい箇所、自分なら絶対に言わない言い回しは、その場で書き換えます。
典型的に直すべきなのは次の3つです。
- 一文が長い:電話では、一文20〜30字程度まで。息継ぎができない文は削る
- 硬い接続詞:「つきましては」「その一環として」などは話し言葉に置き換える
- 抽象名詞:「効率化」「最適化」「ソリューション」は、具体的な作業名に置き換える
この工程は、AIにやらせることもできます。「話し言葉に崩して、一文を25字以内にして、カタカナ語を減らして」と指示すれば、かなり近いところまで持っていけます。ただし最終確認は必ず声に出して行ってください。
ステップ5:1週間使って削る
作った分岐表を持って1週間電話をかけ、その後に「一度も使わなかった分岐」を削ります。多くの場合、作った分岐の半分近くは出番がありません。残すのは、実際に3回以上出てきた反応だけで十分です。
分岐表は、増やすほど良いものではありません。A4で1枚、目線を落とさずに全体が見える量が現場での限界です。増やしたくなったら、代わりに何かを削る。これを守らないと、また使われない資料に戻ります。
そのまま使えるプロンプト例
実際に使えるプロンプトの型を3つ挙げます。<>の部分を自社の情報に置き換えてお使いください。
分岐トークを作るプロンプト
あなたは中小企業向けの法人営業に詳しい担当者です。以下の条件で、電話営業の「分岐トーク表」を作ってください。
- 【自社が解決できること】<棚卸しの日の休日出勤をなくせる。ただし基幹システムとの自動連携は対象外>
- 【相手】<従業員20〜50名の食品加工業/総務兼経理の責任者/単独決裁は月5万円まで>
- 【場面】<担当者が電話に出てからの最初の15秒>
【出力形式】
- 表形式。列は「相手の反応」「こちらの一言(案1:丁寧)」「案2:簡潔」「案3:親しみ」
- 相手の反応は5パターン以上
- 一言は各25字以内。話し言葉で。カタカナ語は使わない
- 実績や導入社数など、こちらが提供していない情報は絶対に書かない
最後の一行が重要です。「提供していない情報は書かない」という制約を毎回入れることで、後述する事実誤りのリスクを大きく下げられます。生成AIが事実でない内容をもっともらしく出力する現象についてはAIのハルシネーションとは?中小企業がとるべき対策で詳しく解説しています。
断り文句の切り返しを作るプロンプト
以下は、当社の営業担当が実際に言われた断り文句です。それぞれについて、次の3点を出してください。
【断り文句】<20個をそのまま貼り付け>
【出力】
- その言葉の裏にある相手の状態(想定を3つ、断定はしない)
- 即座に食い下がらず、まず確認する質問を1つ
- その質問への回答が「はい/いいえ」だった場合の次の一言
【禁止事項】
- 相手を言い負かす、断りを覆させる目的の表現は使わない
- 「今だけ」「他社様も導入済み」など、事実確認できない訴求は使わない
- 電話を切ろうとする相手を引き止める表現は使わない
②の「まず確認する質問を1つ」がこのプロンプトの肝です。断り文句にいきなり反論すると、相手は防御を固めます。質問を挟むことで、会話を切らずに一段だけ深く入れる設計にしています。
会話ログから改善案を出すプロンプト
以下は、電話の内容を担当者がメモした要約です。個人名・社名は伏せてあります。
【メモ】<10件分の要約>
【出力】
- 会話が途切れた箇所に共通するパターンを3つ
- そのうち、こちらの言い方を変えれば改善できそうなものはどれか
- 改善案の一言を、各3案(25字以内・話し言葉)
※メモに書かれていない事実を推測で補わないでください。判断できない場合は「情報不足」と書いてください。
ここでも、社名・個人名を伏せてから渡すことを前提にしています。この点は次章で詳しく扱います。
断り文句への備え方
ここからは、頻出する断り文句への備え方を具体的に見ていきます。共通する原則は「反論しない。まず一つ確認する」です。
「間に合っています」への備え
最も多い断り文句です。この言葉の裏にある状態は、実は一つではありません。本当に他社で足りている場合もあれば、話を聞く時間がないだけの場合も、そもそも用件が伝わっていない場合もあります。
ここで「いえ、当社は他社さんとは違いまして」と反論すると、ほぼ確実に終わります。代わりに、相手の現状を一つだけ確認する質問を返します。「差し支えなければ、いま使われているのは自社内で作られたものですか、それとも外部のサービスでしょうか」といった形です。
この質問には2つの効果があります。ひとつは、答えが返ってくれば会話が続くこと。もうひとつは、答えが返ってこなくても「押し売りではなく状況を聞きに来た」という印象が残ることです。次回の電話がしやすくなります。
「担当が不在です」への備え
不在は、断りではなく事実の連絡である可能性があります。にもかかわらず、多くの担当者はここで「では改めます」と言って切ってしまい、次の電話でまた同じところから始めます。
用意しておくべきは、切る前に必ず取る情報を1つだけ決めておくことです。「何時ごろお戻りでしょうか」「そのご担当の方は、どういった業務を見ていらっしゃいますか」など、次回の精度が上がる質問を1つだけ。複数聞こうとすると受付の方の負担になり、印象が悪くなります。
「資料を送ってください」への備え
丁寧な断りとして使われることが多い言葉です。ただし、本当に検討材料が欲しい場合もあります。この2つを見分けないまま資料を送ると、送った先で止まります。
備えとしては、送る前に一つだけ聞くと決めておきます。「かしこまりました。どのあたりを重点的にご覧になりたいか、一言いただけますか」。ここで具体的な返答があれば検討の意思があり、「とりあえず全体を」であれば、丁寧な断りである可能性が高くなります。
後者だった場合も、無理に食い下がる必要はありません。その情報を記録に残し、次に電話する時期を決めておくほうが、長期的には成果につながります。資料送付後のフォローメールについてはメール返信をAIで速くする方法も参考になります。
「予算がありません」への備え
金額を伝える前に言われた場合と、伝えた後に言われた場合で意味が異なります。前者は「関心がない」の言い換え、後者は本当に金額の問題であることが多いパターンです。
前者であれば、金額の話を続けても意味がありません。「失礼しました、金額の話の前に、いまお困りの点だけ伺ってもよろしいですか」と、話題を戻します。後者であれば、提供範囲を狭めた形が用意できるかどうかが分かれ目です。用意できないなら、時期を改めることを明示して終えるほうが誠実です。
「今忙しい」への備え
これは断りではなく状況です。無理に続けると、印象だけが悪くなります。ここでの正解は「30秒で終わる用件かどうかを自分で判断して伝える」ことです。
「失礼しました。30秒で終わりますので、要点だけお伝えしてもよろしいですか」と聞いて、断られたら日時を確認して切る。ここで粘らないことが、次回につながります。電話を切らせない工夫をAIに考えさせるのは、後述するとおりやってはいけない使い方です。
断り文句と備えの一覧表
| 断り文句 | 裏にある可能性(断定しない) | まず確認すること |
|---|---|---|
| 間に合っています | 他社利用中/時間がない/用件が未伝達 | いま使っているのは自社内か外部か |
| 担当が不在です | 事実の連絡/取次を断っている | 戻り時間、担当者の所管業務 |
| 資料を送ってください | 丁寧な断り/本当に検討材料が欲しい | 重点的に見たい箇所はどこか |
| 予算がありません | 関心がない/本当に金額の問題 | 金額の前に困りごとを聞けるか |
| 今忙しい | 単なる状況/体よく切りたい | 30秒だけ可か、別日時が可か |
| 他社でやってもらってる | 満足している/惰性で続けている | 切り替えを検討する時期はあるか |
| 営業電話はお断りです | 社内方針/過去に不快な経験 | 方針であれば記録して以後かけない |
最下段は重要です。お断りの意思が明確に示された相手には、記録を残して以後かけない。この運用ルールは、AIで効率化する前に決めておくべき土台です。
録音を振り返りに使うときの注意
通話を録音し、文字起こししてAIに振り返らせる——効果は大きい一方で、準備なしに始めると危険な領域でもあります。始める前に決めるべきことを、順に整理します。
相手への告知と社内ルール
まず、録音することを相手に伝えるかどうかを、社内で明確に決めてください。実務上は、通話の冒頭で「品質向上のため通話を録音させていただいております」と伝える運用が広く行われています。伝えることで安心して話せる相手もいれば、警戒する相手もいますが、後から発覚するよりは告知するほうが関係を損ねにくいのが実情です。
あわせて、社内側のルールも文書にしておきます。最低限、次の4点です。
- 誰が録音できるか:担当者個人の判断で録音を始めない
- 何のために使うか:教育・振り返り目的に限定するのか、他の用途も認めるのか
- 誰が聞けるか:本人と上長までか、チーム全員か
- いつ消すか:保存期間を決め、期限が来たら消す
これらは大がかりな規程である必要はありません。A4で1枚、箇条書きで十分です。ただし「決めていない」状態のまま運用を始めることだけは避けてください。
録音データの保管と共有範囲
録音データは、相手の氏名・所属・発言内容を含む個人情報です。担当者の個人端末に入れっぱなしにする、共有フォルダに誰でも見える形で置く、といった扱いは避けてください。
実務的には、保存先を1か所に決め、アクセスできる人を限定し、保存期間を決める。この3点を守るだけで、リスクの大半は下がります。電話対応全般でのAI活用と運用設計については電話対応をAIで効率化する方法もあわせてご覧ください。
文字起こしをAIに渡す前の確認
文字起こしをそのままAIに貼り付けるのは、避けたほうが安全です。テキストには相手の会社名、担当者名、電話番号、場合によっては取引金額まで含まれています。
実務上の落としどころとしては、次の3つです。
- 固有名詞を伏せてから渡す:社名は「A社」、人名は「担当者」に置換する
- 全文ではなく要約を渡す:担当者が3行で書いたメモで、改善点の抽出には足りる
- 入力内容の学習利用に関する設定を確認する:使用するサービスの規約と設定を、導入前に確認する
白書でも、生成AI導入の懸念の2位として「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」が挙げられていました。懸念は正当なので、無視するのではなく、運用で潰すという姿勢が現実的です。
電話勧誘に関わる規制の確認
電話での勧誘には、特定商取引法をはじめとする各種の規制が関わる場合があります。取引の形態、相手が事業者か消費者か、扱う商品やサービスの内容によって、適用の有無や求められる対応は変わります。
本記事では、こうした点について断定的な解釈は示しません。自社の営業活動がどの規制に関わるのか、どのような表示・記録・対応が必要なのかは、消費者庁など所管省庁の公表資料を確認するか、弁護士等の専門家にご相談ください。AIに法解釈を尋ねて、その回答をそのまま社内ルールにすることは特に避けるべきです。
やってはいけないAIの使い方
ここは、効率よりも優先される項目です。以下の4つは、短期的に成果が出るように見えても、会社の信用を毀損します。
事実でない実績を語らせる
「導入実績◯◯社」「業界シェア第1位」といった訴求を、根拠なくAIに作らせてはいけません。AIは、指示すればそれらしい数字を出します。出てきた数字がもっともらしいことと、それが事実であることは無関係です。
対策は単純で、プロンプトに「こちらが提供していない情報は書かない。不明な点は【要確認】と書く」と入れておくこと。そして出力を人間が読み、【要確認】が残っている箇所は、社内で事実を確認してから使う。この一手間を省いた瞬間に、電話口で誤った情報を話すことになります。
他社名を勝手に挙げさせる
「A社さんにも導入いただいています」という一言は強力ですが、許諾なく実在の社名を挙げることは、その企業との関係を壊します。AIに「導入事例を交えたトークを作って」と頼むと、実在しそうな社名を含む文章が返ってくることがあります。
事例を使いたい場合は、公開の可否について先方の許諾を得た事例だけを使う。許諾がないなら「同業の企業様で」といった匿名の形にとどめる。ここは営業効率より優先する領域です。
強引な引き止めの台本を作らせる
「断られてから3回粘るスクリプト」「切ろうとする相手を引き止める言い回し」といった依頼は、AIに投げれば何かしら返ってきます。しかし、これを現場で使うことは推奨できません。
理由は3つあります。第一に、相手に不快感を与え、企業名がマイナスの記憶として残ること。第二に、担当者自身が疲弊し、離職の原因になること。第三に、電話勧誘に関わる規制や社内コンプライアンスに抵触する可能性があること。断られたら引くことを前提に、断られる前の設計を良くするのが、この記事の立場です。
AIの出力をそのまま読み上げる
4つ目は運用上の落とし穴です。AIが出した文章を、確認せずにそのまま電話で読み上げる。これは前述の誇張・誤情報のリスクに加え、話し方としても不自然になります。
AIの出力は「素材」であって「完成品」ではありません。声に出して読み、自分の言葉に直し、事実確認を通したものだけが現場に出る。この工程を飛ばす前提で導入すると、効率化ではなく事故の量産になります。
効果の測り方と改善の回し方
作って終わりにしないために、測り方を先に決めておきます。難しい指標は不要です。
測るのは3つの数字だけ
テレアポの改善で最初に見るべきは、次の3つで十分です。
- 準備にかかった時間:架電リストの整理、話す内容の組み立てにかけた時間
- 1件あたりの通話が続いた長さ:分岐が効いているかの目安になる
- 次のアクションが決まった件数:訪問・面談・再架電の日時が決まった数
業界平均や他社の数値と比べる必要はありません。比べるのは、自社の先月と今月です。外部の平均値は、業種・商材・リストの質によって大きく変わるため、自社の判断材料にはなりません。
週1回、15分の振り返り
改善のサイクルは、週1回15分で回します。やることは3つだけです。今週使った分岐のうち、実際に出番があったものに印をつける。うまくいかなかった場面を1つ挙げる。その1つについて、AIに代替案を3つ出させる。
1回の振り返りで直すのは1か所だけにしてください。複数直すと、何が効いたのか分からなくなります。1か所ずつなら、4週間で4か所が改善します。
分岐は増やさず入れ替える
3か月も続けると、分岐表は必ず膨らみます。ここで「1つ足すなら1つ削る」というルールを最初に決めておくと、資料が使える状態のまま維持されます。
削る基準は明確です。直近1か月で一度も使わなかった分岐は削る。削った内容は別ファイルに退避しておけば、必要になったときに戻せます。表に載っているのは、今月使うものだけ。この状態を保つことが、定着の条件です。
モデルケース:準備時間はどう変わるか
ここで示すのは、実在の企業ではなく、当社が想定する典型的な状況にもとづく試算です。実際の効果は、商材・リストの質・担当者の経験によって変わります。
前提は次のとおりです。人件費は時給2,500円、稼働は月20営業日として計算しています。営業担当2名が、それぞれ1日20件の架電を行っている中小企業を想定します。
導入前の作業時間
| 作業 | 1回あたり | 月間(2名合計) |
|---|---|---|
| 架電前の相手先情報の整理 | 1件3分 × 20件/日 | 40時間 |
| 話す内容の組み立て・確認 | 1日20分 | 13.3時間 |
| スクリプトの作成・改訂 | 月1回3時間 | 3時間 |
| 新人への説明・同席指導 | 月4時間 | 4時間 |
| 合計 | — | 60.3時間 |
分岐トーク導入後の想定
| 作業 | 1回あたり | 月間(2名合計) |
|---|---|---|
| 架電前の相手先情報の整理 | 1件1.5分 × 20件/日 | 20時間 |
| 話す内容の組み立て・確認 | 1日5分(分岐表を見るのみ) | 3.3時間 |
| スクリプトの作成・改訂 | 月1回1時間 | 1時間 |
| 新人への説明・同席指導 | 月2時間(分岐表を渡すため) | 2時間 |
| 週次の振り返り(新規) | 週15分 × 2名 | 2時間 |
| 合計 | — | 28.3時間 |
試算の読み方
差分は月32時間です。時給2,500円で換算すると、月80,000円相当の時間が浮く計算になります。年間では384時間、96万円相当です。
ただし、この試算の読み方には注意が必要です。浮いた時間がそのまま利益になるわけではありません。実際には、その時間を架電件数の増加や、既存顧客のフォローに振り向けることで意味が出ます。「時間が浮いた」で終わらせず、何に使うかを先に決めておくことをおすすめします。
なお、当社が中小企業向けにご支援する場合の費用は、初期費用0円・月額5万円を基本としています。導入の設計から運用の定着までを含む形です。
白書でも、生成AIの活用推進による影響として日本では「業務効率化や人員不足の解消につながる」との回答が最も多く挙げられていました。少人数で営業を回している会社ほど、準備工程の圧縮は効いてきます。
導入でつまずきやすい点
全員に配る前に1人で試す
最初から営業部全員に分岐表を配ると、まず定着しません。使い方が固まっていない資料を配ると、「よく分からないもの」として扱われて終わります。
1人が2週間使い、削って、実際に使えることを確認してから配る。この順番を守るだけで、定着率は大きく変わります。最初の1人は、ベテランより中堅を選ぶのが無難です。ベテランは自己流で回せてしまうため、資料の弱点が見つかりません。
新人とベテランで使い方を変える
同じ分岐表でも、使い方は分けるべきです。新人は「読む」、ベテランは「確認する」。新人には言い回しごと使ってもらい、ベテランには分岐の抜けをチェックする目的で使ってもらいます。
ベテランに「この通りに話せ」と求めると、まず反発が出ます。彼らが持っている経験のほうが、初版の分岐表より質が高いことも珍しくありません。ベテランの言い回しを分岐表に取り込むという方向にすると、協力を得やすくなります。
AIの出力をそのまま信じない
繰り返しになりますが、ここが最大の落とし穴です。AIは、指示されれば数字も事例も作ります。事実確認の工程を、誰がいつやるのかを決めておくことが、運用設計として不可欠です。
具体的には、分岐表を改訂したときに、社内の誰か1名が「事実に関する記述」だけを通しで確認する。これで十分です。詳しい対策の考え方はAIのハルシネーションとは?中小企業がとるべき対策にまとめています。
テレアポ以外にも広げる
分岐トークの考え方が定着すると、同じ発想が他の業務にも使えます。問い合わせ電話の一次対応、見積依頼への返信、クレームの初期対応。いずれも「相手の反応で進む道が変わる」構造を持っているためです。
営業以外の業務も含めた効率化の切り口は業務効率化のアイデア集|中小企業がすぐ試せる方法にまとめています。あわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. AIで作ったトークは本当に使えますか
A. そのままでは使えません。ただし、分岐の骨組みを作る作業と、言い回しの案を大量に出す作業においては、人が一人で考えるより速く、抜けも少なくなります。最後に人が声に出して読み、自分の言葉に直す工程を入れれば、実用に足るものになります。
Q. どのAIサービスを使えばいいですか
A. 文章生成ができる一般的なサービスであれば、どれでも作業自体は可能です。選ぶ際に確認すべきは性能よりも、入力した内容の取り扱い(学習利用の有無や設定)と、社内で決めた入力ルールに合うかです。顧客情報を扱う可能性があるため、ここは導入前に確認してください。
Q. 分岐はいくつ用意すればいいですか
A. 最初は場面ごとに5パターン、全体で20〜30程度で十分です。むしろ多すぎると現場で探せなくなります。1週間使って出番のなかった分岐を削り、A4で1枚に収まる量を維持してください。
Q. 断られた後に粘るトークも作れますか
A. 技術的には作れますが、推奨しません。相手に不快感を与えて企業名がマイナスの印象で記憶されること、担当者が疲弊すること、電話勧誘に関わる規制や社内コンプライアンスに抵触する可能性があることが理由です。断られる前の設計を良くするほうが、結果的に成果につながります。
Q. 通話の録音はしたほうがいいですか
A. 振り返りの材料としては有効です。ただし始める前に、相手への告知の有無、保存場所、閲覧できる人、保存期間を社内で決めてください。決めずに個人の判断で録音を始める運用は避けるべきです。
Q. 録音の文字起こしをAIに渡していいですか
A. 渡す場合は、社名・個人名・電話番号を伏せてからにしてください。実務的には、全文ではなく担当者が書いた3行程度の要約を渡すだけで、改善点の抽出には足ります。使用するサービスの入力データの取り扱いも、事前に確認してください。
Q. 業界の平均アポ率を教えてもらえますか
A. 本記事では、確認できる一次情報のない数値は掲載していません。接続率やアポ率は、業種・商材・リストの質・時間帯によって大きく変わるため、外部の数字を目標にしても判断材料になりません。比較すべきは自社の先月と今月です。
Q. 新人教育にも使えますか
A. 使えます。むしろ効果が出やすいのは新人教育のほうです。一本道の台本だと、外れた瞬間に沈黙してしまいますが、分岐表があれば「その反応ならここを見る」と対応できます。同席指導の時間も短縮できます。
Q. 導入事例をトークに入れてもいいですか
A. 公開の許諾を得た事例だけにしてください。許諾のない社名を挙げることは、その企業との関係を損ないます。許諾がない場合は「同業の企業様で」といった匿名の形にとどめ、AIに社名を作らせないよう指示文で明示的に禁止してください。
Q. 電話勧誘に関する法律は大丈夫ですか
A. 電話での勧誘には特定商取引法をはじめとする規制が関わる場合があり、取引形態や相手が事業者か消費者かによって適用は変わります。本記事では断定的な解釈は示しません。消費者庁など所管省庁の公表資料を確認するか、弁護士等の専門家にご相談ください。AIに法解釈を尋ねて、その回答をそのまま社内ルールにすることは避けてください。
Q. AIが誤った情報を話させてしまいませんか
A. その可能性はあります。対策は2つです。プロンプトに「提供していない情報は書かない。不明点は【要確認】と書く」と入れること。そして、分岐表を改訂したときに担当者1名が事実に関する記述だけを通しで確認することです。
Q. 効果が出るまでどれくらいかかりますか
A. 準備時間の削減は、分岐表ができた翌週から体感できます。会話の質に関する変化は、週1回の振り返りを4週間続けたあたりから見え始めることが多いです。最初の1か月は、成果よりも「分岐表が使われているか」を確認してください。
Q. 営業担当が1人しかいなくても意味がありますか
A. あります。1人体制の場合、属人化した判断が本人の頭の中だけにある状態になりがちです。分岐表として外に出しておけば、体調不良時の引き継ぎや、将来の増員時にそのまま教材として使えます。
Q. まず何から始めればいいですか
A. 「実際に言われた断り文句を20個書き出す」ことから始めてください。この材料さえあれば、初回の分岐表は1時間程度で作れます。逆に、この材料なしにAIへ指示すると、一般論の文章が出てきて終わります。
まとめ:分岐を作り、断りに備える
本記事の要点を整理します。
- AIに作らせるのは台本ではなく分岐。一本道の台本は、最初の15秒で使えなくなる。
- 渡す材料が出力の質を決める。自社ができること・できないこと、相手像、実際に言われた断り文句20個。
- 断り文句には反論せず、まず一つ確認する。「間に合っています」「担当が不在」「資料を送って」に、それぞれ確認の質問を用意しておく。
- 録音を使うなら、告知・保存先・閲覧範囲・保存期間を先に決める。文字起こしは固有名詞を伏せてから渡す。
- 事実でない実績・無断の他社名・強引な引き止めは作らせない。効率より優先する。
- 電話勧誘に関わる規制は、所管省庁の公表資料や専門家に確認する。AIの回答を社内ルールにしない。
テレアポでAIがうまく使えないのは、AIの性能の問題ではありません。渡している材料が足りないことと、作らせている形(台本か分岐か)が違っていることが原因です。断り文句を20個書き出すところから始めれば、その日のうちに違いが出ます。
営業活動全体でのAI活用の全体像は営業のAI活用|中小企業が今日から使える実践法に、受け手側の電話業務については電話対応をAIで効率化する方法にまとめています。
Ai-Rakuでは、中小企業向けに1業務から始めるAI導入・業務効率化を支援しています。テレアポであれば、実際に言われている断り文句の洗い出しから、分岐表の初版作成、運用ルールの整備、週次の振り返りの回し方までをご一緒します。営業担当が1〜2名の会社でも始められる形でご提案しますので、まずは現状をお聞かせください。


